累計経営者579人に取材、掲載社数311ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

金融業界の起業家インタビュー

株式会社キャピタル・アセット・プランニング 代表取締役 北山 雅一

金融情報技術と金融技術2つの最先端スキルを身につけられる

株式会社キャピタル・アセット・プランニング 代表取締役 北山 雅一

金融機関向けシステム開発といえば、大企業が受注するものと考えがち。ところが1990年設立のベンチャー企業、キャピタル・アセット・プランニングは大企業を押しのけて受注を次々に獲得している。スタッフ全員がIT(情報技術)とFT(金融技術)の2つのスキルを身につけていて、顧客のどんな要望にもこたえられる開発体制を整えているからこそできることだ。同社代表の北山氏に起業の経緯や今後のビジョンなどを聞いた。

※下記はベンチャー通信59号(2015年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

コンペで大企業を破り世界が認めるシステムを開発

―事業内容を教えてください。

 金融分野に特化したシステムインテグレーターです。なかでも生命保険会社のシステムを得意としています。生命保険の設計書や申込書、ライフプラン提案書などをPCなどのデバイスを通してエンドユーザーに見せるためのフロントシステムを国内で初めて開発しています。これは国内生保45社のうち18社が導入しています。
 また、銀行が保険を販売する、いわゆる銀行窓販で使っているシステムも約85%が当社のもの。大手ベンダーが基幹系システムを担当するのに対し、当社はフロントサイドを担当。すみわけができています。

―どんなシステムをつくっているのですか。具体例を教えてください。

ソニー生命のライフプランナーが使うシステムの例をお話ししましょう。2009年に同社は保険業務のペーパーレス化を打ち出しました。ライフプランナーが保険の設計書や申込書をタブレットPCで作成。エンドユーザーがそこに電子署名すれば契約成立となるシステムです。
 これがあれば申込書の書き損じはなくなり、エンドユーザーの利便性が高まります。同時に、ライフプランナーがエンドユーザーをなんども訪問しなくてもすむので、営業効率が劇的に向上する。このプロジェクトの委託先を選ぶコンペで、当社は名だたる大手を打ち破って受注をかちとりました。
 5年かけて開発したこのシステムは、2014年1月から稼働。すでにこのシステムで申込みの大半が処理されています。それだけライフプランナーにもエンドユーザーにも支持されている。また本格稼働前の2013年に、シンガポールで開催された「アジア保険テクノロジー・アワード」をソニー生命が受賞。「世界最先端のシステムであることが認められた」と、当社のスタッフも喜んでいました。

金融分野の規制緩和が企業成長のドライブに

―北山さんはもともと監査法人に属していた公認会計士だそうですね。どんないきさつでシステム会社を起業することになったのでしょう。

 偶然の連続ですね。監査法人時代、たまたまある証券会社の監査を担当。そこのスタッフが投資信託の基準価額表を、表計算ソフトでつくっていたのを目にしたんです。「自分ならもっと効率的にできるのに」と思った。
 ちょうど「ロータス1-2-3」という表計算ソフトの日本版が発売された時期。そこで自分の考えた効率的な方法を『金融マンのためのロータス1-2-3』という書籍にして出版したんです。そうしたら本が発売された翌週に、ある生保から連絡が来た。「この本に書いてある通りのシステムをつくってくれ」と。
 そこで当社を設立。生保のシステム開発に携わるようになったわけです。

―業績は順調に伸びましたか。

 ええ。まず、設立して間もない時期に生保がコンサルティングセールスを始め、そのためのシステム開発の仕事を受託することができました。ソニー生命の「ライフリスクマネジメント」をはじめ、各社がシミュレーションのためのシステムを必要としていたからです。そうしたシステムをつくるには、ITだけではなく、生保についての深い知識が必要。そうしたベンダーは少なかったのが幸いしました。
 次に当社の成長ドライブになったのが1995年。生保と損保の相互乗り入れが認められたことです。そのころ東京で講演する機会があり、それが終わった夕方6時に大阪の本社に電話をかけたんです。「このまま家に帰るから」と伝えようと。そうしたら「社長、大手損保の人が来ていて、社長に会うまでは帰れないとおっしゃっているんです」。すぐに新幹線に乗って帰社しました。
 その大手をはじめ損保系が設立した生保は、業績を伸ばしているソニー生命をモデルにシステムを構築しようとしていた。だから、それをつくっていた当社が、新しいクライアントを得ることができたのです。

―金融分野における規制緩和が追い風になったのですね。

 そういうことです。当社は特定のITに強みをもつことを避けて、つねにユーザーであるライフプランナーにとって使い勝手のよいシステムを考え、それに見あったITを適用してきました。そのおかげで脱落せずにすんだんです。
 一方で、最先端ITに強みをもつ大手ベンダーは保険会社の業務に詳しくない。IT(情報技術)とFT(金融技術)の両方に精通していたことでサバイバルでき、さらに業績を伸ばすことができたのです。

年金数理や保険数理が わかるSEが数多く在籍

―ビジネスパーソンにとって、ITとFTはキャリアアップのための強力な武器になるスキルです。メンバーにどうやって身につけさせているのですか。

 両方のスキルをもつ先輩が“背中を見せる”ことです。会社を立ち上げて10年くらいは私自身がその役割をになっていました。当時はメンバーの数も少なかったのでクライアントの保険会社から指示があれば全員で考え、金融フロンティアをみんなで切り開いてきた。
 そうするなかで年金数理や保険数理がわかるSEが育ってきた。いまはそういうスタッフが中心になってプロジェクトチームを組み、新卒も含めた若手人財にスキルを伝えているわけです。

―今後の事業戦略を聞かせてください。

 サービスベンダーとしての新事業を展開します。すでに相続・資産管理のサービスをワンストップで提供するコンサルティング・オフィス「ブティックCoole」を開設しています。そこでは当社が開発したWMW(Wealth Management Workstation)をベースに、個人の資産を設計するコンサルティングビジネスを展開していきます。WMWは金融、不動産、保険、税務を包括した資産管理のプラットフォームシステム。自分の資産を「見える化」できる“家計の貸借対照表”です。
 相続税が増税となり、中小企業経営者の引退が相次ぐこれからは、相続が大きなテーマになるでしょう。事業承継とからめて総合的な資産管理が求められます。そこをねらったビジネスです。

非常識に挑戦する 破壊的イノベーターへ

―法人向けシステム開発とは顧客層やサービス内容が大きく違いますね。

 ベンチャー企業が普通のことをやっていても大手には勝てません。ビジネスは非常識じゃないといけない。イノベーションには「破壊的イノベーション」と「持続的イノベーション」があります。破壊的イノベーションはその業界にそれまでまったくなかったものをつくっていくこと。当社は破壊的イノベーターとして進んでいきます。

―進路に悩む学生へアドバイスをお願いします。

 いまの業界構造だけをみて進路を決めてはいけません。20年先は産業構造がすっかり変わっている可能性が高いからです。いまは盤石に見える大企業だって消えているかもしれません。それよりも自分のスキルを高めて、自分であらたな市場を切り開くような人になってほしいですね。

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