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コンサルティング業界の起業家インタビュー

株式会社エスティワークス 代表取締役 佐藤 貴則

コンサルティング労務リスクへの対策を徹底し 問題の発生を未然に防ぐ方法

株式会社エスティワークス 代表取締役 佐藤 貴則

IPOをめざす企業にとって、きわめて重要なのが労務管理。行政指導・訴訟・風評被害など多くのリスクをはらむからだ。たとえば、「未払い残業代」問題は、キャッシュアウト・訴訟・風評被害など複数の問題に発展し、致命的な障害にもなりかねない。特定社会保険労務士として多くの企業のIPOを支えてきた、エスティワークス代表の佐藤氏に、IPOをめざすうえで経営者が留意すべき労務管理上のポイントについて聞いた。

※下記はベンチャー通信59号(2015年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

労務管理に潜む、4つのリスク

―IPOをめざす企業が、労務管理で直面するリスクにはどのようなものがあるでしょうか。

 行政指導リスク、訴訟リスク、風評被害リスク、キャッシュアウトリスクの4つのリスクがあります。
 1つめの、行政指導リスクは、労働基準法をはじめとする労務コンプライアンスが守られていない場合、労働基準監督署の監査によって、是正勧告や改善指導を受けるリスクです。労働基準法は刑事法規ですから、最悪の場合は書類送検される可能性もあります。
 2つめの訴訟リスクで典型的な例は、社員の健康管理です。たとえば、労働安全衛生法では、残業時間が月100時間を超える社員には医師による面談を受けさせる義務があり、月80時間を超える社員には面接指導を実施する必要があります。こうした義務を守らずに、過労死やうつ病による自殺が発生した場合、労働災害が認定されるうえに、企業側の安全配慮義務違反が疑われます。多くのケースで遺族が訴訟を起こし、判決まで時間がかかるうえ、敗訴すれば1億円を超える賠償もありえます。
 3つめの風評被害リスクの最大の問題点は、一度悪評が立つと、多くのケースで「ブラック企業」というレッテルを貼られてしまうことです。
 集客や取引はもちろん、とくに採用活動に大きな影響が出ます。優秀な人材を計画どおりに採用できないとなると、成長性に支障をきたす可能性も。上場企業なら株価の低迷にもつながりかねません。パブリックカンパニーとして、とくに労務問題については、襟を正しておく必要があります。

―4つめのキャッシュアウトリスクでは、なにがいちばん問題になりますか。

 残業代の未払いです。労働者の賃金請求権は、当該労働の時点から2年間で時効が成立します。つまり、残業代の未払いについて、社員側は2年前までさかのぼって請求することが可能です。
 とくにIPOの準備期間中の企業では、売上と利益を上げるため、社員の労働時間が増えがちです。※三六協定を結んだり、管理部門がコントロールしても、おのずと残業時間が増加。過去には、その残業代をまとめて請求され、数千万円の支払いを命じられた企業もあります。そうした事例を踏まえ、IPOを目前に、社員から多額の未払い残業代請求の可能性があるとわかった場合、それだけでIPOを見送ることもありえます。

※三六協定:法定労働時間を超えた時間外労働を命じる会社が、労働基準法36条に基づき、労働者代表と書面によって結ぶ協定

労使の認識を合わせ、時間を正確に把握せよ

―なぜ、残業代の未払いが起こるのでしょうか。現場での問題発生の原因を教えてください。

 1つめは、残業時間の把握の難しさです。管理者がタイムカードや日報をとおして残業時間を把握するとともに、申請承認制を導入するケースが多いようですが、それだけでは不十分な場合もあります。
 つまり、申請承認制を入れているからといって、「申請がなければ残業として認められない」とは限らないのです。たとえば、社員側が後で「申請よりも長時間残業をしていた」と、手書きのメモをもとに主張された場合。もし「暗黙の了解があった」と見なされれば“未払い残業代”と認定されてしまいます。
 そこで、会社側は、申請が出ていないものの、実際に社員が働いていないかどうか、チェックが必要です。その典型がサービス残業。残業の申請は出ていないが毎晩居残っているとか、申請なしで休日出勤している形跡がある。このように、事実とのギャップがある場合は、必ずチェックして、正しく申請させなければなりません。
 2つめは、現場で正しく運用されていない場合です。たとえば、自社内の管理・監督者の基準が、労働基準法とずれていることにも注意が必要です。「課長職以上には残業代を支払わない」という企業で、役職手当は付けるものの、勤務時間の自己裁量権が認められておらず、労基法上の“管理監督者”には該当していないことも多々あります。当該社員が、後でこの点を指摘され請求した結果、ひとりあたり数百万円の残業代が認められたこともあります。

―未払い残業代のキャッシュアウトが巨額に上ることもあるそうですね。

 ええ。過去には、1社の支払額が20億円余に達した例もあります。また、2013年の「ブラック企業調査」によると、ひとりあたりの未払い残業代がおよそ100万円に達しています。もし100人に支払うとなると1億円におよぶ可能性も。さらに未払い残業代には、裁判所によりペナルティとして倍額の支払い命令が下ることもあるので、巨額の支払いが課される可能性があるのです。

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