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販売・サービス業界の起業家インタビュー

株式会社アワーズ 代表取締役 粟津 浜一

販売・サービス携帯電話の「リサイクル文化」を日本中に広げる

株式会社アワーズ 代表取締役 粟津 浜一

環境意識の高まりにより、「循環型社会」への移行が進んでいる。しかし、リサイクルの仕組みが整備されていない分野も少なくない。そのひとつが、年間4400万台(スマートフォンを含む)が出荷されている携帯電話。使われなくなった中古携帯の大半はリサイクルされることなく、家庭内などでゴミと化している。こうした中古携帯の流通市場活性化に挑んでいるのが、アワーズだ。代表の粟津氏に、市場活性化の戦略や今後のビジョンなどを聞いた。

※下記はベンチャー通信50号(2012年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―中古携帯電話のリサイクルには、どのような社会的意義があるのですか。

粟津:携帯電話の基盤などには、ニッケル、タンタルなどのレアメタルが使用されています。現在、国内の中古携帯電話は大量に海外へ流出していますが、それは貴重な資源が国内から失われていることと同じ。国はリサイクル法案などで対策を講じていますが、十分ではありません。中古携帯のリサイクルを活性化させることは、資源の有効活用を促進するという意義があります。

―なぜ、リサイクルが進まないのですか。

粟津:現状の中古携帯の流通市場が活性化していないため、ユーザーの認知度が向上しない、ということに尽きます。そこで当社では、自社で買取・商品化・販売といった中古携帯の流通事業を行っているほか、リサイクルショップなどを対象にした経営戦略立案や具体的な業務支援を提供。現在、約500店舗と提携し、市場活性化に取り組んでいます。こうした事業を行っているのは、業界のなかでも当社のみです。

―具体的にどのようなことをしているのですか?

粟津:ショップが立地する地域の顧客ニーズに適した仕入れや、適切な買取・販売価格の設定、効果的な売り場づくりについての提案などです。たとえば、デザインや液晶画面の大きさなど、携帯電話の選択基準は十人十色。単に人気機種を集めれば売れる、というわけではありません。商圏内に多いのは学生なのか、年配者なのかによっても、品揃えや価格設定を調整する必要があります。そのため当社では、商圏内のユーザー属性を緻密に調査するなど、市場データに基づいて戦略を提案しています。

 また、買取・商品化・販売については、当社が培ってきたノウハウも提供しています。当社では、これらをパッケージとして提供しているだけではなく、たとえば買取だけといった単体での提携も行っており、「自社に欠けている部分だけ補いたい」というニーズに応えています。また、希望するパートナーには、中古携帯の卸も行っています。

―御社の強みは何ですか。

粟津:正確な情報を裏付けとした、実践的なコンサルティングを行っていることです。話題性のある機種はすぐ流行遅れになるし、人気機種は数が多すぎて値崩れが激しい、というのが中古携帯の特性。海外メーカーの中古スマホにいたっては、中国の値動きが日本国内の価格に大きく作用しています。買い取ったものに利益を上乗せして販売するだけという原始的な販売方法では効率が悪く、安定収益を確保することは困難です。商圏内や国内はもちろん、中国での価格変動もキャッチできる体制を持たなければ、中古携帯の適切な価格設定ができない時代になっています。

 そのため、私自身、定期的に中国に飛んでナマの情報を入手しているほか、現地の業界人脈を築き、正確な情報を素早くキャッチできる体制をつくりました。同様に、国内においても刻々と変動する市場価格を把握する仕組みをつくりました。こうして収集したさまざまな情報を統合し、市場の動きに沿った適切な買取価格や販売価格を簡単に検索できるWebシステムを構築。パートナーに提供しています。

―市場健全化については、どう考えていますか。

粟津:当社の仕組みでは、不法な手段や不公正な方法で入手した可能性がある中古携帯は買取対象から排除できるようになっています。しかしながら、市場の一部ではグレーな部分が残されているのも事実。当社が推進するアライアンスが契機となって業界の連携が深まり、市場健全化の輪が広がればうれしいですね。

―今後のビジョンを聞かせてください。

粟津:ある大手調査会社は「数年後に中古携帯市場は1000億円マーケットになる」と予測しています。そうしたなか、当社は5年以内に提携パートナーを2000店舗に増やし、グループで100億円の年間売上を達成。業界No.1のシェアを確保することを目標としています。将来的には自治体と連携し、リユース・リサイクルの社会インフラづくりにチャレンジしたい。これからも社会の仕組みを変えるような仕事をしていきたいですね。

―最後に、若者に対するメッセージをお願いします。

粟津:大学を卒業して大企業に就職することが一番、なんていう既存の価値観にとらわれないでほしい。ベンチャーとして起業するのもいいし、研究者として研究に没頭するのでもいい。「何か創造してやろう」というガッツを持って、誰もやらないようなことにどんどん挑戦してほしいですね。

 私は大学で宇宙工学を専攻し、赤外線天文観測衛星に搭載される冷凍機の研究開発に参加。大学院修了後は大手メーカーで新商品・新技術開発を行う部署にいました。それがなぜ、安定した大企業のサラリーマン生活を投げ打って中古携帯電話のベンチャーを起業したのかというと、日本の将来に危機感を覚え、この国に貢献したいという想いが強くなったから。なけなしの貯金、200万円を全額おろし、退路を絶って起業しました。時代を変えるのは、若者の行動力。あきらめずにチャレンジし続ければ、固い壁を壊すことができ、未来が切り拓かれるはずです。

粟津 浜一(あわづ はまかず)プロフィール

1979年、岐阜県生まれ。2004年、筑波大学大学院理工学専攻を修了後、ブラザー工業株式会社に入社。研究開発系の部署に配属され、主に加工機の制御およびシステム開発を担当。慶應義塾大学との共同研究で学会発表も行う。2009年に株式会社アワーズを設立し、代表取締役に就任。リサイクル業界紙「リサイクル通信」で「携帯&スマホ AtoZ」を連載、中古携帯市場の最新情報を発信している。

企業情報

設立 2009年1月
資本金 700万円
売上高 1億3,000万円
従業員数 13名
事業内容 中古携帯電話の売買・提携店サポート
URL http://www.award-s.com/

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