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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社ブレイバンステクノロジーズ 代表取締役社長 山田 和則

従業員数100名、売上高10億円をめざし、ねらうは世界展開

「Be braVance!」を合言葉に日本No.1のエンジニア集団になる

株式会社ブレイバンステクノロジーズ 代表取締役社長 山田 和則

会社設立の準備中、突然起こったリーマン・ショック。通信ネットワークの設計、構築、保守をメインに手がけるブレイバンステクノロジーズは、最悪の状況で船出した。そんな逆境にも負けず、創業以来4期連続で増収増益をはたし、前期売上3億5,000万円、今期は5億円を見込んでいる。どうして不況の波に逆らって、成長することができたのか。代表の山田氏に、同社の経営戦略や求める人物像を聞いた。
※下記はベンチャー通信54号(2013年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―御社は創業以来、4期連続で増収増益を果たしています。なぜ成長できているのですか。

山田:創業当初の経営判断が、以降の発展につながりました。具体的には、不況で採用を控えたり、リストラする企業が多いなか、あえて積極的に人材を獲得したのです。リーマン・ブラザーズの破たんが巷で騒がれるようになった2008年の秋、私は会社設立の準備をしているところでした。「大丈夫かな」と心配していると、あれよあれよという間に景気が悪化。独立したいという強い想いがあったので、予定通りに起業しましたが、いきなり仕事がないという状態に追い込まれてしまったのです。そこで当社が選択したのは、優秀なエンジニアを獲得して高度な案件を受注することでした。

―不況のなか、人材を増やすのはリスクが高くないですか。

山田:確かに賭けでした。しかし、当社のようなスタートアップ期のベンチャーには守るものはない。それなのに守りの姿勢でいたら、明日にでもつぶれてしまう。動かないほうがリスクなのです。絶対数は減っても、ITインフラの仕事はゼロではない。ただ、外注コスト削減のためにできるだけ自社でやろうとする。だから、より難しい案件が増えていた。そこをねらったのです。皮肉なことに不況がさいわいし、職を探しているエンジニアが大勢いた。おかげで当社のような無名のベンチャーでも、優秀な人材を獲得することができました。2期目あたりから効果が出はじめ、世の中がまだ不況から抜け出せないうちから順調に売上を拡大。「仕事が獲れないなら人を獲ろう」という逆張り戦略が功を奏したのです。

―そもそも、山田さんが起業した理由はなんだったのでしょう。

山田:簡単にいうと、自分の理想とする会社に出会えなかったからです(笑)。それにくわえて、「成果を出した人がきちんと評価され、さらにがんばれるような会社をつくりたい」という想いが強くなったのも大きな理由です。日本の会社でありがちなのは、成果に関係なく社員を平等にあつかおうとする点。これではがんばった人が報われない。私自身も経験があります。ベンチャー企業にチャンスを求めて転職したのに、予想と違う環境にガッカリしたんです。

―どんな環境だったのですか。

山田:表向きは実力主義をうたっているのですが、実際には年功序列の傾向が強かった。上層部に、そんな評価制度にしている理由を聞くと「評価に差をつけると人が辞めてしまうから」。評価されない人がやる気をなくし、退職するというんです。「それって違うだろう」と。がんばった人は、しっかり評価する。そのうえで、評価が低かった人に再チャレンジの機会を与えればいい。そうすれば、ともに成長することができ、結果的に会社も成長するはず。そんな組織をつくりたいという気持ちが生まれたのです。

―理想の会社をつくるため、取り組んでいることを教えてください。

山田:成果を出した社員を評価する制度にくわえ、MBP(Most BraVance Person)制度をつくりました。これは、まだ成果を出していなくても、日ごろの言動が当社スタッフの行動指針にあっている社員を表彰。成果を出す前提となるプロセスにも光をあてる取り組みです。具体的な評価項目は「すぐに実行する」「他人のせいにしない」など。それを実践したり、周囲に推奨している社員を評価しています。昨年までは年1回の表彰でしたが、今年からは毎月1回、月間MBPも表彰。獲得数によって賞品や賞金を授与します。プロセスを頻繁に評価することで、成果を出す後押しをするのがねらいです。

―なかなか成果が出ない社員でも、がんばれる仕組みをつくっているのですね。山田さんが組織づくりで大事にしていることはなんでしょう。

山田:社員の団結です。そのため「Be braVance!」という合言葉を、ことあるごとにかけあっています。そもそも社名の「braVance」は、「Brave」(勇敢)と「Advance」(前進)をかけあわせてつくったもの。これには、100年に一度の不況のなか「ここから勇敢に前進していくしかない」という強い創業の決意が込められています。飲み会の乾杯やイベントなどでつねに「Be braVance!」=「ブレイバンスな人であれ!」と声を合わせることで、一人ひとりの力で会社を成長させるんだという意識をもたせるようにしています。

―今後のビジョンを教えてください。

山田:来期までに「従業員数100名・売上高10億円」をめざします。そして5年以内に、日本でいちばん仮想化※技術に精通したエンジニアをそろえている会社にします。仮想化が世の中に広まっていけば、これまで物理的な制限にとらわれていたネットワークの自由度が高まります。従来はオフィス内からしかアクセスできなかったデータに、社外からアクセス可能。しかもスマートフォンのような個人が所有する端末からでもアクセスできるようになります。そうすれば、たとえば女性が家庭で子育てをしながら仕事をするのが容易になります。ライフスタイルの変革を私たちが携わるITインフラによって推進できるんです。じつは当社は、専務取締役を含めて社員の半数近くが女性です。もっともっと女性が活躍できる環境を整えることで、社会に貢献していきたいですね。

―海外戦略について聞かせてください。

山田:まずは、日本における仮想化の技術者集団No.1を目指します。サーバーの仮想化は日本でも進んでいますが、当社の得意とするネットワークの領域はまだまだこれから。勝算は十分にあると考えています。それから2011年に進出したベトナムから、アジアでのシェア拡大をねらっていく予定です。そしてゆくゆくは、世界中でサービスを展開したいですね。

―御社の採用基準はなんでしょう。

山田:なにごとにも本気になれる人ですね。「大学を卒業してしまうので、とりあえずどこかの会社に入らなくては」という人は、採用しません。本気で入社したいかどうかは、目をみて話せばすぐにわかりますから。

―これから就職活動を始める学生にアドバイスをください。

山田:会社選びの際に、業績だけで判断してはいけません。たとえいま好調でも、それが続く保証はどこにもありませんからね。それに、未来の業績をつくっていくのはほかでもない、あなたです。判断すべきポイントは「この会社で働きたい」と心から思えるかどうか。いろんな会社を見てまわって話を聞き、自分にとって1番の会社を探してください。そして「自分が会社を成長させるんだ」という強い気持ちをもってください。人生は一度きり。どうせなら本気になって仕事に取り組み、人生を豊かにしてほしいですね。

―最後に若者にメッセージをお願いします。

山田:説明会や面接を通じて思うのは、「自分は力がない」とあきらめている学生が多いことです。希望した大学に行けなかったとか、自慢できるような学生生活を送っていないとか、理由はさまざま。しかし、学歴や経験がない人でも社会人として活躍している人はいっぱいいます。自分しだいで、いくらでも変わることができるのです。ただし、上昇していくためには、本気のスイッチを入れなければなりません。そして、そのスイッチは、他人が押してくれるものではない。自分自身で押さなくてはいけないのです。
※仮想化:コンピュータやネットワーク機器などの機能をハードウェアから切り離し、ハードウェアの数や性能の制約を受けずに使えるようにすること。
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