累計経営者579人に取材、掲載社数311ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

IT業界の起業家インタビュー

株式会社サイバーエージェント 取締役 人事本部長 曽山 哲人

ITあくな き挑戦を可能とする風土が時流をとらえた新事業を生み続ける

株式会社サイバーエージェント 取締役 人事本部長 曽山 哲人

かつて東京・渋谷が「ビットバレー」と呼ばれた頃、ITブームを背景に時代の寵児となった数多のベンチャー企業。しかし、あれから10年以上経った今、当時の勢いそのままに躍進するベンチャー企業はほんの一握りとなっている。企業自体が消えゆくことも少なくないなか、1998年の創業時から現在まで目覚ましい成長を続けているのがサイバーエージェントだ。「Ameba」や「アメーバピグ」をはじめ、時流をとらえた数々のWebサービスを生み出し、快進撃を続けられる理由はどこにあるのか。今回は、同社の人事組織戦略を統括する取締役人事本部長の曽山氏を取材。独自の組織論から、その答えに迫ってみた。

※下記はベンチャー通信49号(2012年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―トレンドの移り変わりが非常に速いIT業界の中で、御社は時流に合ったヒットサービスを次々と生み出しています。なぜ、それが実現できるのですか。

曽山:全社員がアイデアを出して提案できる制度と風土があるからです。当社は設立から5年目の2003年、人材重視の方針を徹底することを決めました。もともと社長の藤田は「採用・育成・活性化」という3つをキーワードに掲げていたのですが、社員が長く働ける環境づくりに着手しました。この決定によって、中途から新卒を中心とした人材採用に転換し、彼らが才能を発揮して成長する環境を整備し、盛り立てていくことで、良い組織づくりを目指しました。同時に、「21世紀を代表する企業を創る」というビジョンを策定しました。私たちはインターネット産業において、成長し続ける会社です。経営陣が先陣を切って新しい事業に挑み、社員も一人ひとりの力を活かして働くことができ、新たなチャレンジができる環境がある。そんな会社をイメージしてさまざまな人事制度をつくり、人事本部を設置しました。こういった一連の取り組みの結果、次々と新しいサービスが生まれる風土が醸成されたと考えています。

―優秀な人材を採用して社内制度を整えるだけでは、不十分なのですか。

曽山:私の失敗経験から言えるのですが、制度だけで風土は変わりません。まず会社が目指すビジョンがあって、そこに行動規範や制度が結びつき、事例が積み重なることで風土がつくられます。ですから、風土が定着するには時間がかかります。実際、当社では2年以上かかりました。風土の定着は計測しづらいですが、「社員が自社を自慢し始めたとき」がそれに当たると思います。特に、社外の人に対して「ウチにはこういう制度がある」などと言い出すようになったら確実ですね。

―制度づくりにおいて、大切なポイントを教えてください。

曽山:社員の創造力を引き出すことです。たとえば当社には、全社員が新規事業を提案できる「ジギョつく」というコンテストがあります。この制度の目的は新規事業を生み出すことですが、それよりも「誰もが新規事業を提案できること」に意味があります。「ジギョつく」には優勝賞金100万円という金銭的インセンティブがあるだけでなく、何度も提案する人は新会社の経営者候補になります。実際に新卒入社から2、3年で社長になった事例も多数あるので、自然とやる気が出る。つまり、「ジギョつく」という制度を通じて、イメージしやすいロールモデルを提示しているのです。

―若くして社長に抜擢された事例があれば、組織が活性化するわけですね。

曽山:はい。数多くの事例があれば、制度は強くなります。たとえば、新卒入社3年目のメンバーがSAP事業関連の子会社の社長、さらに現在サンフランシスコで新会社の立ち上げをしています。「ジギョつく」で提案した彼のアイデアも良かったのですが、それ以上に評価したのが「やりたい」という意思表明。彼は内定者の段階から「ジギョつく」に応募し、自分のアイデアを経営陣に直接伝えていました。意思表明する人は、たとえ挑戦に失敗しても、困難に向き合う覚悟が強い。だから、経営者の抜擢候補になるのです。ちなみに、「ジギョつく」は今年から「ジギョつくNEO」にバージョンアップしました。応募フォーマットにフリースペースを設け、イラストやフローチャートなど、自由な表現で提案できるように変えたんです。その結果、前年を大幅に上回る約300人の応募が集まり、さらに組織が活性化しました。

―たとえ若くして抜擢されても、挑戦に失敗すると臆病になりませんか。

曽山:当社の価値観をまとめた「マキシムズ」があるのですが、そこに「挑戦した結果の敗者にはセカンドチャンスを」という言葉が明文化されています。サイバーエージェントは失敗を許容する会社であり、「失敗から学ばずして、成長はありえない」と考えています。当社はたくさんの事業が立ち上がる一方、事業撤退基準も明確化しており、撤退しそうな事業があると自然と他部署から社内ヘッドハンティングがあります。ランチなどに誘われて、「何かあればうちに来なよ」と声がけが始まるんですね。つまり、挑戦している人は認められる風土が定着しているのです。

―組織を継続的に成長させるために、意識していることはありますか。

曽山:健全なライバル心を持ち、切磋琢磨すれば個人は成長します。ただ、当社はチームプレイを大事にするので、ギスギスした関係はつくりたくない。お互いの協調関係が必要という考えから、新卒入社時の研修でグループワークを行います。内定者に5人1組で自己紹介ビデオをつくってもらい、お互いの「人となり」や強みを理解しあうのです。これを「同期力を高める」と表現していますが、共通項が多いほど、見た目よりも中身で判断できる人が多いほど、「同期力」は高まります。この力を高めれば、あとは自然と競争が始まる。つまり、強固な「協調」の上にある「競争」こそ、組織の成長につながるのです。

―役員と社員といった、上下の関係はどのように機能しているのですか。

曽山:役員と社員の関係は「あした会議」という制度に象徴的に表れています。これは一言でいえば、役員対抗の新規事業バトル。全役員の順位が公表されるので、冷汗がダラダラ出るほどのプレッシャーです(笑)。ここから業績への貢献度が高い事業が数多く生まれ、そんな事業を担う優秀な若手人材が抜擢されるのです。この「あした会議」の特徴は、各役員がチームのメンバーとして3、4人の社員をトレードやくじ引きで選べること。役員は全部署の人材から選べるので、優秀な人材がどこにいるのか、常日頃からアンテナを立てています。そして、選ばれた社員は年齢や役職に関係なく、あした会議に参加できる。つまり、役員と社員が一緒に当社の将来を考えられる仕組みなのです。また、社長の藤田が審査員として目の前で決議をするので、経営判断の瞬間に立ち会うことができます。こういった体験をした社員は成長しますし、選ばれなかった人は悔しくて、次に選ばれるにはどうすればいいかを考える。経営陣は考え方やノウハウを伝授でき、社員は現場の感覚を伝えられるので、コミュニケーションの好循環が生まれるわけです。

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