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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社ドリームインキュベータ 代表取締役会長 堀 紘一

未来のホンダやソニーを100社創出させる

日本のベンチャーに”知恵”を提供

株式会社ドリームインキュベータ 代表取締役会長 堀 紘一

堀ほど日本の財界リーダーと本音ベースでやり合ってきた男はいないだろう。19年にわたりボストンコンサルティンググループに勤務し、1989年から 2000年5月まで日本法人の社長も務めた。その後、ベンチャーの育成を目的にドリームインキュベータを創業し、自身も起業家として同社を東証一部上場企業にまで育て上げた。日本で最も経営者について熟知していると言っても過言ではない堀に日本のベンチャーについて聞いてみた。
※下記はベンチャー通信27号(2007年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―堀さんは日本でベンチャーの成長支援をするためにドリームインキュベータ(以下、DI)を創業したそうですね。

堀:そうですね。私は日本をベンチャー不毛の地だと思っています。アメリカではヤフーやグーグル、マイクロソフトなどが独自のビジネスモデルで世界に羽ばたいていきました。しかし日本のITベンチャーと呼ばれる企業の多くはアメリカで成功したビジネスモデルの猿真似ばかりです。オリジナルではありません。日本人として非常に悲しい。これでは世界に出て勝てるはずもありません。でも歴史的に見て、日本にベンチャーが生まれてこなかったかというとそうではない。ホンダやソニー、トヨタなど世界に誇る日本の大企業も昔はベンチャーだったわけです。今までに日本で立派なベンチャー企業が生まれた時期が2回ありました。1回目が明治維新の頃です。日本資本主義の父と言われる渋沢栄一や三菱グループ創業者の岩崎弥太郎などが出てきました。2回目が太平洋戦争の直前と直後の頃です。ここでホンダやソニーが生まれました。どちらの時期も時代の転換期です。それも一大転換期であり、世の中の価値観や制度がガラリと変わった時期です。こういう時期に優れた起業家、つまり立派なベンチャーが生まれたわけです。そして、ここ最近の10年も大きな時代の転換期でした。ITの登場により、世の中の価値観が大きく変わりました。大量生産大量消費の経済モデルも日本の中で終焉を迎えました。“量”から“質”を重視する経済に移行したわけです。しかし、日本はこの変化をチャンスに変えることができなかった。いま世界で活躍しているベンチャーは、その大半がアメリカなどの外資系ベンチャーです。この現状に危機感を持って、私はDIを創業したわけです。「ホンダやソニーを100社育てる」、「渋沢栄一、松下幸之助を100人育てる」という構想を持って創業しました。

―なぜ日本はベンチャー不毛の地になってしまったのでしょうか?

堀:まず日本人のベンチャーに対する考え方に問題があると思います。起業家を尊敬しているかという問いを世界各国でアンケート調査したデータがあって、アメリカでは尊敬する人が9割、フランスやドイツでは7割、イギリスでも4割で、日本がなんと1割なんです。依然として日本では大企業で働くサラリーマンや役人が尊敬される社会なんです。日本でベンチャーと言うと、「あやしい」、「所詮は中小企業でしょ」というイメージになってしまう。そんな空気があるから、優秀な人はベンチャーに就職せず、いつまで経ってもベンチャーが育たないんです。このままいけば日本の将来は暗いと思いますよ。大企業というのは、やがて朽ちていく運命にあるんです。これは人間と同じで、旬を過ぎれば後は下降線を辿り、老いて最期を迎える。社内改革などによって甦る企業もありますが、それはごく一部。だから常に若い会社が出てこなければ、日本経済は活力を失っていくんです。
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