累計経営者579人に取材、掲載社数311ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

医療・福祉業界の起業家インタビュー

株式会社エストコーポレーション 代表取締役 清水 史浩

医療・福祉ITで病院とのネットワークをつくり日本の医療システムを世界に広めたい

株式会社エストコーポレーション 代表取締役 清水 史浩

医療分野に特化したITサービスを提供するエストコーポレーション。同社は、業界初となる都内の病院検索・予約サイト「EST Doc」を独自開発。駅名や住所・受診希望日時・診療科目を入力すれば、予約可能な医療機関が一覧表示され、Web上で予約できるサービスだ。同社が次に目指すのは、このネットワークを活かした海外市場への進出。どのような戦略で挑むのか、代表の清水氏に聞いた。

※下記はベンチャー通信53号(2013年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―8000超の医療機関から、※特定健診 の電子化代行業務を受託しているそうですね。支持されている理由はなんですか。

清水:常識にとらわれず、ほかにないサービスを追求したからです。2008年の法改正で、医療機関は特定健診情報を電子データ化して報告することを義務づけられました。システム会社は、これに対応する機能を医療機関のシステムに組み込もうと受注競争を繰り広げたんです。しかし、医療機関のシステムは一般企業よりも複雑。そのうえ、国がシステムを頻繁に変更する。その都度、設計し直さなければならず、多くの会社が「採算がとれない」と撤退していきました。そんななか、私たちは電子化を代行することを考えました。医師が従来通り紙に記録したデータを、当社がシステムに入力。国に報告するまでを引き受けるサービスです。医師が仕事のやり方を変えたり、医療機関のシステムをいじる必要はない。多くの企業が撤退したため、電子化ニーズにこたえられる企業はほとんどなく、ブルーオーシャンを進むことができました。

―ブルーオーシャンだとわかれば、他社がマネするのではありませんか。

清水:先行者メリットが大きいので、難しいと思います。たとえば、健診で問題がないとき、多くの医師は「NP」と書く。“NoProblem”の頭文字です。それが独特の崩し文字で、一般的な文字認識システムでは読み取れません。ほかにも医療業界独特の略語や書体が多く、事業を開始した当初は記入した医師に電話して一つひとつ確認。今では、ほとんどを文字認識システムで読み取れるようになりました。後発企業がマネするには、膨大なコストと時間がかかるでしょうね。

―なぜ、これまでにないサービスを生み出せるのでしょう。

清水:「最上級を追求しよう」という企業理念を徹底してきたからです。事業部ごとに現場で顧客の声をひろい、改善につなげる会議を毎月開催。すべてのサービスについて、つねに「顧客にとって最高のものなのか」と問いかけ続けています。その積み重ねのなかから、従来にないサービスが生まれるわけです。

―どんなサービスが生まれましたか。

清水:2010年に始めた自治体向けの※二次予防事業サービスが挙げられます。特定健診の電子化代行を始めると、現場の医師から「※高齢者へのアンケート調査も電子化して国に報告しなければならない。やってほしい」という声があがるようになりました。当社は最上級のサービスを提供するため、無料オプションでこの電子化代行も始めました。ところが、その後の法改正で医療機関に代わり、自治体が65歳以上の住民にアンケート調査を実施しなければならなくなったのですが、自治体にはそのノウハウがない。そこで当社に依頼が来たんです。アンケート項目の作成から結果表の発送までの業務を代行してくれないかと。いまは約250の自治体と契約し、シェアNo.1です。

―サービスの品質を高めるには、コストがかかります。

清水:その通りですが、いまは目先の利益よりも、より多くの医療機関とのネットワークづくりを優先。「日本の医療のすばらしさを世界に発信する」という創業時からの目標を達成するためには、それが不可欠だからです。

―なぜ、多くの医療機関とのネットワークが必要なのですか。

清水:日本の医療システムをパッケージ化して、世界に輸出するためです。たとえば「新幹線を輸入したい」という外国は多いですが、それは車両だけの話ではない。安全運行の技術や清掃サービスも含めて評価されています。

同じように、日本の医師や看護師、日本製の医療機器や医薬品、国民皆保険制度などを含めた医療システム全体の優秀性を海外にアピールしたい。オールジャパンで進出することで、「医療大国・日本」のブランドを世界に轟かす。そのためには、国内の全医療機関が連携できるようなネットワークが必要です。ITを活用して共同で課題に対処したり、仕組みを共通化して、世界に輸出できる最高の医療システムを構築できるはずです。

―そのような仕組みの例を教えてください。

清水:今年サービスを開始する、都内の病院を検索して予約できるサイト「ESTDoc」がそうです。多くの病院をITで結びつけ、待ち時間なしの受診を実現。今年中には関東圏のほとんどを網羅する4000の医療機関が登録する予定です。今後は、当サイトのグローバル化も進めます。日本に来た外国人が母国語で日本の病院を検索できたり、日本人が日本語で外国の病院を探せるようにする計画です。

―世界進出をするうえで、どんな人材を求めていますか。

清水:社会に対し、大きなことを実現したいと考える人です。世界の医療業界には、売上高1兆円超の企業が多くあり、製薬会社だけでも35社。私たちも1兆円企業に成長するチャンスは十分にあると思います。

そのときには、売上高100億円企業を100社は有する巨大グループ企業になっていたいです。つまり、私以外に99人の社長が必要。ですから、そこを目指す人材に私の経営術のすべてを教え、成長を支援します。志の高い人と一緒に、世界の医療システムを改善するグローバルカンパニーを築きたいですね。

※特定健診:国によるメタボリックシンドローム予防事業の一環として、40歳~74歳までの公的医療保険加入者を対象に、腹囲測定などを行うもの
※二次予防事業:65歳以上の高齢者で、いまは要介護状態・要支援状態にはないが、そのおそれがあると考えられる人を把握し、要介護状態になるのを予防する各種の公的サービス
※高齢者へのアンケート調査:生活機能評価のこと。 65歳以上(要支援・要介護認定者を除く)を対象に、加齢にともなう生活機能の低下をいち早く発見するための健診

清水 史浩(しみず ふみひろ)プロフィール

1984年、岡山県生まれ。2007年に神戸商科大学を卒業後、22歳で株式会社エストコーポレーションを設立。代表取締役に就任する。順調に業績を伸ばし、2009年に関西支社、2011年に福岡支社、仙台支社を開設。今後は株式上場も視野に入れ、海外進出を本格化させる。

企業情報

設立 2007年7月
資本金 500万円
売上高 6億8,000万円(2013年6月見込み)
従業員数 68名(契約社員含む)
事業内容 二次予防事業対象者把握業務、ニーズ調査など二次予防事業業務全般、特定健診(住民健診・企業健診など)・生活機能評価のデータ作成・電子化業務全般、医療・福祉・介護システムの開発および導入とこれにかかわる一切の業務
URL http://est-corporation.jp/

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