累計経営者579人に取材、掲載社数311ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

IT業界の起業家インタビュー

Fullon株式会社 代表取締役社長CEO 木下 賢司

ITシステム業界のピラミッド構造を打破し新しい価値の創出に挑戦し続ける

Fullon株式会社 代表取締役社長CEO 木下 賢司

ピラミッド型の下請け構造が定着しているシステム開発業界。この構造を打破し、上場企業などの発注元から直接受注を獲得。2008年の創業から増収増益を続けているベンチャーがFullonだ。飛躍の理由を同社代表の木下氏と中井氏に聞いた。

※下記はベンチャー通信49号(2012年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―御社の事業内容を教えてください。

木下:大きく分けて4つあります。コアビジネスは、システムインテグレーション(SI)や保守など受託開発中心のITサービス事業で、売上の75%を稼ぎ出しています。ほかに、ポータルサイト・ECサイト・アプリの構築・運営などのネットサービス事業、コンサルティング&マーケティング事業、BtoBで実際にモノの売り買いを行うトレーディング事業も手がけています。専門商社機能まで保有している*SIerは、きわめて珍しいでしょう。

―システム開発以外の事業を手がけたきっかけは何ですか。

木下:創業時に、除湿機や空気清浄機の専業メーカーであるカンキョーさんを訪問したことがきっかけです。当時、同社ではまだWeb戦略が進んでいなかった。そこでWebダイレクトマーケティングを中心に提案、2年間ほど通い詰めました。担当者の方は前向きだったのですが、最終的に既存の枠組みを壊せないと断られてしまった。

 しかし、オンリーワンな同社の製品に純粋にホレ込み、Webを活用すれば絶対に売れるという確信を持っていたので、あきらめきれませんでした。そこで、初期費用ゼロ、当社の投資で完全成果報酬型*ECレベニューシェアを行うプランを提案。受注することができました。

―ゼロ円で受注したのですか。

中井:ええ。ECサイトの売上に応じて手数料を受け取り、数年かけて投資を回収するスキームでした。資金のない創業期でしたから、絶対に失敗できないプロジェクトです。持ち出し金額を抑えるため、共同代表の私がシステム構築を担当。昼間は他の顧客のプロジェクトに従事、夜はこのECサイト「カンキョーダイクレト」の開発を一人で進めました。はっきり言ってムチャぶりです(笑)。「タダで受注した」と聞いた時はビックリしました。短期的な会社の利益を考えるなら、別のプロジェクトを受注してもらった方がいい。しかし、尋常ではない熱心さで通い詰める木下の姿を間近で見ていますし、構想には筋が通っていた。長期的には当社が飛躍するきっかけになると確信し、OKを出しました。木下の気迫に押された、という側面も強いですが(笑)。

木下:前職時代から中井のことを「不可能の文字がない技術のスーパーマン」だと思っていました(笑)。彼がいたから、挑戦できたプロジェクトです。2010年7月にスタート、当社が開発・共同運営しているカンキョーさんのECサイト「カンキョーダイレクト」はエンドユーザーから好評を博し、おかげさまで、スタート1年目で当社の投資分は回収できました。そのほかのモール分も含めて昨年は2億円以上の売上を上げました。

中井:さらに、Web開発だけではなく小売事業そのものをサポートするノウハウを獲得できたのは、当社にとって大きな強みにもなりました。エンドユーザーに販売するノウハウを蓄積することができ、ほかのSIerとの差別化を図れたからです。

木下:完全成果報酬型ECレベニューシェアは、資金に余裕のない会社にとって有力な売上向上ツール。当社にとっても非労働集約型のビジネスモデルで勝負できるソリューションのひとつです。これからも積極的に展開し、共存共栄できるパートナーを増やしていきたいと思います。社名のFullonとは「絶好調」という意味の英語のスラング。当社が提供するサービスや価値を通じ、これからも顧客の事業をFullonにしていきたいですね。

―御社は営業部門を木下さん、技術部門を中井さんが統括し、ともに代表権を持つ2トップ体制です。互いの部門が衝突することはないのですか。

中井:当社のモットーは「営業スタッフも技術を学び、エンジニアも営業を学ぶ」。部門間の衝突は基本的にありません。たまにはありますが(笑)。
技術者としての個人的な見解ですが、エンジニア出身者が会社のトップに立ち、一人で統括している場合、業績が伸び悩むケースが多い。熱い営業を身上とする木下が社長としてトップに立っている当社のスタイルは、成長を目指すSIerとして理想的な姿です。事実、木下の手腕で大手上場企業からの直接引き合いが増えており、当社は新しい成長ステージに入ったと実感しています。

木下:SI業界は、良くも悪くも数社の大手ITベンダーを頂点とするピラミッド型の下請け構造にあります。この構造から脱却しなければ、真の企業成長はありません。ここ1~2年は当社の技術力が評価され、発注元の企業から直接指名されるケースが多くなったことに自信を得て、直接受注に舵を切っています。

 紹介もありますが、たとえば、GMOクリック証券、住友商事、ドン・キホーテなどの大手企業からシステム開発や資材調達に関して直接受注しました。

―なぜ、技術力が評価されているのですか。

中井:個々人が能力を存分に発揮できる環境にあるからだと思います。この業界はプログラマーを最下層とし、システムエンジニア、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーと階段を上がっていく構造です。でも、こんなヒエラルキーはおかしい。管理能力が劣っていても、圧倒的な技術力があるなら、高報酬を得るスーパープログラマーがいてもいいはず。だから、当社は各々のキャリアパスに合わせて技術者を評価し、それぞれの得意分野を伸ばしています。

木下:起業した理由のひとつは「エンジニアがモノとして扱われている現状を変え、IT業界のイメージを一新させたい」という想いでした。従業員に投資することが会社全体のレベルを引き上げ、顧客満足を高めると確信しています。毎年、全員のベースアップを実行していますが、それも従業員満足を向上させ、会社に力をつけるため。実際、創業以来、5期連続で増収増益を達成しています。

―どのような人材を求めていますか。

木下:当社はITをフル活用したコストダウンを中心に、マーケティングから物販までワンストップソリューションを提供しているプロフェッショナル集団。ITができるすべての領域に携わっているので、「ITをベースに何かやってやろう」と野心を持っている人には最適な事業環境があります。まだ世にない、新しいサービスを生み出すのも、創業時からのミッション。夢の実現に向けて、一緒に挑戦してくれる人材を待っています。

中井:私は「ちょっとだけ背伸びしよう」と社内に呼びかけています。小さな挑戦を続けて、自分ができる領域を少しずつ広げていく。そうした前向きな人材に仲間に加わってもらいたいですね。

※1SIer:System Integrater(システム・インテグレーター)の略称。システムを構築するIT事業者のこと。
※2ECレベニューシェア:サイトの売上を発注者やシステム構築者などの関係者で分配するスタイルのEC事業モデル。

木下 賢司(きのした けんじ)プロフィール

1975年、長野県生まれ。1999年に早稲田大学を卒業後、音楽業界を経て、2001年にITベンチャーに入社、執行役員営業部長に就任する。2008年にFullon株式会社を設立、代表取締役社長CEOに就任。「丸の内起業塾」第6期卒業生。

中井 茂樹(なかい しげき)プロフィール

1978年、北海道生まれ。1997年に北海道札幌丘珠高校を卒業後、ソフトハウスを経て、2001年にITベンチャーへ入社、執行役員技術部長に昇進する。2008年にFullon株式会社を設立、代表取締役副社長CTOに就任。「丸の内」起業塾第7期卒業生。

■生年月日:1978年12月26日 ■出身:北海道 ■身長:175㎝■体重:70㎏ ■平均睡眠時間:5時間 ■平均起床時間:午前8時 ■趣味:釣り ■乗っている車:なし ■おススメ本:なし ■家族:嫁と猫とウザギとメダカとカエル ■今までに訪れた国:2ヵ国 ■座右の銘:ちょっとだけ背伸びしよう ■購読雑誌:なし ■尊敬する人:父 ■今日の財布の中身:$20 ■好きな食べ物:嫁餃子 ■嫌いな食べ物:アスパラ

企業情報

設立 2008年5月
資本金 1,000万円
売上高 5億円(2013年4月期見込み)
従業員数 約30名(契約社員、委託技術者含む)
事業内容 ITサービス事業、ネットサービス事業、マーケティング事業、トレーディング事業
URL http://www.fullon.co.jp/

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