累計経営者579人に取材、掲載社数311ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

コンサルティング業界の起業家インタビュー

株式会社グローバルキャスト 代表取締役社長 川口 英幸

コンサルティング一人ひとりのドラマを演出し社員みんなを主役にする

株式会社グローバルキャスト 代表取締役社長 川口 英幸

大手通信会社から通信回線のセールスを請け負うなど、訪問販売を中心に多くの事業を展開するグローバルキャスト。2013年1月期売上高は25億円と、前期比280%の急成長を遂げた。名古屋から国内10都市とアジア3ヵ国に拠点を広げ、5つのグループ会社をもつまでに発展している。代表の川口氏に、急成長の理由や人材育成法、今後のビジョンなどを聞いた。

※下記はベンチャー通信55号(2013年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―通信系の訪問販売は競合が多いと思います。そのなかでの強みはなんですか。

川口:創業当初からコンプライアンス※を重視し、徹底してきたことです。訪問販売の世界はハングリーな人が多い。「とにかく稼ぐんだ」っていう動機で入ってくるケースが大半だからです。一方で、個人プレーに走りがちになり、会社への帰属意識は薄い。だから、コンプライアンスが不徹底になる。押し売りまがいのことをして、ユーザーからのクレームになったりする。でも、いまは世間の目が厳しい。不祥事を起こした会社と大企業は取引しない。私はこの時代の流れに着目。コンプライアンスの徹底を経営方針に掲げ、社員に浸透させてきたんです。結果、駆け出しのベンチャー企業は相手にしないような大手の通信会社や放送局から、仕事を受注。経営基盤を固めることができました。

―どうやって社員に方針を浸透させているのですか。

川口:会社の方針を話す前に、社員のことを理解しようと心がけています。たとえば、サーフィン好きの社員がいた。私はそれまでサーフィンをやったことはない。でも「道具一式そろえたいから、手伝ってくれ」と彼に言った。買ったボードを抱えて、一緒に海へ行ったんです。その後サーフィンはすぐにやめましたけど(笑)。まず社員が大事にしていることを理解する。そして同じ趣味をもつ仲間になる。そのうえで「今度はオレが大事にしていることを聞いてくれ」と、理念を話すんです。そうすれば耳を傾けてくれるものです。ほかにも、レゲエのイベントに熱中している社員につきあって、イベントに参加したり。社員が「おもしろかった」という本を貸してもらって読んだことは何回もあります。

―多くの経営者は自分が感銘を受けた本を社員に薦めていますが、逆のことをしているんですね。ほかに川口流の人材マネジメントがあれば、教えてください。

川口:営業成績が悪いからといって、決して怒らない。誰にでも好不調の波はある。不調のときに社長から怒鳴られたら、余計に落ち込んでしまう。それに、ムリに契約を取ろうと、コンプライアンス違反をしてしまうリスクがあるからです。社員の様子にはつねに目を配り、落ち込んでいるようなら声をかける。ひどくふさぎこんでいた社員が帰った後、自宅を訪ねたこともあります。「オマエ、今日落ち込んでいたな。明日はちゃんと来いよ」。それだけを言った。社員一人ひとりに感動を与えるドラマを演出する。それによって会社の一員であることの喜びを感じてもらう。結果、コンプライアンスの徹底といったことも浸透させられるんです。

―社員数が増えてくると、川口さんの目が行き届かなくなるのではありませんか。

川口:私と同じことができるマネジャーを育成して対応しています。私ひとりが目を配っていればよかったのは20~30名の規模まで。そのなかからマネジャーが育った。私と同じように、部下が趣味にしていることを自分もやってみせるとか、社員に感動を与えるドラマを演出させています。社名のなかの「キャスト」という言葉には、社員一人ひとりを会社の主役としてキャスティングする、という意味をこめているんです。

―独自の人材観にいきついた経緯を教えてください。

川口:19歳のとき、建設会社を起業したんですが、7年後に倒産させてしまった。私が経営者として未熟だったのがすべての原因。「偉くなりたい」「金持ちになりたい」といったひとりよがりの考えで起業したから、社員がついてこなかったんです。倒産したことでカネもプライドも、なにもかもなくした。いちばんつらかったのは、16人もの社員を路頭に迷わせてしまったこと。おカネはまた稼げばいいし、自分のプライドも取り戻せる。でも、失業させてしまった社員たちからの信頼は、一生かかっても取り戻せないだろうなと思ったんです。再起を期して訪問販売の世界に飛びこみ、資金を貯めた。それを元手にもう一度起業するとき、「今度は社員たちが心の底から愛してくれる会社にする」と心に決めたんです。

―今後のビジョンを聞かせてください。

川口:エリアの拡大と、新規事業の立ち上げをさらに進めます。社員が「この地域の拠点を立ち上げたい」「こんな新ビジネスを始めたい」と提案してきたら、やらせます。そのために「Dream Box」をもうけています。これは、各拠点に設置してあるカギのかかった箱。やりたい事業がある社員が企画提案書を入れるんです。開けられるのは私だけ。社員の夢をかなえ、主役として抜擢する仕組みです。ここから生まれた新事業のひとつが、語学スクール。シンガポールやフィリピンなど、英語が普及していて人件費の安い国で講師を雇い、ネットを通して日本人に英会話を教えるビジネスです。英語が得意な社員が発案。彼を責任者として展開しています。今後もこうした新事業をいくつも立ち上げていきます。そのために、人材採用をより強化しています。

―どんな人材を求めていますか。

川口:過去の経験はまったく問いません。なかには、家出して都会へ行こうとヒッチハイクしたら、それがたまたまウチの社員の車。そこで「行くアテがないなら、ウチで働けばいい」と勧められ、入社したスタッフもいるんです。ただし、管理部門に配属予定の人材でも、入社後数ヵ月は必ず訪問販売をやらせるのがルール。そこで適性を判断します。いちばん重視するのは、個人プレーに走らず、会社の一員としての意識をもっているかどうか。自分の月間目標を早く達成したら、未達成のメンバーを助ける。同僚が目標を達成したら自分のことのように喜ぶ。そうしたことがいつまでたってもできない人材は、自然と辞めていきます。

―最後に、進路に悩んでいる若手人材にメッセージをお願いします。

川口:失敗することを恐れないでほしい。おカネや仕事やプライドはなくすことがあります。でも、絶対になくならない財産がひとつある。それが経験値です。成功であれ失敗であれ、経験したことはすべて次に活かせる財産。失敗を恐れてチャレンジしないでいると、経験値という財産が増えない。若いうちは経験をとにかく積んでほしいですね。

※コンプライアンス:法令順守。法律や条例、社会規範を守る企業活動。

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