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著名起業家インタビュー

著名起業家利益追求ではなく、社会正義性を追求する

エン・ジャパン株式会社 代表取締役会長 越智 通勝

※下記はベンチャー通信26号(2007年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―越智さんは常に自分に厳しいんですね。

越智:通常、起業家になる人は、小さい頃に苦労している場合が多いんです。父親の会社が倒産して貧乏な思いをしたり、両親が離婚したり。そういう辛い経験をバネにして、将来は絶対に成功したいと強く願って起業する。かの近江商人も気候が厳しかったから、優れた商人があの地から生まれたわけです。逆境が起業家を生むわけです。しかし私の場合は幼少期の頃から恵まれていました。困難なことも特になかった。それが逆にコンプレックスになったわけです。楽な状況から脱皮して、もっと厳しい世界に身を置いて成長したい。意図的に自分を困難な状況に追い込まないと成長できないと感じていました。

―なるほど。32歳の時に御社の前身となる日本ブレーンセンターを起業したそうですが。

越智:まず新卒で入ったアパレルメーカーを2年で辞めて、その後に兄に誘われて兄の経営する食品メーカーに入社しました。兄は社員教育に非常に熱心だったので、そこで私も社員教育に興味を持ち始めました。そして29歳の時に大手の教育コンサルティング会社に転職したんです。
 その会社では一生働こうと思っていたんですが、老いた母から芦屋に帰ってきてほしいと毎晩のように電話がありました。そして32歳の時に芦屋に戻る決意をして、関西で日本ブレーンセンターを起業したわけです。日本ブレーンセンターは採用広告の代理店として、設立10年で関西NO.1の代理店になりました。社員120名、売上も30億円を超えました。そしてインターネットの到来を予期して、95年に社内にデジタルメディア事業部を設立して、ネットを活用した求人求職情報サービスを開始したんです。その事業部を独立させる形で2000年1月に設立したのが、このエン・ジャパンです。

―話は変わりますが、越智さんが考える“いいベンチャー経営者の条件”とは。

越智:まず志を持っていること。また自社の本業を熱っぽく語れるような経営者でないといけません。よく時価総額経営を言う人がいますが、私は間違っていると思います。時価総額世界一なんて言うのはおかしい。時価総額は結果であって、それを目標にするものではありません。経営者が自社の本業に信念と情熱を持たないと、ベンチャーは単なる打ち上げ花火で終わってしまいます。大義名分を掲げて経営に集中する。そして、その経営者の志に共感して社員が集まり、独自性と社会性を持ったビジネスを展開していく。これがベンチャー企業だと思います。

―他には何か条件はありますか。

越智:あまり表に出すぎる経営者は良くない。目立ちたがり屋の経営者は失敗すると思います。経営とは地道にコツコツと積み上げていくものです。まだ大きく成功していない若手の経営者がマスコミなどに露出するのは間違っていると思います。ベンチャー経営者なら創業時は自ら現場に出て指揮を執るべきです。24時間ずっと仕事のことだけを考え続ける。人に任せたりせずに、オールマイティーに仕事をこなせるようにならなければ社員も付いてきません。だから創業時にあまり優秀な幹部がいるのも問題です。経営者がその幹部に頼ってしまって、自らの能力が磨かれない可能性があります。まずは自分に付いて来てくれた社員をどうやって食わせるか。現場に出て経営者自ら汗をかく。それでいい。

―安易に人任せにせず、ベンチャー経営者は本業に集中せよということですね。

越智:そうです。社員全員が辞めても、一人でもやっていけるくらいの覚悟と気力が必要です。また創業時から安易に第三者割り当て増資で資金調達をするのもやめたほうがいいと思います。銀行などから有利子負債として借りた方がいい。通常、ベンチャーが銀行からお金を借りると、経営者が個人保証に入らないといけません。個人名義のハンコを押すわけです。こうなると背水の陣です。覚悟が違ってきます。

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