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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

新潟総合学院 理事長 池田 弘

Jリーグ「アルビレックス新潟」を成功に導いた男

地域活性化のロールモデルをつくる

新潟総合学院 理事長 池田 弘

※下記はベンチャー通信28号(2007年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―池田さんが最初に手がけたのが教育事業だそうですね。教育事業を始めた経緯を教えてください。

池田:高校卒業後、私は國學院大學で神職を学びながら、事業を起こすなら教育分野にしようと決めていました。私は新潟を活性化させるためには、教育の充実が大事だと思ったんです。質の高い教育を施す場をつくり、若い人を新潟に留めたいと思いました。それに教育事業は神主がやる事業としてふさわしいと思ったんです。もともと神社は地域の教育機関の役割も担っていました。たとえば寺子屋などが良い例です。そして神社の境内に校舎を建設して、学習塾やカルチャースクール、語学学校、国家試験の受験塾などを始めました。その後、専門学校を次々に開校していき、いまでは大学、高校、専門学校など合わせて30校、1万2000人もの生徒を擁する学校法人グループにまで成長することができました。

―アルビレックス新潟の社長に就任した経緯を教えてください。

池田:1992年、新潟県は日韓共催のワールドカップの開催地に立候補しました。しかしワールドカップを招致するには、新潟にJリーグのチームをつくらなければいけなかった。そこで急遽、地元のサッカーチームをプロ化することが決まり、その経営者として私に白羽の矢が立ったわけです。

―はじめはガラガラだった観客席が、ついに超満員になったそうですね。

池田:そのころの新潟には、まだスポーツ観戦にお金を払う習慣がありませんでした。またサッカーというスポーツへの理解も乏しかった。ですから、まずはスタジアムに足を運んでもらうことが先決だと考え、採算を度外視して無料招待券を大量に配布したんです。その結果、4万3000人収容できるスタジアムがほぼ満員になりました。その光景は壮観でしたね。スタジアムが満員になると、一体感があってシビレルくらい興奮する。きっとスタジアムに足を運んだ人たちも、超満員のスタジアムで新潟の地域愛を再確認できたんじゃないでしょうか。それ以降、無料招待券の配布を減らしても、スタジアムはチームカラーのオレンジで常に埋め尽くされるようになりました。

―話は変わりますが、池田さんはニュービジネス協議会の理事長も務めています。最近、世間を賑わしているベンチャー企業の一連の不祥事についてどう思いますか。

池田:新しいビジネスの場合、まだその分野の法規制が明確でないために、やっていい事といけない事の境があいまいな場合があります。つまりグレーゾーンが生じてしまうことが多々あるんです。そのグレーゾーンで、起業家がどう判断するかは、最終的にはその人の人間性に関わってくる問題です。白とも黒ともとれる状況の中で、あえて正しい方を選ぶ人かどうか。そこが問われるんです。つまり運が良い悪いという次元の問題ではなく、その人が「人生をどう生きるか」という心構えに深く関わっている問題です。せっかく良い資質とチャレンジする勇気を持って事業を成長させているにもかかわらず、法律に抵触して反社会的になってしまうのは非常に残念なことですね。
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