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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社エントリー 代表取締役社長 寺本 潤

異色の経歴をもつ起業家による「人材派遣革命」への挑戦

世の中にないサービスを打ち立て社会をもっと便利に

株式会社エントリー 代表取締役社長 寺本 潤

「われわれの仕事は、人と仕事の縁結びです」。そう語るのは、平均年齢27歳の若い組織を率いて、短期人材派遣業界で頭角を現すエントリーの代表、寺本氏だ。自身も派遣スタッフから身をおこし、ついには人材派遣会社の代表にまで上り詰めた異色の経歴をもつ。「24時間365日即日全額振込」といった革新的な仕組みを導入し、若手人材を次々と育成・抜擢する経営手腕で成長をけん引する同氏に、事業にかける想いやビジョンなどを聞いた。
※下記はベンチャー通信71号(2018年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

セブン銀行を巻き込み365日の給与支払いを実現

―事業内容を教えてください。

 短期に特化した人材派遣業を展開しています。物流、食品製造、イベント運営など派遣先は多岐にわたりますが、社会の隅々で必要とされている仕事だと自負しています。

 私自身、この短期派遣業界には派遣スタッフとしてかかわって以来、23年の経験があります。その後、正社員として登用され、支店長、エリアマネージャー、最終的にはその人材派遣会社の代表まで務めましたので、この業界のことは熟知しています。短期派遣業界が社会においてどのような役割を果たすべきか。かかわる人々はなにを求めているのか。そういったことをカタチにするために、この会社を立ち上げました。

―具体的に教えてください。

 たとえば、働く派遣スタッフが求めていることはなにか。それは、空いた時間にすぐ働けて、すぐに報酬を手にできる利便性です。その利便性を追求し、当社では業界初となる「24時間365日即日全額振込」を実現しました。提携したセブン銀行には、「これがいかに社会に必要なことか」をていねいに、かつ熱く説明し、賛同してもらいました。

 また、顧客企業に対しては、いっしょに働きながら当社の派遣スタッフを管理する「フィールドディレクター」という正社員を現場に派遣しています。これによって顧客のスタッフ管理の負担が減ります。そればかりか、心が許せる社員が現場にいてくれることで、派遣スタッフの不安が解消され、現場定着率の向上にもつながる。フィールドディレクターの報酬は当社負担なので利益度外視の施策ですが、企業・スタッフ双方からの評判も大変良いです。

クラウドソーシングを活用しCtoCの短期派遣モデルも開始へ

―エントリーで働く社員のための施策は実施していますか。

 ええ。じつは、そこがいちばん力を入れているところです。人材派遣業界の例にもれず、当社もかつては離職率の高さに悩まされました。職場環境改善のために、いくつかの施策を打ちましたが効果がなく、社員の声を聞いてもなかなか本音がつかめない。そこで私は、本音を聞き出すために、全新入社員の家庭訪問を実施したんです。全国に点在する社員の実家を訪問するなかで、「まずは労働時間の削減が急務だ」との認識にいたりました。

 そこで当社では、時間差出勤制度をつくり、一定時間に生じる仕事のピークを分散・分業する仕組みにしました。その結果、かつては月平均60時間だった残業時間を、昨年には16時間まで削減することができました。

―離職率に影響はありましたか。

 はい。退職者はほとんど出なくなり、退職率の高さに悩まされることはなくなりました。

 当社は平均年齢27歳の若い組織なので、若手の成長が会社の成長に直結します。ですから、若手人材はどこまでも大切にしたい。私は日頃、「社員は家族」と伝えているんです。「家族主義」を謳う会社は多いですが、状況次第では社員を解雇するもの。私自身、前職では大量解雇を迫られました。しかし、そんなものは本当の家族主義ではありません。私は、過去のつらい経験から、どんな場面でも社員は解雇しないと決めています。実際、過去には、普通の会社なら懲戒解雇を免れないケースでも社員を守り通しました。周りもその考えを理解してくれ、組織として受け入れ、育ててくれました。いまではその社員は、管理職として活躍しています。この姿勢を貫く当社だからこそ、「理念は家族主義だ」と自信をもって言い切れるんです。

―今後のビジョンを教えてください。

 2020年までは国内での出店を広げ、その後は東南アジアを中心にグローバル展開に着手します。2030年までにインド、その後はアフリカにまで出店を広げる計画です。

 一方で、業界の仕組みを変える取り組みにも引き続き力を入れます。たとえば、クラウドソーシングを活用した、CtoCの短期派遣モデルを確立させたいです。超高齢化社会を迎える日本には、個人ベースの短期派遣ニーズが増えてくることは間違いありません。ただし、そこには信用を担保し、個人が安心して派遣を依頼できる仕組みが必要です。その信用構築を当社が請け負う。それを実現するアプリを秋にはリリースする予定です。

 こうした事業の拡大にあわせて、組織もますます大きくなっていく。その成長を担うのは今後も若い力です。当社には、若手が組織の中核を担うチャンスはまだまだあります。いっしょに成長企業をつくり上げていく意志のある若手人材を、当社は求めています。
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