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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

KLab株式会社 代表取締役社長CEO 真田 哲弥

「学生ベンチャー」の先駆者が語る 人材が成長する条件

もがいて這いずりまわって自力で壁を突破せよ!

KLab株式会社 代表取締役社長CEO 真田 哲弥

※下記はベンチャー通信51号(2013年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―そうすると、人材採用が重要な経営戦略となりますね。御社ではどのような点を重視して採用しているのですか。

真田:意欲があって、性格がよく、才能豊かなこと。新卒であれ中途であれ、こうした人材を採用しています。行動力やバイタリティなどのキーワードで表現される「意欲」、素直やマジメといった人間的要素で構成される「性格」については、わかりやすい概念だと思います。しかし、残る「才能」については、少し説明が必要でしょう。才能には、主に2つの領域があると思います。ひとつは論理的に思考する力など、ロジカルな能力群。もうひとつはクリエイティビティや誰も考えつかないようなアイデアを出す発想力などの感性です。この2つの領域のほかに、人にかわいがられる人間的な魅力も、簡単にはモノマネできない才能のひとつといってよいでしょう。もっとも望ましいのは、ロジカルな能力と優れた感性を兼ね備えている人材ですが、どれかひとつでもいい。なにかズバ抜けた力のある人材は、「才能がある」といえますね。

―優秀な人材を採用しても、育成を間違えれば宝の持ち腐れです。人材育成については、どのように取り組んでいますか。

真田:会社の受付にも掲げていますが、当社のモットーは、大器晩成ならぬ「大器早成」。早く、大きく成長するには、若いうちから責任ある経験を積むことが必要だからです。だから、「コレは!」と思った人材には、入社年次や年齢、性別に関係なく、大きな裁量を与え、思いきって仕事を任せます。個人の能力を開花させ、成長してもらうことこそ、企業成長の原動力なのですから。

―そうした人材育成哲学が生まれた経緯を教えてください。

真田:そう考えるようなったのは、学生時代に起業し、若いうちから社長業をしてきた私自身の経験に基づいています。学生なのに社長の名刺をもち、飛び歩いていた私のことを、おそらく多くの大人たちは、「なにも知らない若造のクセに」と冷ややかな目で見ていたでしょう。事実、その通り。もっているのは夢だけで、なにも知らない若造でした。だから、あらゆることを自力でやるしかなかった。そうやってもがいて、這いずりまわっているうちに、自然と知識やノウハウを習得することができ、社長業のなんたるかを学んでいきました。ともかく、やらされている仕事、上からいわれた仕事をこなしているだけでは、成長はありえません。「ほかにやる人は誰もいない」という状況下で、必死になって努力するから、成長できるんです。

―組織全体の活性化についても、積極的に取り組んでいるそうですね。

真田:当社のオフィススペースの特徴は、壁がいっさいないこと。どこで誰がなにをやっているのか、すぐに見渡せるつくりになっています。これが象徴しているように、会社組織については、フラットでオープン、風通しのよさをつねに意識しています。組織をダメにし、個人の成長を阻害するのは、タテ割のセクショナリズムだからです。

でも、会社規模が100人を超えると、どうしてもヨコの交流や情報交換が減ってきます。そこで、正式な組織とは違うヨコ串をどれだけ刺せるか。そこが、組織活性化の要諦となります。

当社ではサークル活動が活発ですが、これもヨコ串のひとつ。ほかに、同月入社の社員によるランチ会、社内SNSなど、部門間の垣根を破り、セクショナリズムを壊す仕組みをあの手この手でつくっています。

―最後に、起業を目指す若者にメッセージをお願いします。

真田:起業したいなら、なにをやりたいのか、なるべく早く明確化して、その領域にどっぷり浸かって勉強してほしいですね。経営学なんか勉強しなくていい。そんなのは後からついてきます。それよりも、自分のやりたいことに向かって、手と足を使って試行錯誤することです。結局、そうしたドロくさい方法のほうが、短時間で知識やノウハウが身につきます。 それから、起業するにあたって一番大切なことは、一緒に起業する仲間をつくること。極端な話、ビジネスプランはなくてもかまわない。それよりも、誰とやるのか。仲間を見つけることがなによりも大事。事業はヒトがやるものですから。とくに起業を目指している学生は、この時期を仲間探しに費やしてほしいですね。
PROFILE プロフィール
真田 哲弥(さなだ てつや)プロフィール
1964年、大阪府生まれ。関西学院大学在学中に、学生向けの合宿制の運転免許学校のあっせんビジネスを起業。大学中退後、ダイヤルQ2を利用した情報提供会社を設立。その後、携帯電話向け通信技術開発会社で会社員生活を経た後、1998年に堀主知ロバート氏らとともに株式会社サイバード(現:株式会社サイバードホールディングス)を設立し、取締役副社長CTOに就任。2000年にR&D部門として、KLab株式会社の前身となる株式会社ケイ・ラボラトリーを設立し、代表取締役社長 CEOに就任。モバイルゲーム分野に事業転換したことなどにより、急成長を果たした。
企業情報
設立 2000年8月
資本金 9億3,392万円(2012年12月末現在)
売上高 152億900万円(2012年8月期)
従業員数 584名(2012年11月末現在)
事業内容 ゲーム事業、その他事業
URL http://www.klab.com/jp/
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