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著名起業家インタビュー

神戸大学大学院経営学研究科 教授 金井 壽宏

著名起業家「決断」と「運まかせ」を使いわけて最高の仕事をつかめ

神戸大学大学院経営学研究科 教授 金井 壽宏

就活を前に不安を抱えている学生は少なくないだろう。まだ職に就いた経験がないのに、自分にあった仕事を選ばなくてはならないのだから、不安になるのも当然だ。神戸大学大学院教授の金井氏は「就活時のキャリア・デザインは大まかなモノでもいい」とアドバイスする。「入社後、仕事に全力投球しつつ、偶然に身をゆだねていれば、適職にめぐりあう確率が高まる」という。日本におけるキャリア研究の第一人者である同氏に、就活の指針を語ってもらった。

※下記はベンチャー通信56号(2014年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―多くの就活生が「社会人としての経験がないのに、自分にあう仕事をどうやって選べばいいのか」と悩んでいます。

金井:確かに、フルタイムの仕事をした経験のない学生には、荷が重い作業です。かといって、進路を決めないわけにはいかない。ビジネスパーソンは節目節目で自分が進むべき道を見極め、「キャリア・デザイン」を描く必要がある。就職とは、最初にやってくる節目なのです。みなさんにアドバイスしたいのは、「就活時のキャリア・デザインは大まかなモノでもかまわない」ということ。就活段階で「自分にあった仕事を見つけださなければ」とあせる必要はない。多くのビジネスパーソンは30歳~40歳ぐらいで適職にめぐりあったり、「いまやっている仕事が適職なのだ」と確信をもちます。そのころまでに社会人としての経験を積み、憧れや夢ではなく、自分にあう仕事をリアルに判断できるようになっているからです。就活時のキャリア・デザインで必要なのは、自分がどの方向に進めば最適な仕事にめぐりあう可能性が高いか、大まかな感覚をもつことです。

―どうすれば方向感覚をもてますか。

金井:①「自分はなにが得意か」②「なにがやりたいのか」③「なにに意味を感じ、社会に役立っていると実感できるのか」を、自問自答してみてください。これはキャリアの方向性について考えるための"3つの問い"。米国のキャリア研究の大家で私の恩師でもあるエドガー・シャインが提唱したものです。とくに大事なのは3つめ。キャリアは歩み始めるとその後、40~50年にわたって続いていくものです。「得意」とか「好き」で選んだ仕事では、短期的にはモチベーションが上がるでしょうが、それを持続させるのはなかなか難しい。3つめの問いの"意味"が満たされると、長く続けられるケースが多いのです。大まかな方向が決まったら、具体的な業種や企業を調べ、どこにエントリーできる可能性があるかをリサーチ。優先順位をつけて就活すればいいでしょう。

―優先順位をつけたり、就職先を最終決定するのに迷ってしまうケースも少なくありません。

金井:迷うのも、不安を感じるのも、いたってノーマルな反応です。自分だけが悩んでいると思わないことです。そういうときは、親友や恋人などと話しあい、意見を聞いてみてください。いちばん参考になる可能性が高いのは、過去に同じ経験をしているみなさんの親の話です。「第三希望の会社だったけど入社してよかった」とか、「入社の理由なんて適当さ」と聞けば安心できるでしょう?また「社会人は厳しいぞ」といってもらえるだけでも、入社後に直面する現実の厳しさによるショックが相当に緩和されるはずです。ただし、親をはじめ相談相手からどれだけ貴重なアドバイスを得られたとしても、最後に決断して道を選びとるのは自分です。「自分で決める」という意識を強くもってください。

―それはなぜですか。

金井:「他人にすすめられたから」という意識でいると、なにかつらいことがあったときに、すぐ辞めてしまいがちだからです。「石の上にも3年」といいます。ひとつの仕事を選んだら、一定期間、努力量を投入して成果を検証しなければ、自分にあうかどうか判断できません。「自分で選んだ仕事だ」という意識があれば、多少つらいことがあっても全力投球できるでしょう。

―なるべく長く同じ仕事を続けたほうがいいのでしょうか。

金井:いいえ。そういうケースもありえますが、20代はさまざまな仕事にチャレンジしたほうがいい場合ももちろんありえます。自分の適性を見極め、キャリアの可能性を探る時期だからです。その適性の見極めに「一定期間、全力投球する」ことが必要なのです。また、さまざまな仕事に挑戦することで、偶然のチャンスにめぐりあう可能性が広がります。「義務で読んだ本に啓発されて仕事への使命感にめざめた」「望まない異動で人生の師と呼べる上司にめぐりあった」。こんなことがよくあります。自分の知識の範囲内でいくらデザインしても、たかが知れています。偶然に身をゆだねてドリフト(漂流)していいんです。就職や転職などの節目ではキャリア・デザインし、それ以外のときにはキャリア・ドリフトする。それを繰り返すうちに、適職といえる仕事に近づいていくのです。

―最後に、就活生にアドバイスをお願いします。

金井:だれかに相談する。企業をリサーチする。まずは動くことです。動かないと情報も入ってこない。思考することはもちろん大事ですが、行為なき思考は無意味ですから。

金井 壽宏(かない としひろ)プロフィール

1954年、兵庫県生まれ。1978年に京都大学教育学部を卒業後、神戸大学大学院経営学研究科博士課程に進む。同課程前期修了後の1984年、米国マサチューセッツ工科大学へ留学。1992年に経営学博士号を取得。1994年に神戸大学経営学部教授に就任。1999年に同大学大学院経営学研究科教授に就任。同研究科長を経て2012年から神戸大学社会科学系教育研究府長。『働くひとのためのキャリア・デザイン』(PHP研究所)、『仕事で「一皮むける」』(光文社)など著書多数。日本におけるキャリア研究の第一人者として活躍している。

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