累計経営者579人に取材、掲載社数300ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

著名起業家インタビュー

LINE株式会社 代表取締役社長 森川 亮

著名起業家ガラパゴス日本だからこそ世界的サービスが生まれた

LINE株式会社 代表取締役社長 森川 亮

※下記はベンチャー通信53号(2013年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―森川さんが開発の陣頭指揮をとったのですか。

森川:いいえ。チームメンバーにまかせていました。そもそも当社では、トップダウンによって社員の目標を決めたり、タスクを割り振ることはないんです。ユーザーにいちばん近いところにいるのは現場の社員。彼らがニーズを把握し、それにこたえるサービスを開発する。トップをはじめ経営陣はそれをサポートする立場だというのが、当社の考え方です。プロジェクトチームのなかでの役割分担も流動的。仕事は与えられるものではなく、とりにいくもの。職種や役職は一応ありますが、エンジニアが企画職をさしおいて商品企画を立てたり、入社1年目の社員がリーダーを押しのけてメンバーに指示を出すこともある。それがユーザーニーズを満たすためによい役割分担であるなら、いっこうにかまわないというのが当社のカルチャー。「これはオレの仕事だ」とか「オマエは役職が下なんだから口を出すな」という態度の社員がいたら、当社に長くは留まれないでしょうね。

―統制のとれない組織になってしまう心配はありませんか。

森川:上からの統制なんて、必要ないんです。私のいうことを聞かない社員もたくさんいますよ(笑)。ただし、「ユーザーの満足」という全社目標は共有しています。職種や役職に関係なく、ユーザーのニーズにこたえられる能力がある人間が主導権をとる。ルールはこれだけ。たとえるなら、サッカーチームのような組織かもしれません。フォワード、ディフェンダー、ゴールキーパーといったポジションはある。でも、シュートを打つのはフォワードだけじゃない。ディフェンダーが打ってもいいし、状況によってはゴールキーパーが前線にあがってシュートを放ってもいいんです。試合に勝つことがチーム全体の目標なんだから、当たり前ですよね。

―森川さんは2007年に社長に就任しました。そのときから、そうした組織論をもっていたのですか。

森川:いいえ。試行錯誤の結果、現在の組織にいきついたのです。トップに就任して間もないころは、私が先頭に立って新事業を企画していました。そのうちのひとつがゲームカフェの運営。東京・原宿に、1杯100円のコーヒー代だけでオンラインゲームが楽しめるお店を出しました。おしゃれな土地に出店することでオンラインゲームのイメージアップをねらった。でも、来店者は多かったが、想定したビジネスモデルが成り立たない。すぐに店じまいすることになりました。オンラインゲームの客層と原宿の客層が違いすぎたのが原因です。この苦い経験から、トップダウンではユーザーのニーズからかけ離れた決定を下してしまう危険があると痛感したのです。それからは現場にまかせるスタイルに変えました。

―海外戦略について教えてください。今後のユーザー獲得目標はありますか。

森川:事業計画は立てていないんです。だから数値目標もない。もし「5年後に5億人のユーザー獲得」とか、目標を立てたとしても、5年後には環境が激変しているかもしれない。それなのに、数値目標の達成にこだわった経営を続け、変化への対応が遅れてしまうかもしれないからです。だから、未来の予測もしない。それよりも、なにか変化が起きていないか、現在をウォッチすることに専念しています。変化が起きたとき、すばやく対応する。それが変化の激しい時代に生き残る、たったひとつの方法だと確信しているからです。

海外進出についても、ユーザーニーズの高まりを示す情報を得てから、その国でのサービスを強化しているんです。たとえばスペイン。スマホの普及が始まり、「LINE」のダウンロード数が増えていると聞き、テレビCMを打つといった宣伝を開始。それが功を奏し、今年4月に欧州ではじめてユーザー数が1000万人を超えた。そうやって、つねにユーザーのニーズにあわせて動いています。ニーズが高まっていないところでムーブメントを起こそうとしても、結局はうまくいかないものです。

―最後に、世界での活躍を目指す若い人にメッセージをお願いします。

森川:変なこだわりをもつ必要はない。あきらめも早いほうがいい。成功したいなら、柔軟になるべきです。自分はこうなりたいとか、こんなことを実現したいとか。夢やこだわりにしばられすぎるのは危険です。いまはその夢を実現することに世の中のニーズがあったとしても、5年後、10年後もずっとあるとはいえないからです。一方で、変化の激しい時代は、経験の少ない若い人に大きなチャンスをもたらします。経験を積み、スキルが高い人は、自分のなじんできたやり方にこだわるあまり、変化への対応が遅れてしまうことがある。それに対して、経験の少ない人はこだわりがない。ニーズの変化をすばやくとらえ、すばやくそれにこたえられる能力を身につければ、対応が遅い人の先をいくことができます。スキルがなくても、スピードで勝てる時代です。ぜひ、柔軟性とスピードを身につけ、成功をかちとってほしいと思います。

森川 亮(もりかわ あきら)プロフィール

1967年、神奈川県生まれ。1989年に筑波大学第三学群情報学類を卒業後、日本テレビ放送網株式会社へ入社。ネット広告や映像配信、モバイル、国際放送など多数の新規事業立ち上げに携わる。仕事のかたわら青山学院大学大学院国際政治経済学科に通い、1999年にMBAを取得。2000年にソニー株式会社へ入社。ブロードバンド事業立ち上げなどに携わる。2003年にハンゲームジャパン株式会社(現:LINE株式会社)入社。2007年に同社の代表取締役社長就任。2011年6月に「LINE」のサービスを開始。わずか1年半後の2012年12月にユーザー数1億人を突破するほど急成長させた。2013年4月、ゲーム事業を分離して、「LINE」をはじめとしたWebサービス事業を展開するLINE株式会社に社名を変更。代表取締役社長に留任。

企業情報

設立 2000年9月(2013年4月 NHN Japan株式会社より商号変更)
資本金 125億9,619万円(2013年4月1日現在)
従業員数 644名(2013年4月1日現在)
事業内容 コミュニケーションアプリ「LINE」の運営、インターネット検索サービス「NAVER」の運営、ポータルサイト「livedoor」の運営
URL http://linecorp.com/

その他の著名起業家の記事

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

ベンチャー通信

ベンチャー通信
ベンチャー情報雑誌

「ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを取材」をコンセプトに編集している、2000年創刊のベンチャー情報雑誌です。

ベンチャー通信への掲載・取材希望の方

ベンチャー企業の採用力強化、自社の成長性・知名度アップのため、ベンチャー通信に貴社の取材記事を掲載してみませんか?

  • ベストベンチャー100
  • 注目の西日本ベンチャー100
  • 人財力100 人材採用と育成に力を入れている100社
  • 活躍しているエンジニアの職場を取材!Tech通信ONLINE
  • INOUZ Times

ベンチャー通信メールマガジン

ベンチャー通信注目の企業や、ビジネスニュースなどの情報をお知らせします。

ご登録はこちら

pagetop