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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

松井証券株式会社 代表取締役社長 松井 道夫

我は我なり

松井証券株式会社 代表取締役社長 松井 道夫

「おもしろきこともなき世をおもしろく」これは幕末の志士、高杉晋作の辞世の句である。この言葉を自らの座右の銘として、松井は証券業界の革命児に名乗りをあげた。異端であることを良しとして、あくまでも自分に素直に、正直に生きる松井道夫。彼の毒舌もまた、その証と言えるのではないだろうか。「我は我なり」を貫き通す松井に、今の若者と起業について聞いてみた。
※下記はベンチャー通信6号(2002年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―小さい頃はどのようなお子さんでしたか。

松井:ごく普通の子供でしたよ。どちらかというとそれほど目立つタイプではありませんでした。絵はすごく好きだったので、小さい頃からずっと書いていましたね。当時は、風呂屋の看板描きになりたかったんですよ。

―高校時代はどのように過ごされていたのですか。

松井:私が高校1年のときに、高校紛争というものが起こりました。私が通っていた竹早高校が全国の高校紛争の口火を切ったのです。それで学校はロックアウトになりました。つまり、学校に行く必要がなくなったのです。朝には建前だけの集会がありましたが、午後からは全くの自由。しかし、その集会にもほとんど行っていませんでした。映画が好きだった私は、新宿の名画座で3本立てを見たり、オールナイトにも何度も行ったりしていました。ひどい日には、3本立てを一日3ローテーション、朝から夜の9時ごろまで見ていましたね(笑)。また、友人と喫茶店で、一日中雑談をすることもありました。そのような状況だったので、卒業式もたったの3分間しかありませんでした。国家も校歌ももちろんなく、「卒業おめでとう、解散!」で終わりです(笑)。嘘のようですが、本当の話なのですよ。

―そのあと、一橋大学に進学されたそうですね。

松井:高校時代に全く勉強をしなかったせいで、一浪することになりました。大学時代、私は大学の近くにある寮に住んでいました。ですから、パジャマで大学に行っていた時期もありましたね(笑)。大学にはほとんど行かない不真面目な学生で、寮などで友人と麻雀を打ったりしていました。高校時代の怠惰な生活が復活したという感じです。将来は外交官になりたいと思っていましたが、その夢も入学してからすぐに消えましたね。

―もし今、松井社長が大学に戻れるとしたら、どんなことをしたいと思いますか。

松井:哲学を勉強したいですね。実は今、マックスウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を読んでいます。学生時代に読んだときは全く面白くなかったのですが、今読むとこれほど面白い本はないと思います。また、経済学もきちんと系統立てて勉強しておけばよかったなと今になって思いますね。こういう勉強も含めて、大学生の4年間の間は、ものごとを考えるきっかけを作ることが本当に重要だと思います。すごく難しい本は学生時代にしか読む機会がないじゃないですか。でも、それをやった人間とそうでない人間とでは、後になって格段の差が出てきます。例えば、ニューズウィークの英語版を読むときに、私は見開きで1時間くらいかかります。でも、きちんと勉強をしていたら20分で読めるのですよ。そうなると全然違ってきますよね。もし学生時代にきちんと勉強しなければ、私みたいにズルズルと惰性の生活になってしまいますよ(笑)。

―今、将来のことについて悩んでいる学生が非常に多いのですが、どのようすればよいと思われますか。

松井:大学生というたった4年間で将来の自分を見極めることができる人は、非常に幸運だと思います。学生時代の短い期間で将来をすべて決めようとしても、それは無理です。まずは、すぐにはわからないということを認識するべきですね。しかし、50歳になっても60歳になってもわからないというのも不幸ですよね。ですから、35歳を目処に何かを見つけるのがいいのではないでしょうか。22歳前後で社会に出れば、35歳まで13年間あるわけです。その時期を目標にして、それまでに自分の適職というのを探すことが一番の近道だと思います。いったん「これだ」というものを決め、それをやりながら、35歳まで考えつづけるのです。22歳で最終目標を見つけるなんて無理ですよ。一番ダメなのは失敗を恐れて何もしない人です。自分が35歳になったときに、リーダーになって何かやってやるのだという気持ちをずっと持ちつづければ、13年後には大きな違いとして表れてくると思いますよ。
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