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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社メディアフラッグ 代表取締役社長 福井 康夫

フィールドマーケティングのトップリーダーとして売上100億円をめざす

ITと人の力で日本の流通業界に新たな価値を創造する!

株式会社メディアフラッグ 代表取締役社長 福井 康夫

創業以来9期連続で増収を続けるメディアフラッグは、フィールドマーケティングの業界において、単体として初めて2012年に上場を実現。業界のトップリーダーの地位を確立しつつある。店頭・店舗に特化したマーケティングで、年間20万件におよぶ膨大なデータベースを蓄積してきた同社。代表の福井氏に事業への想い、次なる成長戦略について聞いた。
※下記はベンチャー通信特別号/2014年 IPO市場 最前線号(2014年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―御社は9期連続で増収を達成しています。ビジネスモデルをはじめとする、その理由について教えてください。

福井:当社は店頭・店舗に特化した、企業のマーケティング活動を支援する会社です。今の世の中は店舗の数も膨大で、売られる商品もあふれています。競合店舗が多数あり、商品に関する情報も過多のなかで、もはやマスメディアによる訴求だけではモノが売れない時代になっているのです。こういう時代こそ、店頭でのマーケティングが重要視されていきます。当社の事業は、流通業を中心としたチェーンストアの店舗活性化を支援する流通支援事業と、消費財メーカーの店頭強化をサポートする営業支援事業が2つの柱。流通支援事業においては主に覆面調査事業を、営業支援事業においてはメーカーの立場で店頭を巡回するラウンダー業務を主に提供しています。こうしたフィールドマーケティングの重要性に早くから着目し、それを多くのクライアントに理解していただけたことが連続増収という結果に結びついているのだと思います。

―御社のビジネスモデルとしての強みはどの部分にあるのですか。

福井:大きく分けて3つあります。1つは当社の従業員の半数以上が流通・サービス業など幅広い分野の流通出身者で構成されている点です。私自身、前職で大手コンビニチェーンの店長やスーパーバイザーを経験しているほか、スタッフの多くが現場の「流通ノウハウ」を熟知していることは大きな強みです。2つめは、覆面調査やラウンダー業務を行うスタッフとして、全国18万人を超える「メディアクルー」を組織する強固なフィールドネットワークです。メディアクルーの特長は、理念共有型のネットワークであることです。各県に複数の「ブロンズクルー」と呼ばれるインストラクターを置き、エリアごとに勉強会を実施して、事業の意義や理念を共有しています。もちろん私自身も全国を巡回し定期的に懇親会を開催するなど、クルーの士気やモチベーションを高めています。そうした取り組みによって現場での調査や販促活動のクオリティを高く維持していることが顧客からの信頼につながっていますね。

―クルーは現場での調査や販促活動をどのように行うのですか。

福井:その答えが3つめの強みになるのですが、現場のクルーは、当社が独自開発したフィールドマーケティングシステム「MarketWatcher」を活用しながら調査や販促活動を行います。携帯電話を使って、場所や時間を問わずに現場の状況や消費者の意見をリアルタイムに報告できるシステムで、年間20万件におよぶフィールドデータベースを蓄積しています。これは非常に大きな強みであり、そのまま当社の店舗支援のノウハウとして活用できるものです。数字の上がる売り場作りや顧客満足につながる店舗の展開方法や接客の方法など、他社に真似できない当社のソリューションの軸になるものですね。このように「ITと人をキーワードに流通業界に新しい価値を創造する」ことを事業コンセプトに、飲食業、小売業、金融機関といった各種サービス業の大手クライアントから高い支持をいただいています。

―とくに大手のクライアントから支持を受ける理由を教えてください。

福井:全国18万人のメディアクルーによって調査・販促のための大きなネットワークを作っていますから、ある程度の規模感をもつお客さまのほうが、サービスとしてのメリットが生まれやすいことが挙げられると思います。ただ今でこそ、日本を代表するような多くの大手企業にクライアントとして名を連ねていただいていますが、創業から数年は赤字が続き、最初は誰からも相手にされませんでした。私は現場の経験からフィールドマーケティングの重要性を認識していましたし、当社のビジネスモデルには自信がありましたが、多くの大手企業に営業をかけてもなかなか売れない。聞くのは、「やっていることは確かに面白い。でも残念ながら直接発注はできない」という話ばかりでした。つまり、信用力に乏しかったのです。当時を振り返ると本当にたいへんでした。

―設立から10期を迎えて、これまでを振り返るとどのようなターニングポイントがありましたか。

福井:創業から4期までは赤字が続き、理解ある支援者から出資は受けたものの、累積損失や借入金が膨らんでいきました。業績や会社の数字を知る幹部はどんどん辞めていき、従業員も追いかけるように辞めていく悪循環。そんななかで4期の終わり頃、ビジネスモデルに理解を示してくれた大手広告代理店から大きな出資をもらったのです。そこから潮目が変わりました。その実績が追い風となって、他の大手クライアントからも出資や受注をもらえるようになりました。業績の部分ではそれが1つのターニングポイントだったように思います。

―ほかにも分岐点はありましたか。

福井:もう1つは、私自身の経営者としての器の問題でした。創業から赤字が続きずいぶんと弱気になっていましたし、従業員への接し方も今思い返せばひどいものだったと思います。実際、赤字が続いた理由として社員の離職率の高さがありました。人が残らないからノウハウが蓄積されないし、クライアントもリピーターにならない。私自身経営者として未熟で、経営に対する覚悟が足りなかったと思います。そんな私を救ってくれたのが、ある経営者から紹介された「盛和塾」への入塾でした。言うまでもなく京セラ創業者の稲盛和夫さんが創設した経営塾です。そこで企業理念構築の大切さや経営に際しての考え方、社員への接し方など、経営者として自分に欠けていた多くのことを学びました。そこから、このビジネスは自分がやり切る、経営者としてのリーダーシップをもってやり抜くという覚悟が備わったと思います。すると不思議なことに人が次第に辞めなくなっていったんですね。当時新卒の社員も採用していましたので、せっかく入ってくれた彼らのためにも、自分がやり抜くという思いが強くなっていきました。
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