累計経営者579人に取材、掲載社数311ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

IT業界の起業家インタビュー

株式会社アウトソーシング 代表取締役会長 兼 社長 土井 春彦

IT新たな領域に挑み、2014年度までに売上高1000億円へ

株式会社アウトソーシング 代表取締役会長 兼 社長 土井 春彦

激化し続けるグローバル競争に立ち向かう日本のメーカー。その生き残りに向けた効率化や海外展開を支えるパートナーとして存在感を高めているのが「アウトソーシング」だ。同社はジャスダックを経て、2012年3月に東証二部へ上場。強化された資金調達力をベースにM&Aや海外展開を推進し、2014年度までに売上高1000億円超、そして業界No.1を目指している。まずは代表の土井氏に、これまでの道のりと今後の経営戦略を語ってもらった。

※下記はベンチャー通信50号(2012年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―御社は人材派遣や業務請負のゆがみを是正するために、設立されたと聞きました。もともと、業界にどのような課題があったのですか。

土井:1970年代から各メーカーが短いサイクルでどんどん新製品をつくるようになり、繁閑の波が大きくなりました。その結果、期間契約社員や派遣社員といった非正社員へと現場の担い手が変化。ピーク時には、約3兆円もの巨大市場へと成長しました。ただし、同時に問題も起こりました。従来は正社員としての終身雇用を前提にしていたため、新しい雇用形態を規制する法律が存在しなかったのです。資金効率がよく、認可もいらず参入できたため、業者の質は玉石混交。契約上は「請負」という名目で、実質的な人材派遣を行っている業者も数多くありました。このようにして、人材派遣、業務請負はグレーな要素をともなう業界になってしまったのです。

―時代の変化に法律が追いついていなかったわけですね。アウトソーシングを設立した経緯を教えてください。

土井:私は1987年から複数の会社を経営し、人材を供給するというサービスを提供してきました。しかし、えもいわれぬ不安感を抱えていたんです。社会からグレーなイメージを持たれたままで、長期的な成長ができるのかと。かねてから「短期的に利益をあげて、すぐに衰退してしまうのではなく、長期的に生き残る会社をつくりたい」と考えていたので、業界自体を整備したいと強く想うようになりました。そして、会社をひとつにまとめ、コンプライアンスの徹底を決意。1997年に当社を設立したのです。

―第2の創業として、リスタートしたわけですね。

土井:ええ。まず管理部門の強化から手をつけました。当時の生産アウトソーシング業界ではオーナー経営者の拡大志向が強く、売上何百億円の会社が法律違反をするケースが数多くあったからです。そうならないために、オーナーを牽制できる体制を構築。また、社員の行動規範を明文化し、売上や利益よりも法令順守を徹底する意識を共有しました。でも、しばらくは業績につながりませんでしたね。顧客企業は、コンプライアンスよりも雇用の柔軟性と低コストを求めていたからです。たとえば、雇用した人材を社会保険に入れない生産アウトソーシング会社は、低価格で人材を提供できます。そういったコンプライアンスを守らない大手業者に、なかなか勝てなかったんです。

―成長のきっかけを教えてください。

土井:最初のきっかけは新聞報道です。ある人材派遣会社を告発する形で、大手新聞社が業界のゆがみを大々的に取り上げたのです。そこからコンプライアンスの重要性が世間に浸透していき、法令を順守していた私たちが評価されるようになりました。そして、決定的な転機は2008年のリーマン・ショック。2004年から製造業への労働者派遣が解禁され、増加していた派遣労働者の解雇、いわゆる「派遣切り」が社会問題となりました。そのため、派遣会社とメーカーを相手にたくさんの訴訟が起こされたわけですが、管理部門のない派遣会社は対処できず、主にメーカーが対応しました。このときの苦い経験によって、景気回復後に当社が選ばれるようになったのです。

―2004年に株式を上場しましたが、効果はありましたか。

土井:大きかったですね。たとえばリーマン・ショック後、製造派遣が禁止される動きが出ました。そこで業務請負のニーズが高まったのですが、請負契約として国から認められるには、労働力供給のスキームではなく、メーカーなみの生産体制を構築しなければなりません。したがって、メーカー側から業者への技術継承が必要となり、当社のような信頼性の高い上場企業が選ばれるわけです。また、アライアンスの後押しにもなりました。派遣社員を直接雇用の期間契約社員へ切り替えた大手メーカーでは、雇用契約満了にともない、寮の解約や原状回復など住居に関する煩雑な手続きが発生します。1000人規模の期間契約社員を活用する大手の場合、毎日のように期間満了者が出るため、とても処理しきれません。そこで、企業の社宅管理をしているリロケーション・ジャパン(東証一部上場企業であるリロ・ホールディングス傘下の事業会社)と共同出資で会社をつくり、管理業務委託サービスを提供することになりました。

―2012年3月には東証二部に上場しましたね。

土井:ええ。資金調達力を強化するとともに、アウトソーシングニーズの高度化・多様化へ対応力を高めるためです。将来的には一部指定も視野に入れ、さらなる飛躍をはかっていきます。

―グループ全体の今後のビジョンを聞かせてください。

土井:経営理念にも掲げているように、製造業の生産の効率向上を追求します。効率を向上させる最大のポイントは、雇用の流動化をメーカーに代わって実現すること。私たちが雇用を流動化できる理由は、電機、輸送機器、化学など、いろいろな分野に雇用の場を持っているからです。しかし、東日本大震災に歴史的な円高や電力の問題が重なり、製造業を取り巻くグローバル競争が厳しさを増しました。最近は国内の製造業全体が悪い状況ですので、製造業と異なる景気サイクルで動く事業もつくらなくてはなりません。そこで、より幅広い領域で事業を展開するトータルアウトソーシング企業へ向けて、さまざまな取り組みを進めています。

―具体的に、どのようなことに取り組んでいるのですか。

土井:大きな柱のひとつが、ITを中心とした第3次産業の事業強化です。昨年からM&Aを加速すると同時に、子会社の再編に着手。今後は電気・電子、医療、化学などの領域との相乗効果をはかると同時に、海外企業グループとの連携でグローバルに展開し、新興国の成長市場を積極的に取り込んでいきます。すでに海外グループ会社19社と合わせて、世界6ヵ国35拠点に展開。海外のスタッフは6000名を超えました。国内のスタッフを加えると、約1万4000名の総合人材グループとなります。ASEAN地域を中心に、アジア圏の人材ネットワークを早期に確立したいですね。

―数値目標はありますか。

土井:当グループの2011年12月期の売上高は約324億円。過去最高益を更新しましたが、まだ通過点に過ぎません。国内だけでも3兆円近くのマーケットがありますから、コンプライアンス面の差別化戦略によってシェアを拡大します。そして、2014年度までに売上高1000億円を超え、業界No.1を目指します。No.1にこだわるのは、「業界を整備する」という創業の想いを実現するため。業界のリーディングカンパニーとして、雇用をめぐる新しいルールづくりにも強くかかわれる存在になりたいと思います。

土井 春彦(どい はるひこ)プロフィール

1959年、京都府生まれ。1987年の創業を皮切りに、複数の生産アウトソーシング会社を設立して経営。1997年に株式会社アウトソーシングを設立し、代表取締役社長に就任。これまでのグループ会社を統合し、業界の健全化に向けて新たなスタートを切る。同社は2004年12月にジャスダック、2012年3月に東証二部へ上場。さらなる成長を目指し、IT分野の強化とグローバル展開を進めている。

企業情報

設立 1997年1月
資本金 4億8,544万3千円(2011年12月31日現在)
売上高 323億97百万円(連結:2011年12月31日現在)
従業員数 11,394人(連結:2011年12月31日現在)
事業内容 生産アウトソーシング事業
子会社/株式会社ORJ、株式会社アネブル、株式会社アウトソーシングテクノロジー、株式会社アールピーエム、株式会社トライアングル、エルゼクス株式会社、OSセミテック株式会社、REVSONIC-ES株式会社、株式会社アストロン、株式会社アウトソーシング・システム・コンサルティング、アスカ・クリエイション株式会社、株式会社グレイスケール、株式会社大生エンジニアリング、奥拓索幸(上海)企業管理服務有限公司、OS(THAILAND)CO.,LTD.、OS Recruitment(Thailand)Co.,Ltd.、J.A.R. Services Co.,Ltd.、PT.OS ENGINEERING& CONSULTANT INDONESIA、株式会社OSインターナショナル、FARO RECRUITMENT(CHINA)CO.,LTD.、Faro Business Consulting(Dalian)Co.,Ltd.、FARO RECRUITMENT (HONG KONG)CO.,LIMITED、FARORECRUITMENT(SINGAPORE)PTE.LTD.、Faith Root RecruitmentVietnam Joint Stock company、STAFF SOLUTIONS AUSTRALIA PTY LTD、OS VIETNAM CO.,LTD.、PT. OS SERVICE INDONESIA、OSPower Vietnam CO.,LTD.、古籟依(大連)信息科技有限公司
URL http://www.outsourcing.co.jp/

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