累計経営者579人に取材、掲載社数293ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

IT業界の起業家インタビュー

株式会社シグナルトーク 代表取締役 栢 孝文

IT「ITで認知症予防」という壮大な事業に挑む

株式会社シグナルトーク 代表取締役 栢 孝文

完全有料ゲームでありながら、会員数50万人以上・年間売上6億円以上を誇るオンライン麻雀ゲームがある。その名は「Maru-Jan(まるじゃん)」。開発・運営を手がけるシグナルトークは、2007年から麻雀ゲームによる認知症予防の研究に取り組んでいる。現在は、認知症の有無・予兆を測定するサービスの開発に邁進中だ。「クリエイターの理想郷」を標榜する代表の栢(かや)氏に、社会貢献への想いなどを聞いた。

※下記はベンチャー通信46号(2012年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―まずは御社の事業内容から教えてください。

栢:オンラインゲームの企画・開発・運営を行っています。中でも、2004年にリリースしたオンライン麻雀ゲーム「Maru-Jan(まるじゃん)」は、会員数50万人以上、年間売上6億円を超えるビッグタイトルに育っています。それ以外にも約10種類のオンラインゲームを運営していますが、オリジナルブランドにこだわっており、受託開発は一切やっていません。下請け仕事では、自分たちが主導権を取って品質重視の開発スケジュールを引くことができないからです。たとえ発売時期が延期になろうとも、ユーザーに待ってもらえるような高品質のゲームをつくることに徹しています。そのために人材も厳選して採用しており、結果的に少数精鋭の体制となっています。

―完全有料ゲームにもかかわらず、「Maru-Jan」がヒットしている要因は何ですか?

栢:無料オンライン麻雀ゲームよりも、デザイン性、リアルさ、サービスの安定性など、あらゆる点において高いレベルに磨き上げているからです。特にカスタマーサポートにおいては、かゆいところまで手が届くサービスを徹底しています。例えば「ゲームが起動しない」という連絡をいただいた場合、パソコンのトラブル、セキュリティソフトのブロック、ハードディスクの容量不足、プロバイダーの問題など、考えられる原因をひとつずつ潰します。パソコンに詳しくないお客さまに合わせて、事前に最も簡単な操作法も研究してあります。そして、お客さまの声をゲームの機能や運営体制の改善につなげています。

―麻雀ゲームによる認知症予防の研究にも取り組んでいるそうですね。その経緯を教えてください。

栢:「Maru-Jan」会員の半数以上は45歳以上で、60代が3割を占めています。2006年ごろ、「麻雀は痴呆の予防になる」という俗説の真偽を確かめるため、日本早期認知症学会の会長に相談に伺ったのです。最初は「麻雀には認知症の予防効果がある」と言っていただくことでプロモーション効果が期待できるという下心からでした(笑)。しかし、先生のお話を聞いた後、自分なりに調べていくうちに、「認知症予防を実現させることが当社のミッションである」と真剣に考えるようになったのです。もちろん麻雀に限らず、ゲームや運動などで脳に刺激を与えることは、認知症予防や進行を遅らせるのに効果的です。でもオンライン麻雀ゲームならば、外出の機会が少ない冬でも家の中で刺激源になる。まさに、ぴったりの認知症予防サービスとなりえると確信したのです。以来、5つの大学医学部の研究室などと共同研究を行ったり、アドバイスをいただいて実証研究に取り組んでいます。

―すでに成果は上がっているのですか?

栢:研究の副産物として、認知症の有無・予兆を測定する方法が分かりつつあり、そのサービス開発に取り組んでいます。これが完成すれば、認知症の早期発見に役立てることができるのです。がん同様、認知症は早期発見・早期治療が最大のポイントです。完全に治すことはできません。認知症患者は日本に約220万人いますが、中度になると家族を忘れ、重度になると自分を忘れるという重篤な病気。認知症にまつわる悲惨な事件・事故も後を絶ちません。そこまで至らなくても、認知症高齢者の介護は精神的・肉体的な苦痛が伴います。これを減らすことができれば、多くの人を助けるだけでなく、医療費の抑制にもつながるでしょう。

―非常に大きな社会貢献となりますね。

栢:はい。ですから、開発スピードを上げて、1日でも早く完成させたいと考えています。そのため、この開発にかかわるエンジニアやディレクターを求めています。もし認知症を予防する技術を確立できれば、ノーベル賞クラスの成果といわれています。興味を持つ人にぜひ応募していただきたいですね。

―もともと栢さんは起業を目指していたのですか?

栢:起業というよりも、ゲームクリエイターを目指していました。子どもの頃、ファミコン代わりに父親がパソコンを与えてくれ、プログラミングにのめり込みました。その後ファミコンにもはまり、ゲームクリエイターを目指すようになったのです。そして、大学と大学院でコンピュータを学び、セガに就職。念願のゲームクリエイターとなりました。その後、ソニー・コンピュータエンタテインメントに転じ、プレイステーション用のゲーム開発に携わりました。それなりに面白いゲームはつくりましたが、どこか物足りない。私の趣味である麻雀の方がゲームとして面白かったからです。そこで、徹底的にリアルな麻雀ゲームをつくってみようと起業を決めました。また、ゲーム開発の際は、リスクを分散させることができるプロジェクト・ファイナンスの手法を使って5000万円の資金を集めました。金融機関に任せると莫大な手数料がかかるので、いろいろな法律をクリアするのに苦労しつつ独自に組成したのです。そして1年間必死に駆けずり回って目標金額を集め、2004年に「Maru-Jan」をリリース。投資してくれた方々には金額を180.6%にしてお返ししました。

―最後に、御社の今後のビジョンを聞かせてください。

栢:クリエイターの理想郷をつくることです。一般的なゲームクリエイターはヒット作品をつくっても見返りは少なく、就労環境もあまりよくない。そこで、当社ではプロジェクトごとの利益の50%を社員に還元し、業績目標が達成できたら全員が休日を取れるようにしました。働き方についても、残業代がもらえる時間報酬型と労働時間によらない成果報酬型が選べるようにしています。また、入院したら1日5000円給付、退院したら3万円給付といった独自の保険制度もあります。こうした制度は誰が提案してもよく、すべて全社員の合議で決めています。私は「楽しむための命」と表現していますが、生きているすべての時間を楽しむことは義務だと考えています。今後は社員もお客さまも高齢者やその家族も、皆が幸せになれる社会を目指して、貢献していきたいですね。

栢 孝文(かや たかふみ)プロフィール

1975年、大阪府生まれ。1999年に大阪市立大学大学院工学研究科を卒業後、株式会社セガ・エンタープライゼスに入社。ゲームプランナーとして、家庭用ゲーム機や携帯電話向けのゲームを開発。その後、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントを経て、2002年にSignalTalk Corporationを設立。2006年に株式会社シグナルトークを設立し、代表取締役に就任。会員数50万人超のオンライン麻雀ゲーム「Maru-Jan」を開発・運営している。

企業情報

設立 2002年8月
資本金 1,000万円
売上高 6.4億円(2010年実績)
従業員数 29名(外部スタッフ:約50名)
事業内容 インターネットを利用した各種娯楽提供、及び各種情報提供のサービス、ソフトウェアの開発、設計、制作、販売
URL http://www.signaltalk.com/

その他のIT起業家の記事

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

ベンチャー通信

ベンチャー通信
ベンチャー情報雑誌

「ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを取材」をコンセプトに編集している、2000年創刊のベンチャー情報雑誌です。

ベンチャー通信への掲載・取材希望の方

ベンチャー企業の採用力強化、自社の成長性・知名度アップのため、ベンチャー通信に貴社の取材記事を掲載してみませんか?

  • ベストベンチャー100
  • 注目の西日本ベンチャー100
  • 人財力100 人材採用と育成に力を入れている100社
  • 活躍しているエンジニアの職場を取材!Tech通信ONLINE
  • INOUZ Times

ベンチャー通信メールマガジン

ベンチャー通信注目の企業や、ビジネスニュースなどの情報をお知らせします。

ご登録はこちら

pagetop