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飲食・食品業界の起業家インタビュー

株式会社染野屋 代表取締役社長 小野 篤人

飲食・食品こだわりの「豆富」ビジネスで大豆の魅力を世界に発信

株式会社染野屋 代表取締役社長 小野 篤人

150年を超える歴史を誇る豆富の老舗、染野屋の勢いが止まらない。2004年、8代目の社長を引き継いだ小野氏が、同社の大胆な経営改革に着手。安心安全の素材を厳選して作ったこだわりの“豆富”をワゴン車でお客さまに直接届ける――。そんな新たな販売戦略を構築し、事業を急拡大。食品業界の風雲児として注目を集める同氏のまったく新しい豆富事業への挑戦の経緯や、未来へのビジョンについて聞いた。

※下記はベンチャー通信特別号/2014年 IPO市場 最前線号(2014年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―御社の事業内容を教えてください。

小野:当社は1862年(文久2年)創業の豆富店で、現在は、関東を中心に約130台の移動販売車を稼働させ、お客さまへの直接販売を行っています。一番のこだわりは、安心安全な素材と手作りの味。国産大豆と海水からとる天然にがりを使った、江戸時代と同じ本当に美味しい豆富を作っています。お届けしている商品は、豆富、がんもなどの揚げ物、お惣菜など約40種類。また、リピーターのお客さまが8割を超えています。

―なぜ直接販売なのでしょう。

小野:スーパーなどの一般流通に乗せると、やはり価格競争に巻きこまれます。そこで多くの業者は、卸売価格に合わせるために、たとえば豆乳の濃度を薄くする。すると、味が水っぽくなるうえに、天然のにがりで固められないため、化学凝固剤を使わざるを得なくなる。しかし、私たちは、自分の家族に食べさせたい豆富をお客さまにも提供したい。このこだわりを貫くのであれば、独自の販売網を構築し、お客さまに直接お届けするしかないからです。また、移動販売なら、リピーターを作りやすく、固定店舗よりも客単価が高くなる。また、出店費用が少額かつ移動販売用の車両もリースなので、イニシャルコストがほとんどかかりません。

―なぜこの事業を始めたんですか。

小野:25歳で結婚しましたが、これが転機になりました。妻の実家は豆富屋で、結婚の承諾をもらいにいったとき、義父から言われたのです。「豆富屋と染野の姓は継いでくれるのか?」と。私は自分の仕事もありましたし、「考えさせてください」と即答を避けたんですね。しかし、その3ヵ月後、義父が急逝...。義父に「継ぎます」と伝えられなかったことが、悔やまれてなりませんでしたね。そして、私は妻と結婚し、義父の願いを叶えるため、豆富屋を継ぐことを決めたのです。

―新しい生活のスタートですね。

小野:はい。初めて工房に入ってまず疑問を感じたのが、米国産と表示された大豆の袋と豆腐用化学凝固剤の箱がずらっと並んでいたこと。豆富は日本の伝統的な食文化と思っていたので、大きなショックを受けました。私は、どうせならいいものを作りたかった。それから試行錯誤を重ねながら半年ほどをかけ、ずっと当店の豆富を食べ続けてきた妻も「本当に美味しい!」と絶賛する新しい豆富が完成。ただし、製造原価が大幅にアップしました。従来の豆富の販売価格の倍の価格をつけないと商売にならない。それをただお店に並べても売れるわけがありません。

―どのように事態を打開しましたか。

小野:どうやって売るか?頭を悩ませていたある日、私の母の友人が助言してくれました。「こんなに美味しいのだから、売りに行けばいいじゃない」と。そこで、店の倉庫から埃だらけのラッパを取り出し、豆富を車に積み込んで、売りに出かけました。妻を助手席に乗せて、慣れないラッパを恥ずかしがりながら吹いていたことを覚えています。結果は、初日からなんと完売。しかもとても好評で、多くのお客さまが、「来週もまた来てよ」と。本当にうれしかった。そして、そんなお客さまの声が、さらによいものを作ろうというモチベーションにつながった。これが私の商売の原点です。

―今後の展望を教えてください。

小野:これからも移動販売を主軸とし、営業拠点を増やしながら全国展開を進めていきます。今後、年間3拠点ずつ営業所を増やし、5年間で15拠点を新たに構築する計画です。そのためにも、拠点を切り盛りしてくれる、将来のマネジメント人材がほしい。すでにグローバル展開も視野に入っており、IPOは必須でしょう。早ければ2014年4月からカウントダウンを始め、3年から5年先をめどに上場。そんなイメージを描いています。

―そのためにも優秀な人材が必要ですね。どんな人材を求めていますか。

小野:やはり、成長意欲が高い人ですね。「自分が信じた夢を実現したい」「今の自分を変えたい」など、自分を成長させたいと心から願っている人と一緒に働きたい。

―最後に小野さんの夢を教えてください。

小野:「大豆は世界を救う」というビジョンです。今、地球の人口約70億人のうち、10億人が飢餓状態にあるそうです。地球全体の耕作面積を効率よく使って食糧を作れば、140億人もの食生活を十分に賄えるというのにもかかわらずです。非効率化の原因の一つに、過度な肉食が挙げられています。タンパク質を摂るために肉食も大事ですが、先進国に住む私たちが週1回の肉食を大豆食に替えるだけで、10億人の飢餓が救われるといわれています。なぜなら大量の穀物を与えて牛を1頭育てるのと、大豆を植えて牛肉と同量の植物性タンパク質を作る作業を比べると、環境負荷に20倍の違いがあるといわれているからです。豆富食を増やし、地球と世界に貢献する。これが私たちが仕事をするうえでの大きな原動力なのです。当社の大きな夢として、今後もこのビジョンを追い続けていきたいですね。

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