累計経営者579人に取材、掲載社数311ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

コンサルティング業界の起業家インタビュー

グロービス・キャピタル・パートナーズ マネージング・パートナー 仮屋薗 聡一

コンサルティング「ヒト」「カネ」「チエ」の総合支援で 既存産業のイノベーションを加速させる

グロービス・キャピタル・パートナーズ マネージング・パートナー 仮屋薗 聡一

ここ数年、日本のベンチャーキャピタル(以下、VC)による投資総額は年間1000億円前後と推計されている。これはピーク時の2006年と比較すると、約3分の1。しかし、そんな状況下でも積極的な投資を続けている独立系VCがある。15年間で累計385億円のリスクマネーを供給してきた「グロービス・キャピタル・パートナーズ」だ。同社は※ハンズオン型のVCとして、企業成長のために必要な「ヒト(人材)」、「カネ(資金)」、「チエ(経営ノウハウ)」を提供。グリーやワークスアプリケーションズをはじめ、16社超のベンチャーをIPOに導いてきた。ベンチャー支援の最前線を走り続ける仮屋薗氏に話を聞いた。

※下記はベンチャー通信48号(2012年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

「新興市場・冬の時代」が終わりIPOとM&Aのチャンスが増大

―ベンチャーをとりまく現在の環境について、どう分析していますか。

 日本のIPO環境の底は、リーマン・ショック後の2009年でした。昨年の上場社数は約40社でしたが、昨年3月に東証が「2013年度以降は年間60社以上の新規上場を目指す」という積極的な意思を表明。実際、優良企業を上場に導くための前向きな指導が増えました。証券取引所、証券会社、VCの三位一体でベンチャー企業を支援する体制ができたので、新興市場の隆盛は近いと思います。

―今年に入って、御社の投資企業も2社上場しました。

 ええ。1社は、化粧品・美容のポータルサイト「@cosme」を展開するアイスタイル。もう1社が、ネット専業生保のライフネット生命保険です。両社は同時期に東証マザーズに上場したのですが、※公募価格ベースの株式時価総額には約10倍の違いがありました。つまり、東証は幅広い企業にIPOの受け皿を提供しているわけです。

 このように、中堅の成長企業でも上場できる環境は世界でも珍しい。アメリカの場合、上場規模の目安は「ワンビリオン」。Facebookは別格としても、LinkedIn、Zyngaなども株式時価総額10億ドルクラスのメガベンチャーです。

※公募価格 : 証券会社が投資家に提示する新規発行株式の値段のこと。 

―アメリカよりもIPOのチャンスが広がっているわけですね。

 M&Aについても、世間の見方が変わってきたように感じます。ひと昔前は、買収側にとっても、売却側にとってもイメージが悪かった。しかし、現在は総じてM&Aに好意的であり、成功のマイルストーンとして認められてきました。つまり、M&Aを含めたベンチャーの“出口”が広がっているわけです。

―御社のようなベンチャーを支援する側にも変化はありますか。

 私たちの中心的な投資先は、成長性が高く、M&AでもIPOでも数十億~数百億円になりうる大型ベンチャー。その基本姿勢に変化はありません。

 しかしながら、ベンチャー支援にはさまざまな役割が必要です。まずエンジェルやインキュベーターが100万円単位から、アーリーステージのベンチャーを支援する。現在はお金を出すだけではなく、メンターとして経営のアドバイスまで行う方々が増えてきました。

 そこからシェイプアップされたベンチャーが次のステージに進み、私たちVCが億単位の投資をする。さらに、そこから伸びる会社がIPOを果たし、エンジェル、インキュベーター、VCにお金が還流していく。こうした“生態系”が確立されれば、日本の起業環境そのものが変わるでしょう。

ネットバブルから 10 年超を経てシリコンバレーに近づく

―御社が投資した企業がインキュベーションやVC事業を始めているケースもありますよね。

 そうですね。私たちの投資先企業では、ネットエイジがインキュベーション事業、グリーがVC事業を行っています。また、ビズシーク創業者の小澤隆生さんはエンジェルとして大活躍しています。さらに、彼らが支援しているベンチャーに対して、当社が投資するケースもあります。

 この源流は、「ビットバレー」という構想を生み出したネットエイジ代表の西川潔さんにあるでしょうね。当時、西川さんの周りにエネルギーのある人材が集まり、濃い人間関係をつくっていた。ネットバブル崩壊後、さまざまな道に分かれましたが、ここ数年でつながりが復活してきました。

 その背景には「ソーシャル」、「クラウド」、「モバイル」という技術革新の新潮流もありますが、私は起業家の多様なキャリアパスに着目しています。当時活躍していた人が10年超の経験を活かし、新世代の起業家をサポートしている。東京もシリコンバレー的な“生態系”に近づいてきたかもしれません。

―今後、多くのベンチャーが生まれそうな注目の分野を教えてください。

 やはりIT分野でしょうね。ただし、既存産業がインターネットというインフラによって進化する形です。アイスタイルとライフネット生命保険の上場も、この流れを象徴しています。

 たとえば、ライフネット生命保険はインターネットによって人的な販売プロセスを省略し、生命保険の販売価格を劇的に安くしました。アイスタイルは実店舗とECサイトを両面展開し、ユーザーのデータや商品のクチコミをデータベース化。それを活用して、物流を含めた化粧品業界の仕組みを変革しています。

 このように、あらゆる既存産業がITによって変わっていく大きなうねりが生まれるでしょう。具体的には、「教育」、「医療・ヘルスケア」、「環境」の3分野に注目しています。

―VCとしての御社の強みは何ですか。

 企業成長に必要な「ヒト」、「カネ」、「チエ」をパッケージで提供できることです。

 1つめの「ヒト」とは、人材の提供と組織開発。これは経営大学院や法人研修などの事業を展開する母体、グロービスのお家芸です。たとえば、私たちが人材採用やヘッドハンティングを行い、CFO(最高財務責任者)など、必要な人材を投資先企業に送り込んでいます。

 2つめの「カネ」とは、独立系最大規模の投資金額。15年間で累計385億円の投資をしています。この規模を可能にしているのが、約8割を占める海外の大手機関投資家からの資金。海外VCとの提携も含めて、グローバルなネットワークを確立しています。

 3つめの「チエ」とは、経営ノウハウ。私たちはグリーやワークスアプリケーションズといった日本を代表するベンチャー企業を支援してきた一方、相応の失敗もしてきました。その経験から得た成功と失敗の知見が、起業家にとって重要な学びとなるのです。

―最後に、今後のビジョンを聞かせてください。

 私たちのビジョンは、高い志を持って世界市場に挑むベンチャーを支援し、新産業の創造に寄与すること。中でも、日本独自のノウハウやコンテンツを利用している企業ですね。もともと日本のサービス産業は、ホスピタリティや細やかさが世界最高レベル。競争力があるんです。当社はVCという立場から、「ヒト」、「カネ」、「チエ」を提供し、新しいグローバル企業を創造したいと思います。

仮屋薗 聡一(かりやぞの そういち)プロフィール

1969年、鹿児島県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。米国ピッツバーグ経営大学院修士課程修了(MBA)。株式会社三和総合研究所での経営戦略コンサルティングを経て、1996年、株式会社グロービスのベンチャーキャピタル事業設立に参画。1999年、エイパックス・グロービス・パートナーズ(現・グロービス・キャピタル・パートナーズ)を設立し、パートナーに就任。著書に、『ケースで学ぶ起業戦略』(日経BP社)、『MBAビジネスプラン』(ダイヤモンド社)、『ベンチャーキャピタリストが語る起業家への提言』(税務研究会)がある。

企業情報

設立 2001年12月(事業開始は1996年)
資本金 ファンド運用業務
URL http://www.globiscapital.co.jp/

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