累計経営者579人に取材、掲載社数296ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

IT業界の起業家インタビュー

株式会社フルアウト 代表取締役 金田 和也

IT妥協なく全力でやりきれば 可能性は拡がる

株式会社フルアウト 代表取締役 金田 和也

広告効果を最大化するFull Out DSPの提供や(※1)DSPトレーディング事業などで急成長。アドテク業界で注目を集めるフルアウト代表の金田氏が挫折や失敗を乗り越えてたどりついた信念とは。起業の経緯や今後のビジョンなどを聞いた。

(※1)DSP: Demand-Side Platformの略。オンライン広告において最適な広告枠の選定や配信条件の最適化などの機能を提供し、広告主側の広告効果の最大化を支援するツール。

※下記はベンチャー通信60号(2015年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

起業を夢見て東京の大学に進学 期待は幻想だったと気づかされ

―なぜ起業を志したんですか。

 最初に意識したのは高校2年生の夏。大ケガをしたことがきっかけでした。
 熱狂的な阪神タイガースファンで〝虎キチ〟の父の影響で、小さなときから野球漬け。高校はスカウトされた他県の強豪校に野球留学しました。しかし、2年生ながらもレギュラーが確実だったんですが、夏の甲子園地区予選が始まる直前、歩けなくなるほどの負傷をしてしまったんです。野球ができなくなり、「プロ野球選手になる」という幼い頃からの目標が消えてしまいました。

 そんなある日のこと。ケガで練習に参加すらできなくなった自分は、野球部の寮でテレビをボンヤリ見ていました。すると、ITベンチャーの社長がプロ野球チームを買収するというニュースが流れたんです。衝撃を受けました。「起業して経営者になる」という新しい目標が、その瞬間に生まれたんです。

―どこに衝撃を受けたんですか。

「プロ野球選手になれなくても、起業して経営者になれば球団を買えるんだ」ということに気づかされたからです。いまふりかえれば、短絡的すぎることはわかりますけどね。

 ともかく、野球以外に勉強したことはありませんでしたが、「起業するには経営学を勉強しなければならない」と考え、経営学部がある大学に進学するとの目標をたてて受験勉強を開始。どうにかストレートで東京の大学に合格できました。でも、いざ大学生活が始まると「起業するぞ」という熱い気持ちはどこかに吹き飛んでしまいました。

―どんな学生生活を送っていたんですか。

 大学2年生までは、フツーに遊んでいました(笑)。「経営学部は起業家の卵たちが集い、熱く議論をかわす場所」と思いこんでいたんですが、圧倒的多数の浮ついた大学の雰囲気に流されるまで、そんなに時間はかかりませんでした。期待は幻想だったんです。「起業できるのは特別な人」なんて自分で自分に言いわけをしながら、飲み会に精をだすような大学生になっていました。だけど、そんなぬるま湯の環境は突然、終わります。2008年、大学3年生の秋でした。そこで再びスイッチが入り、「起業する」「経営者になる」という想いは強い信念に変わったんです。

過酷な環境でつかんだ学びが 眠っていた想いを再起動

―なにがあったんですか。

 世界経済を襲ったリーマンショックです。それは父親が経営していた不動産会社も呑みこみました。経営が苦しくなり、「もう学費は出せない」と父から宣告されたんです。ただし「2つの道がある」と。ひとつは、大学を中退して働く道。もうひとつは、自力で学費を稼ぎ、大学に復帰する道。「どちらを選ぶか、自分のことは自分で決めろ」と言われました。父は中卒から会社を興した叩きあげで、大学を意味のある場所とは認めていなかったし、夢をかなえる努力をしていない自分のことが歯がゆかったんだとも思います。

 ともかく、大学に復帰したかったので「自力で稼ぐ」という後者の道を選び、大学を1年間休学して働くことに決めました。

―2年分の学費を稼ぐのは大変だったのではありませんか。

 ええ。その頃にやっていたファミレスのバイトではどうにもならないので、アルバイト情報誌で高給の仕事を探しました。すると、「若者よ集まれ、完全実力主義」と書いてある求人広告に目が吸い寄せられました。歩合制の回線営業です。瞬間的に「あ、ここだな」と。「体育会系でやってきた自分が本気をだせば、活躍できるんじゃないか」と思ったんです。 でも、それは甘い考えでした。最初の2ヵ月は全然ダメ。朝から晩まで外をまわり、夜の7時に会社に戻っては、その日の目標を達成できないので激ヅメされる。そんな毎日でし
た。しかし、1ヵ月に100人入ったら翌月には98人が辞めていくような会社でしたが、だんだんと楽しくなっていきました。

―高い報酬が魅力だったんですか。

 いいえ。「ここにいれば成長できる」と実感できたからです。3ヵ月目からは安定的に成果をだせるようになり、1年後には月間1位に。2年分の学費を蓄えるという目標も達成しました。その秘訣は、自分なりにPDCAを回し、やれることを全部やりきったから。最初はとにかく数をあたり、売れた場合はなぜ売れたのか、売れなかったときはなぜダメだったのか。その原因を突き詰めて検証し、新しい仮説をたてて実行。そしてまた改善点を見つけだして仮説をたてる、という作業を繰り返しました。そうすると「売れる法則」が見える瞬間があるんです。

 当時はPDCAという言葉があることも知りませんでしたが、無我夢中で仕事と向きあっているうち、自然とPDCAサイクルを回す自分がいました。働くってどんなことか、それまでイメージがわきませんでしたが、突き詰めて考え、智恵を絞り、やれることを全部やりきり、課題を一つひとつ解決する。それが仕事の本質だということを学びました。

―その後の起業の経緯を教えてください。

「卒業後、3年以内に起業する」という計画をたて、自分なりに目的をもった大学生活を送りました。具体的には、ベンチャー企業の仕事を覚えるため、卒業までの2年間で6社のインターンを経験しました。就活では「3年以内に起業する」、つまり3年後に会社を辞める考えを面接官に正直に話しました。まともにとりあってくれる会社はほとんどいません。それでも、こんな自分の気持ちを尊重してくれるベンチャー企業にめぐりあうことができ、そこで新規事業の立ち上げをまかされ、経営者の近くで働くことができたのは幸運でした。自分にとって大きな財産です。そして公言通り、入社3年後に独立し、フルアウトを起業しました。

PDCAを回し続ける人材ならだれでも世界で活躍できる

―いまの仕事哲学を聞かせてください。

 PDCAを粘り強く回していけば、突破できない壁はないと思っています。ですから絶対にあきらめないで、計画(Plan)実行(Do)検証(Check)改善(Act)を継続できる人材には、思いきって仕事をまかせます。事実、大阪の拠点立ち上げプロジェクトは「これは」と思ったインターン生にまかせました。なかなか目先の成果をだせなかったメンバーでしたが、必死にくらいついてPDCAを回し続ける姿を見て、「絶対に達成できる」と確信したからです。

 アドテク事業で起業した当社ですが、メンバーのほとんどは未経験者。それでも1年目から急成長できたのは、PDCAを回し続け、やれることを全部やりきる社風と、やる気さえあれば大きく成長できるフィールドがあるから。こうした当社の土台は、これからも大切にしていきたいですね。

―今後のビジョンを教えてください。

 目標はITを軸にしたあらゆる分野で世界進出し、「世界のロールモデルとなる会社をつくる」こと。ベトナム進出計画が始動しており、夢の実現に一歩踏み出しました。これから日本でもグローバル展開するベンチャーがたくさん生まれるでしょう。当社はそうした企業の見本となり、「フルアウトを手本にすればグローバル展開で成功できる」といわれる存在になりたい。妥協なく、全力でやりきれば、どんなビジョンも達成できるはずですから。

金田 和也(かねだ かずや)プロフィール

1987年、兵庫県生まれ。2011年に大学を卒業し、「3年で起業する」ことを条件にベンチャー企業に入社。ネット広告事業に携わり、2013年に25歳で株式会社フ
ルアウトを設立し、代表取締役に就任。社名のフルアウト(FullOut)は「妥協なく全力でやり切る」という意味。

企業情報

設立 2013年10月
従業員数 8名
事業内容 インターネット広告・スマートフォン広告代理事業、インターネットメディア事業、アプリ事業

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