累計経営者579人に取材、掲載社数296ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

IT業界の起業家インタビュー

Kii株式会社 管理本部長 齋藤 和紀

IT日本発のプラットフォームで世界を変えてみせる

Kii株式会社 管理本部長 齋藤 和紀

自動運転の無人タクシーに乗って帰宅の途につく。乗車時に行き先を告げれば、到着時刻を推定して自宅に連絡される。それを受けて、宅配ドローンが動き出す。新鮮なトマトと牛乳、畜産家直送の卵と鶏肉を帰宅と同時に届けるためだ。自宅の冷蔵庫が主人の好物がそろっているか、つねにチェック。足りなくなれば自動的に宅配を注文しているのだ─。たとえば、そんな生活を実現する※IoT。モノとモノがインターネットで繋がり、人を介さず動くのを可能にする。この領域で革新的なプラットフォームを提供しているのがKiiだ。Apple、Google、Facebookなどのシリコンバレー企業のような成功をおさめる可能性を秘めている。同社の管理本部長の齋藤氏に、世界で戦えるベンチャー企業に必要なものはなにかを聞いた。

※IoT: Internet of Thingsの略。モノのインターネット。家電や照明機器などさまざまなモノをインターネットに接続する技術

※下記はベンチャー通信60号(2015年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

世界市場を意識して技術開発していた

―今年5月に開始した「SPACEエコシステム」について教えてください。どんな仕組みなのですか。

 Kiiのプラットフォームはユーザー認証やデータ管理など、IoT機器に必要なネット上の仕組みをクラウドで提供するものです。同時に、今回発表した「SPACEエコシステム」のパートナー、Brightstarがもつ世界最大規模のモバイル機器の流通網を利用して、IoT機器を世界中の流通販売網に乗せられるようになりました。

 IoT機器を開発するメーカーやサービス提供する企業が私たちの仕組みを活用すれば、バックエンドのシステムを構築する必要はないうえ、パートナーを通じて機器のサービス課金の仕組みをつくるのも容易になります。

 さらに、中国のアリババもこのエコシステムに参画しているので、中国市場での事業展開にも対応できます。

 世界中の多くの企業がIoT領域に進出しようとしているなか、Kiiのプラットフォームとエコシステムにより、企業はワンストップでIoT市場に参入できるようになります。

―プラットフォームの提供開始で、競合他社に先んじることができた理由はなんでしょう。

 世界市場を意識して技術開発に取り組んできたからです。本社は東京ですが、シリコンバレー、上海、台湾、香港、スペインにオフィスがある。トップもシリコンバレー在住。世界中のアプリやデバイス開発者に向けてバックエンドのクラウドサービスを提供していて、エンドユーザーは数千万人にのぼります。

 世界的なプラットフォームを立ち上げるには、ハード・ソフトの環境を問わず、共通して使える普遍的な技術を開発しなければいけない。国内市場だけを意識していると、世界的サービスは生まれにくいのです。

指数関数的な成長にそなえ 経営基盤にクラウドを選んだ

―ベンチャー企業が世界市場をめざすのに、必要なものはなんですか。

「指数関数的に急成長する」ことをあらかじめ意識しておくことです。ベンチャー企業は世の中にイノベーションを起こす。そのとき、過去の延長線上で将来を考えても無意味です。Kiiが提供するプラットフォームによってIoTが爆発的に普及するとき、「3年後に業績がいまの5倍になって…」などという直線的な成長をするはずがない。「シンギュラリティー」という言葉があります。日本語では技術的特異点。コンピューターが自らを超えるコンピューターをつくりだせるようになるポイントです。そこへ向かって技術は指数関数的に進化しています。もうすぐ、私たちの想像を絶する変化が起きます。

 たとえば、2012年にフィルムメーカーのコダックが倒産したときの従業員数は約2万名。一方、同じ年の4月、画像共有アプリを提供するインスタグラムは、Facebookに10億ドルで買収された。従業員数は13名。写真という分野でパラダイムシフトが起きたのです。

 たった13名で、サービス開始から1年半の間に10億ドルの価値にまで企業を成長させられる。そのような指数関数的な急成長をイメージできていなければいけないのです。

―指数関数的な成長を意識した施策の
具体例を教えてください。

 たとえば経営基盤の選択です。K i iの場合、2013年にクラウド※ERPである『NetSuite』を導入しました。非クラウドのERPでは、導入時点の企業規模にあわない。初期投資のコストが高くつくし、運用する人材も不足しています。だから、小規模で導入して、その後の企業成長にあわせて拡張できるクラウドERPを選んだわけです。

 また、導入期間を短縮できることも選定理由のひとつ。ベンチャー企業が「新しい経営基盤が稼働する3ヵ月後まで意思決定を待つ」などといっていたら致命傷になりかねないからです。Kiiでは選定にかかった期間が約2ヵ月で、決定から運用開始までが1ヵ月程度でした。

※ERP: Enterprise Resource Planningの略。企業がもつさまざまな資源を管理するための統合型ソフトウェアパッケージ

シリコンバレーでは スタンダードのERPを導入

―導入後、どんな変化がありましたか。

 ERPにあわせて業務を変えたので、それまで属人的だった業務が標準化されました。ヒトの変動があっても業務のクオリティを落とさずにすみます。

 また、『NetSuite』は多くのシリコンバレー企業が導入していて、“シリコンバレーのスタンダードERP”と評価されているほど。世界標準の経営基盤を導入したことで、世界を制したシリコンバレーの成功企業と同じように急成長していくイメージを、メンバーが共有できたと思います。

―齋藤さんは今年5月、シリコンバレーの「シンギュラリティー・ユニバーシティー」(下のコラム参照)に参加したそうですね。同地と日本の相違点はなんでしょう。

 シリコンバレーでは、人類規模での影響力がある技術革新を起こし、エネルギー不足や難病、貧困などの“人類の課題”を解決しようという熱気があふれています。日本にも志をもつ人材はいるし、ハイレベルの技術もある。ただ、それを事業化していく能力が不足していると思います。

 起業家には人類の課題を解決する大きな領域に挑戦し、指数関数的な成長を遂げるという心構えが必要です。世界標準の経営基盤を手に入れて、世界を制するベンチャー企業が日本からどんどん生まれてほしい。Kiiをその先陣を切るような存在にしたいですね。

齋藤 和紀(さいとう かずのり)プロフィール

1974年、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。米国系コンピュータ会社日本法人のファイナンスマネージャーとして、ビジネスインテリジェンスの導入や、大連バックオフィスの立ち上げなどを担当、2008年には金融庁の国際会計調整室における政府のIFRS採用計画策定に参加。その後、米大手石油化学メーカーの日本のグループ経理部長として、国内10社以上の経理を統括する業務に携わる。2013年9月にKii株式会社へ入社。以来、同社の管理部門全般を統括している。

Kii株式会社 執行役員 技術統括 石塚 進(いしづか すすむ)プロフィール

CTOとして開発部隊を率いる

企業情報

設立 2007年11月
資本金 3億2,677万円
従業員数 70名
事業内容 IoT機器やモバイルアプリのサーバ側バックエンドサービスの提供
URL https://jp.kii.com/

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