累計経営者579人に取材、掲載社数311ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

業界の起業家インタビュー

株式会社Wiz 代表取締役 山﨑 俊

サイバーエージェント × Wiz 人材を活かして伸ばすベンチャー企業の条件とは

株式会社Wiz 代表取締役 山﨑 俊

業績が好調で、2015年9月期は連結売上高2400億円と過去最高を見込んでいるサイバーエージェント。その要因のひとつに、若手社員を子会社社長へ積極的に抜擢し、伸びしろのあるスマートフォン市場を次々と開拓してきた実績をもつ。本企画では、同社人事本部長の武田氏とWiz代表の山﨑氏との対談を実施。若手をどのように抜擢し、成長をうながしているのか。両氏にざっくばらんに語ってもらった。

※下記はベンチャー通信60号(2015年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

成果を出しさえすれば 抜擢するというわけではない

―両社とも、若手に大きな裁量を与えていますね。最近実施された抜擢人事の具体例を教えてください。

武田 たとえば、今年入社した新入社員を子会社の社長に抜擢し、新規事業などを行う子会社を4月1日づけで設立。入社と同時に代表取締役に任命しています。ちなみに、ほかの立ち上げメンバー3名も全員2015年の新卒社員です。

 また、当社には「※CA8(シーエーエイト)」という独自の取締役交代制度があるのですが、昨年10月に2010年新卒入社で28歳の社員を新たに取締役として抜擢しました。

山﨑 当社は2012年に設立し、新卒一期生が入社したのは2013年。なので、サイバーエージェント社と比較するのは大変恐縮なのですが、その一期生を今年4月に課長職に該当するマネージャーに抜擢しています。

―そもそも、人材を抜擢する際の基準はなんでしょう。

武田 まず本人が「やりたい」と意思表示することが大切ですが、抜擢とはいわばマネジメントを任せるということにもつながります。そのため、“人格”を重視するようにしていますね。

 ひとりで出す成果には限界がある。抜擢されたメンバーは、いかに周囲を巻き込んで大きな成果を出すかが求められます。そのため、メンバーから信頼を得ることが重要。もちろん本人の実績も評価の対象になりますが、「売上成績がダントツだから」という理由だけで抜擢することはありません。あくまで、リーダーとしての資質があるかどうかをチェックします。

山﨑 私もそう思います。当社には会社方針のひとつに「Wizのファンを増やしていく」というのがありますが、それはマネジメントでも一緒。「この人と一緒に働きたいな」と社内で自然とファンを持つ人っていますよね。そうした人は、自分だけでなく周りの人と一緒に成長していくことができる。そういった人材を、会社としても意識して抜擢するようにしています。

失敗するリスクより 経験することのほうが重要

―経験やスキルにとぼしい若手人材に大きな裁量を与えるのは会社としてリスクになりませんか。

武田 当然、若手に任せることで事業が失敗するというリスクはあります。ただそのリスクを恐れるより、若手に大きなチャンスを与えて経験を積ませるほうが大事だと考えているのです。

 抜擢するのは、将来の幹部候補となり得る人材。そうした人材に、できるだけ高いモチベーションを持って長く働いてもらうことがゆくゆくは会社の競争力につながります。若いうちに大きな裁量を任せられた人は、成功しても失敗しても必ず将来の財産になります。短期的な事業のリスクと長期的な会社全体の成長を比べた場合、後者のほうが会社にとって優先順位が高いのです。

 もちろん事業が成功するのに越したことはありませんが、失敗自体がそれほど会社にとって深刻な経営課題になるとは考えていませんね。

山﨑 抜擢するのは当然その人に期待しているからなのですが、任命した会社にも責任はあると思っています。そのため、まずはトップである私自身がフォローします。会社としてもまだまだスタートアップのベンチャーですので、事業もポストもこれからどんどん新しく立ち上がっているところ。ですので、私が見られる規模のうちは、できる限りのサポートをしています。

 また先ほど申し上げたとおり、抜擢にはファンが多い人を率先して選んでいるため、私以外にも上司や部下が積極的に支えていますね。だからこそ、抜擢された人材も「もっとがんばらないと」と奮起する。周りもそれを見てさらにがんばろうという気持ちになる。それぞれに、いい相乗効果が生まれていると思います。

武田 当社も成功に導くためのサポート体制は整えています。子会社の社長に抜擢する場合は、必ずサイバーエージェント本体の取締役が子会社のアドバイザーや役員に入ります。また月に一度、子会社の代表が集まってグループ会議を実施。お互いに情報交換できる場をつくり、事業の進捗状況や経営課題を共有しています。

 さらに、人事や経理、法務などの専門分野は本社メンバーが担当。子会社の社長は経営に専念することができるのです。

 ただ、それでも失敗するケースはあります。そんな場合でも「挑戦した結果の敗者にはセカンドチャンスを」という価値観を明文化しているので、再び挑戦できる風土があるのです。

 山﨑 当社でも万が一うまくいかなかった場合は、役職からおろす決断はします。そこは組織なので、あいまいにはしません。ただし、長期的な視野で成長してほしいため、「落ち込む必要はなく再チャレンジすればいい」と必ず伝えるように心がけていますね。もちろん会社としても、がんばったぶんだけチャンスの場を提供します。

 サイバーエージェント社のように早くから抜擢を行ってきた取り組みは、当社のような成長中のベンチャーにとって非常に役立ちます。なので、けっこう参考にさせていただいていますね(笑)。

社員のモチベーションや視点を上げるための取り組み

―若手人材の成長をうながすため、抜擢以外で取り組んでいるものがあれば教えてください。

山﨑 まずは、ビジョンを共有するために経営方針発表会を年に3回開催しています。そこでは私が会社の戦略や方向性を約2時間半にわたって全社員に話しています。全員の向かう目線が一緒になれば個々の目標も明確になり、おのずと成長も早まるからです。

 また、週間ごとの成績優秀者に豪華弁当が配られる「ウィークリーチャンピオン制度」やMVP表彰、社内でよいことをすると実際に景品と交換できる「Wizコイン」が配られるなど、つね日ごろからモチベーションを高めるための制度を実施しています。

 さらに、目標達成を全員でわかちあうために、年2回の社員旅行や忘年会などイベントはひんぱんに開催。ちなみに、今年は初めて大運動会を開催しました。競技の出し物などすべて自社で準備して、大人213名で本気の運動会を行ったんです。普段かかわりの少ない部署同士が協力しあったり、職場では見られない従業員の姿を見ることができて、楽しかったですね。

 このような取り組みにより、個人の成長だけでなく組織の結びつきも強くしているのです。

武田 当社でも、月末や半期ごとの表彰はかなりチカラをいれてやっていますね。また独自の取り組みとしては、「※あした会議」などがあげられます。ひとつの事業部や子会社で働いていると、知らず知らずのうちにどうしても視点が低くなりがち。「あした会議」で取締役と会社のことを話し合う機会を提供することによって、視点が上がるようにしているのです。

 さらに今年からは、人材開発本部を新たに立ち上げました。事業部長クラスが、どの部下が経営幹部候補かを明確に決め、いかに役割を与えて伸ばすかを話し合う場をつくっているのです。部下の育成は、普段の業務のなかで考えているようでなかなか考えられていない。そのため、具体的な育成方法を制度化することによって、部下が成長できるしくみをしっかりつくるというのが狙いです。

※あした会議: 新規事業や会社の問題点をCA8のメンバーがリーダーとなって若手の選抜メンバーと一緒に考える会議。半年に1回行われている。

進路は自分の意思で決定し「正解」になるまでやりきれ

―若手がベンチャー企業で働くメリットはなんでしょう。

山﨑 私が学生によくいうのは、ベンチャーでは高い成長角度を体験できるということですね。会社と人材の成長は比例します。伸び悩んでいる企業では、見える景色に限りがあります。しかし、伸びている会社ならどんどん高みへのぼっていくことが可能。売上や利益、規模、シェアでもなんでもいいので、トップが指し示した目標に向かってなにかを“伸ばす”ことが結果的に成長につながるはずです。

武田 私の経験からいうと、「答えのない分野で正解をつくっていける」ことでしょうか。

 もともと私は銀行出身なのですが、まったく新しいことをやるのではなく、ある程度決まったことを行うのが業務でした。それを否定するつもりはまったくありませんが、私がサイバーエージェントに入社した当時はとくにインターネットの世界に正解はなかった。それこそ失敗を繰り返しながら、正解を自らつくっていくのが仕事でした。正直大変でしたが、それがやりがいでしたね。 現在でも仕事の本質は変わっておらず、そうした環境に身を置くことにより自身の成長を実感できています。

―進路に悩む学生にアドバイスをお願いします。

武田 就職活動を行っている間はさまざまな人の意見を参考にしつつ、最終的に進路は自分で決めることです。そうすれば、自分のなかに覚悟ができます。あとは、「選択した道が正しかったんだ」と思えるように正解にしていく努力を続けることが大切でしょうね。

山﨑 会社選びは重要です。社会人になっていちばん多くの時間を過ごすのは会社ですし、そこが合わなければ不幸ですから。

 そのため、そこで働く人を見極めるようにしてください。やはり大事なのは「なにをやるか」より「だれとやるか」ですから。あとは武田さんのおっしゃるとおり、自分の意思で決定し、それを信じて突き進むのみですね。後ろ向きで悩むより、前向きにがんばれば結果はおのずとついてくるはずです。

山﨑 俊(やまざき しゅん)プロフィール

1982年、東京都生まれ。2006年に早稲田大学理工学部を卒業。在学中に株式会社光通信に入社。その後、同社の最年少執行役員を経て、30歳になるタイミングの2012年に株式会社Wizを設立、代表取締役に就任。マーケティング事業とクリエイティブ制作を中心に事業展開。取引先からの支持を集め、設立からわずか3年で従業員数12名から500名へと急成長を果たす。

株式会社サイバーエージェント 人事本部長 武田 丈宏プロフィール

1975年、大阪府生まれ。1999年に関西学院大学を卒業後、株式会社さくら銀行(現:株式会社三井住友銀行)に入行、法人営業を担当する。2003年、株式会社サイバーエージェントに入社。インターネット広告事業本部を経て、名古屋営業所に配属。2004年、名古屋営業所のマネージャーを務める。2006年、大阪アカウント局の営業局長に就任。2008年、西日本事業部の統括に就任。2013年、人事本部に異動し、人事本部副部長と新経済連盟事務局を兼務。社内教育と組織活性化施策を担う。2015年、人事本部長に就任。

企業情報

設立 2012年4月
資本金 6,000万円(資本準備金3,000万円含む)
売上高 35億円(2014年11月期)
従業員数 536名(社員296名・アルバイト240名:2015年6月現在)
事業内容 マーケティング事業、CRM事業、Drive事業、メディア事業、コンサルティング事業、クリエイティブ事業
URL http://012grp.co.jp/

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