累計経営者579人に取材、掲載社数300ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

環境・エネルギー業界の起業家インタビュー

株式会社日本新電力総合研究所 代表取締役 青井 宏憲

環境・エネルギー「新電力」に参入する仲間を集め日本のエネルギー事情を変革したい

株式会社日本新電力総合研究所 代表取締役 青井 宏憲

※下記はベンチャー通信66号(2017年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

日本新電力総合研究所(以下、日本新電力総研)の支援先企業は2016年10月現在で60社を超え、いまも増え続けている。そのなかの1社である「和歌山電力」を取材。同社が急成長を続けている理由を取材した。

会社を設立してから勉強

 和歌山電力の設立は2015年1月。その後、見込み顧客との契約をスタートし、電力供給を開始したのは翌年2016年1月。設立から事業開始まで1年間もの空白がある。じつはこの間、和歌山電力代表の山口氏は新電力についての「勉強」をしていたという。

 「新電力事業を知ったのは2014年12月。当時、私は父が経営する地元FM放送局に勤務していました。しかし、以前から起業願望があり、チャンスをうかがっていました。そうしたところ、時流に乗っていて市場規模が大きく、新規参入者の成功確率が高いビジネスとして新電力があることを知りました。それで、すぐに法人登記を行い、それから新電力の勉強を始めたんです」(山口氏)

 その後、2015年4月に設立された日本新電力総研とコンタクトを取り、同社のサポートで国への認可申請や体制づくりなどを〝二人三脚〟で進めた。知識や事前準備がゼロの状態からスタートしたと考えれば、1年で事業開始できたのは決して遅くはない、むしろスピーディとの印象すら受ける。

 そうした同社の経営内容は「超優良」。まず、供給量推移と販売金額推移から見てみよう。2016年4月の電力小売り完全自由化以来、その成長ぶりはすさまじい―。

わずか6名の人員

 同社の4月時点の月間販売電力量は約270MWh(特別高圧、高圧、低圧の合計値)。それが6月には約1000MWhを超え、9月には約2700MWhに続伸。電力小売り完全自由化から半年余りで10倍超の急成長をしている。

 月間販売金額は4月時点を1とした場合、9月時点では約9.2倍に拡大している。

 業績が好調に推移しているのは、自由化の波に乗ったこともあるが、電力調達や需給管理、行政当局への申請・報告など高度なノウハウやスキルが必要な業務は日本新電力総研にアウトソース。顧客開拓は代理店にまかせ、同社は契約・顧客管理、請求業務に特化する〝分業体制〟を推進していることが大きい。

 同社自身も入札により自治体と大口取引をしている。和歌山市役所を筆頭に、市内の全公立小中学校などに電力供給しているのだ。

 「入札案件は、ほかの応札者より1円でも安ければ落札できます。入札金額の設定など、自治体取引の点でも日本新電力総研からきめ細かいサポートと専門ノウハウの提供を受けました」(山口氏)

 驚くのは同社の運営体制。月間2700MWhもの電力小売り事業を、パートを含め、わずか6名の人員で運営している。さまざまな業務をアウトソースしているため、そうした少人数運営が可能なのだ。そのため、同社の変動費対固定費の比率は「10超対1未満」(山口氏)という優良財務を実現している。

 もともと、新電力事業の特徴は発電や送配電などの固定費がかかる設備が不要なことなので変動費比率が高くなる側面はある。しかし、山口氏が少人数経営を標ぼうしているのには、別のねらいもある。

 「固定費比率が非常に小さい当社は長期経営の基盤が強固。電力事業者の責務である電力の安定供給を継続するためには、企業基盤の強化に手抜かりは許されません。今後も業務のアウトソースを徹底し、最低限の人員で業務を回し続けるなど、固定費には目を光らせていきます」(山口氏)

メディア戦略や社名も大事

 同社が事業開始の初速からトップギアを入れることができたのは、メディア戦略のおかげもあると山口氏は振り返る。

 「記者会見やフォローを丁寧に行うなど、メディアとの関係値を築くことに配慮しました。電力自由化という時代の流れのなかで、当社のようなベンチャー企業が新規参入することは、メディアとしても取り上げやすいコンテンツ。2015年5月から電力小売り完全自由化がスタートした2016年4月までに、地元の新聞・ラジオ・テレビや全国紙の地方版に合計30回近く、当社のことが取り上げられました。宣伝効果としては大変に大きなものがありましたね」(山口氏)

 もうひとつ、新規参入を検討しているベンチャー企業の経営者にアドバイスしたいことがあると山口氏は話す。

 「それは社名。電力は社会に不可欠なインフラなので、公共性を打ち出したほうが事業展開しやすい。当社が漢字の社名にしているのは、地元・和歌山の地域電力であるという企業ブランディングと対外信用力を確保するため。カタカナや横文字の社名より、堅苦しいくらいの社名の方が市場に受け入れられやすいでしょう」(山口氏)

 外部のプロのサポートを受ける、メディア戦略を大切にする、そして社名。山口氏が経験を通じて得た「新電力事業の成功法則」は、この分野への参入を検討する際の大きな参考材料になりそうだ。

青井 宏憲(あおい ひろかず)プロフィール

1987年、奈良県生まれ。2010年に大阪府立大学を卒業し、東証一部上場の国内大手コンサルティング会社に入社。新電力部門コンサルティングチームを立ち上げ、スマートエネルギーチームリーダーを経て、2015年4月に株式会社日本新電力総合研究所を設立し、現職に就任。

株式会社日本新電力総合研究所 企業情報

設立 2015年4月
資本金 5,000万円(2016年9月現在)
売上高 20億円(2017年3月期見込み)
従業員数 15名(2016年12月現在)
事業内容 エネルギーマネジメント事業、新電力業務代行(導入代行、運用代行、監視代行)事業、電力卸取引事業、太陽光プレミアム買取事業、新電力開発事業、電源開発事業
URL http://www.j-epco.co.jp/

和歌山電力株式会社 企業情報

設立 2015年1月
資本金 300万円
売上高 2016年11月期見込み:3億円、2017年11月期見込み:10億円
従業員数 6名(パート含む)
事業内容 電力の売買および仲介業務、発電および発電に関する取引および仲介業務など
URL http://www.w-epco.co.jp/

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