累計経営者579人に取材、掲載社数314ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

IT業界の起業家インタビュー

株式会社LastRoots 代表取締役 CEO&CFO 小林 慎和

IT日本発の「仮想通貨」が切り拓く未来

株式会社LastRoots 代表取締役 CEO&CFO 小林 慎和

テクノロジーの進化はときに、モノやサービス、果ては社会のあり方までを根底から変えてしまう。そんな革新的な変化がいま、金融の世界で起こっている。そのもっとも代表的な例が、ブロックチェーン技術(※)の登場と、それを基盤とした仮想通貨の普及だ。そしていま、このブロックチェーン技術を活用した、新しい仮想通貨サービスが日本から生まれようとしている。

※下記はベンチャー通信70号(2018年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

※ブロックチェーン技術:「ブロック」と呼ばれるデータの単位を一定時間ごとに生成し、鎖(チェーン)のように連結していくことによりデータを保管する技術。分散ネットワークによる相互承認機能のこと。

動画広告を見るだけで❝おカネ❞も稼げる

 日本発祥の新しい仮想通貨。その名は、『c0ban(コバン)』という。日本古来の貨幣である「小判」から命名されたその仮想通貨は、その名称には似つかわず、ビジネスモデルは革新的だ。『c0ban』は現在、インターネット動画広告と連動した新たな広告ソリューションを実現する中核技術として活用が進んでいる。その新たな広告ソリューションの仕組みとはこうだ。

 広告主はまず、30秒の動画広告を作成。作成された広告は、『c0ban』サービス加盟店の動画広告が集まるプラットフォーム「こばんちゃんねる」にアップされる。同チャンネルには、加盟店広告のほか、日本全国のご当地グルメや地方PR動画といったコンテンツが多数登録されている。一般のネットユーザーは無料ダウンロードできる専用アプリを通じて視聴できるのだが、新しいのは、チャンネル視聴者には30秒の動画広告を視聴するだけで、報酬として一定金額(日本円換算で数円)の『c0ban』が与えられる点だ。

 貯まった『c0ban』は、通貨として加盟する店舗やECサイトで商品やサービスの決済手段として使えるほか、『c0ban』の開発元となるLastRootsが運営する取引所を通じて、日本円との相対取引ができる。(今後は「ビットコイン」など、ほかの仮想通貨との取引もできる予定)。視聴者は単に動画を見るだけで、情報を得られるばかりか、❝おカネ❞が稼げるという仕組みだ。

広告主が届けたい情報を直接、消費者に届けられる

 一方、広告主のメリットも多い。最大のメリットは、広告費の削減効果だ。広告主は「『c0ban』の配布」というカタチで広告費を支払うことになるが、その際、「完全視聴した場合に限り、配布する」という条件がついている。その仕組みがもつ効果について、LastRoots社代表の小林氏はこう語る。

 「完全視聴が条件ということは、広告主は、間違いなく視聴者に情報が届いたと確信できた場合にだけ、広告費を払えばいいということ。ムダな広告費を払わずに済む。いわば、完全成果報酬型の広告なんです。従来のインターネット広告のように、単なる広告表示回数で算出されるインプレッションで広告費が計算されることはありません。インプレッションでは、広告主は自社の広告が消費者に確実に届いているかどうかを直接は測れない。『c0ban』サービスでは、そんな指標を基準に広告費が算定されることはありません」。

 「広告主が届けたい情報を直接、消費者に届けるための費用」という広告費本来の目的を考えれば、じつに効率的だ。

 さらに広告主としては、視聴者が入手した『c0ban』を利用して、自社の商品・サービスを購入してくれれば、「次の消費行動へ効率的につなげる」という目的がかなうばかりか、投じた広告費が「将来の収入」となって手元に戻ってくることになる。広告主としては、二重の意味で広告費負担を抑制できるというわけだ。

❝わずらわしい❞ネット広告とは訴求力で一線を画す

 広告主のメリットはこれだけではない。情報の訴求力という点でも、従来のインターネット広告とは一線を画すという。小林氏はこう語る。

 「従来のインターネット広告とは、視聴者にとってはわずらわしいものであり、カウントダウン表示が終わり次第、消すといった、邪魔な存在と捉えられがちでした。そのため、いままではいくらインプレッションベースで高い視聴数を記録しても、見向きもされていない広告は少なくありませんでした。

 しかし、『c0ban』サービスの場合、視聴者に対するリワード(報酬)があるとはいえ、基本的にはチャンネルには観光情報やグルメ情報など、ユーザーにとって魅力的なコンテンツが揃い、情報価値が高いサイトに仕立てています。ですから、視聴者は最初から積極的に広告を受容するスタンスで訪れる。従来のインターネット広告とは訴求力がまったく違うんです」。

将来的にユーザー数は10億人へ

 2016年6月のLastRoots設立とともに開発が始まり、半年後の2017年2月に正式公開された『c0ban』サービス。そのユニークなビジネスモデルに共感する利用者たちの輪は徐々に広がり、現在、加盟店はおよそ150ヵ所、チャンネルのユーザー数は約40万人にまで拡大している。小林氏は、「ユーザー数は来年夏までに100万人、加盟店は5000ヵ所をめざしたい」と見通しを語ったうえで、「将来的にはユーザー数は世界10億人を目標にしている」と力強く語る。そうなれば、世界の金融の仕組みそのものを変える、「世界一のサービス」(小林氏)となるのも決して夢ではない。

 次からは、実際に『c0ban』サービスに賛同し、動画広告をチャンネルに掲載している加盟店を取材。活用シーンや実際の導入効果についての声を聞いた。

仮想通貨と広告を組み合わせた新サービス『c0ban』。この画期的な仕組みがもっともわかりやすく効果を発揮するのは、飲食・小売業だろう。月島を本拠に各地でグループ7店舗を構えるもんじゃ焼きの「おしお」は、そんな効果に期待し、いち早く『c0ban』を導入した1社だ。そこで、グループの基幹店である和店、店長の深瀬氏に、実際の導入効果や『c0ban』への期待などを聞いた。

約7万回の完全視聴で70%のコスト削減効果を実現

―『c0ban』サービスを導入したきっかけを教えてください。

 当社の代表が、知人の縁から新しい仮想通貨のプロジェクトがあることを知り、興味をもったのが導入のきっかけでした。日本の食文化への関心の高まりにくわえ、月島が観光スポットである築地に近いこともあり、昨今の外国人観光客増加の影響を肌身で感じていました。そのため、ネット媒体での宣伝やITの活用など、グローバル化への対応も課題のひとつと感じていました。ですから、国境を越えて自由に送金できる仮想通貨と組み合わせた広告サービスを、日本独自の食文化である「もんじゃ焼き」の店舗に導入するのは、逆に「おもしろい」と思ったんです。

 グループ7店舗の動画広告をLastRootsさんに撮影いただき、2017年4月から配信開始。店舗での『c0ban』の利用は、今年5月の二子玉川店での導入を皮切りに、その1ヵ月後にはこの和店でも利用を開始しました。

―実際に『c0ban』は店舗でどのように利用されているのですか。

 当店では、看板商品である「もんじゃ焼き」のなかの1品を、『c0ban』10両分(当時のレート)と引き換えに、提供しています。店内では『c0ban』をポスターで紹介しているほか、『c0ban』の利用方法をわかりやすく明記した利用手順書を作成。お客さんは、そこに記載された二次元コードを携帯端末で読み込むだけで、10両分の『c0ban』が送金でき、もんじゃ焼きを購入できるという仕組みです。店員は送金画面を確認するだけでいいので、現場での運用はとても簡単です。

―導入効果はいかがですか。

 動画広告を配信して以来、10月時点で約7万回の完全視聴が確認されていると聞きました。予想以上の方に視聴されていることに、正直驚きましたね。約7万回の完全視聴とは、『c0ban』として視聴者に提供した広告費は約35万円分になります。一方、LastRootsさんによれば、この視聴規模を従来のインプレッションベースの広告に換算すると230万PV、金額では115万円分に相当する広告効果とのこと。純粋な広告費でみると、70%のコスト削減効果があったわけです。それだけではなく、若い主婦層を中心に、配信された『c0ban』を手に来店してくれるお客さんもみられるようになったことでも、広告効果を実感しています。

―今後、『c0ban』にどんなことを期待しますか。

 動画広告の掲載サイトの注目度が上がることで、国内外の当社への集客効果がますます高まることをまずは期待しています。『c0ban』が広く普及することで、1品提供だけでなく、お会計自体を『c0ban』で済ますことができるようになると便利ですね。当店としても、『c0ban』専用メニューや季節限定メニュー、外国人向けセットメニューなどを考案し、『c0ban』の活用を促進できる施策も検討していきたいと思っています。

マンション・戸建住宅の企画・販売から不動産の賃貸管理・仲介、さらには保育園や介護施設の経営まで手がける総合不動産ベンチャー、オンズホールディングスも、『c0ban』サービスに賛同し、早くから導入している1社である。代表の新井氏に導入のねらいなどを聞いた。

広告費負担を抑制する「有効な手段」という期待も

―『c0ban』サービスには開始当初から参加しているそうですね。

 ええ。2016年6月のLastRoots設立以前から、仮想通貨のプロジェクトが進んでいると知り、関心を寄せていました。画期的な仕組みが評価され、有力なビジネスコンテストで受賞していることもあり、硬直した日本の金融システムに風穴を空ける可能性を秘めた仕組みだと感じていました。当社が展開する不動産事業では、『c0ban』を介した取引が実現するにはまだ時間がかかるでしょうが、この仕組みを本格的に離陸できるように「ぜひ応援したい」という気持ちで参加しています。もちろん、ネットの動画広告を通じて、従来活用していた媒体とは違う角度で、潜在顧客層への知名度が上がることも期待しています。

―導入効果はいかがですか。

 この間、3万回もの完全視聴を獲得しているというのは想像以上でした。この業界は、非常に高額な広告費を投入していることで知られていますが、デフレ環境下にあって昨今の土地単価・工事費上昇の影響で、広告費負担が重くのしかかり、新しい宣伝手法が模索されています。その意味で、ネットの動画広告というのは、「ひとつの有効な手段かもしれない」という手ごたえを感じているところです。また、新しい仕組みを理解し、積極的にチャレンジしていること自体が、企業イメージの向上につながるのではないかという期待もあります。

 そこで当社でも、社内の事業において『c0ban』の活用シーンを増やせないか検討しています。分譲マンションの購入などはともかく、たとえば、賃貸物件の入出金や保育料、介護施設利用料といった月々の支払いに『c0ban』を活用できないかなど、さまざまなアイデアを練っているところです。

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