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ベンチャー通信編集部注目の起業家インタビュー

WHILL,Inc. 最高経営責任者(CEO) 杉江 理

注目シンプルかつ明確なビジョンがあれば企業は成長できる

WHILL,Inc. 最高経営責任者(CEO) 杉江 理

2017年1月、世界最大の家電見本市「CES2017」で、ある日本発のスタートアップ企業が権威ある「InnovationAwards」を受賞した。次世代パーソナルモビリティを開発・販売するWHILLだ。2012年に米国で起業、2016年には米国で販売認可を受け、いままさに飛躍に向けた一歩を踏み出そうとしている同社。最高経営責任者・杉江氏にこれまでの軌跡や今後のビジョンなどを聞いた。

※下記はベンチャー通信70号(2018年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

※この電動車いすは健常者も使えることをアピールするため、電動車いすに乗った状態で撮影しました

楽しく、そしてスマートに それが「WHILL」の原点

―パーソナルモビリティ「WHILL」について教えてください。

 シンプルに表現するなら、行きたいところに出かけられる❝新しい乗り物❞です。細い路地、砂利道、芝生、でこぼこ道、室内外どこへでも。これまでの電動車いすは走破性、小回り性から行けるところが限られていましたが「WHILL」はその点をクリアしています。それを可能にしたのが、最先端の技術を結集させた特別な前輪タイヤです。24個の小さなタイヤで構成される前輪タイヤによって、幅60㎝のコンパクトな車体は後輪を中心にその場で回転することができます。

 また、「WHILL」はパワフルな四輪駆動なので7.5㎝の段差も乗り越えることができ、悪路での走行も問題としません。

―高度なテクノロジーの結晶なんですね。

 ええ。ハードウェアだけでなくソフトウェアも進化を続けています。「WHILL」をiPhoneに接続すれば、リモートコントロールや速度の設定も調整ができて、介助が必要な方が使っている場合、介助者が後ろから操作するのではなく、横で一緒に歩きながら話すこともできます。

 それからGPS機能によって、いまどこに「WHILL」があるのかを把握でき、高齢者の見守りにも役立てられます。今後も「WHILL」をアップデートして、さらなる高機能化を目指します。今後、クラウドにつながることでロボット化していくという進化も考えています。

 私たちのミッションは、「すべての人の移動を楽しく、スマートにする」。障がいをもつ方だけのためのモノをつくる気はなくて、あらゆる人が使えるパーソナルモビリティサービスを提供したい。その「あらゆる人」のなかに障がいがある方も含まれているイメージです。

米国で気づかされた❝プロフェッショナル❞の重要性

―シリコンバレーで起業したいきさつを教えてください。

「150万 VS 10万」。これはなにかというと、米国と日本のパーソナルモビリティのユーザー数です。米国はダントツでユーザーが多い。それが渡米した理由です。シンプルな答えですよね。ユーザーの近くでヒアリングして、体感してつくったほうがよいプロダクトができるに決まっていますから。もともと世界を見て回るのは好きでした。ボリビア、ラオスなどさまざまな国に数ヵ月滞在した経験もあるので、海外に出ていくことに抵抗はなかったですね。

―現地で苦労したことはありましたか。

 米国では電動車いすを医療機器として扱うので、規制や制度がいくつもあって、それをひとつひとつクリアしていくことが大変でした。また、そこで感じたのは、より企業を成長させるにはプロフェッショナルな人材が必要だということ。そのような経緯もあって、いまは人材採用に注力しているところです。

 雇用の面でも大きく違うのは、「雇ってみて、ダメだったらすぐ解雇する」といった風潮があることです。KPI(※)を設けパフォーマンスが悪ければ解雇。私も米国ではメンバーをクビにしました。合理的で厳しい世界ですが、「本当の資本主義の世界というのは、こういうことなんだな」と日本との文化の違いを痛感しました。どちらかというと日本の思想はまだ、社会主義っぽいところがあるなと思いますね。

※ KPI:Key Performance Indicator の略。目標の達成度を評価するための重要業績評価指標のこと。

ネガティブなものはいつかポジティブを超える

―「WHILL」の成功を最初から確信していたように思えます。

 はい。昔から❝ネガティブがポジティブになり、そしていつかそれは、ポジティブを超えていく❞という考え方をつねづねもっていました。

 私が子どものころはメガネをかけている人って「メガネ猿」とか言われていじめられたりしていました。それって、「メガネがネガティブなもの」だったからですよね。でもいまは、「だてメガネ」もあります。ファッションの一部として考えられるようになりました。

 最近なんて、Google Glassができて、ポジティブを超えるような、もうよくわからないすごい次元にたどりついていますよね(笑)。

 これはきっと、電動車いすも同じだと思ったんです。だから❝いける❞って心の底から思っていました。今後、誰もが「便利だから」「必要だから」、そして「カッコいいから」という理由で「WHILL」に乗る時代がくると、いまから楽しみにしています。

杉江 理(すぎえ さとし)プロフィール

1982年、静岡県生まれ。立命館大学卒業後、日産自動車株式会社に入社。開発本部に配属される。退社後は、中国へ渡り南京で日本語教師を1年間務める。その後2年間、世界各地を回る。2012年にWHILL株式会社を設立、最高経営責任者(CEO)に就任。元世界経済フォーラム(ダボス会議)GSC30歳以下日本代表。

企業情報

設立 2012年5月
従業員数 約50名(日本、アメリカ、台湾)※2017年1月現在
事業内容 パーソナルモビリティの生産・販売
URL https://whill.jp/

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