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著名起業家インタビュー

著名起業家社会貢献なきベンチャーはベンチャーにあらず

株式会社ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者 牧野 正幸

※下記はベンチャー通信14号(2005年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―そこから本格的にソフトウエア業界に入ったわけですね。

牧野:そうです。最初はプログラムの開発をしていましたが、3ヶ月くらいで、全体をデザインするSEになりました。更にしばらくして、顧客にシステムを提案していくようになりました。 ちょうどその頃、外資系の大手コンピュータメーカーにいた人が入社してきて、その人に「関連会社がコンサルタントを募集しているので出向で行かないか」と誘われました。面白そうだと興味をひかれ、東京に出てきました。その出向先で、僕は他人が引き受けないような仕事を好んで引き受けていました。手間ばかりかかる案件や複雑な案件ばかりでしたね。でも、楽しかったですよ。自分の頭をフル回転させて困難な仕事を達成していく。もともと僕は人ができないような難易度の高いことをクリアすることが好きだったんです。そうやって山のような難題をこなしていくうちに、日本のソフト業界の抱える問題点が見えてきたんです。それは、システム開発に費用がかかりすぎていること。業務の効率化、コスト削減という目的で新しくシステムを構築しているのに、逆に経営的にはコスト高になっていた。欧米企業でIT化が進んだのは、80年代。当時、欧米は不況で、人事や経理業務をシステム化して経営効率を高め、コスト削減することが目的だった。一方、日本は当時バブル経済まっさかりの頃で、コスト意識が非常に低かったんです。欧米ではSAPやオラクルなどの大手企業向けの業務用パッケージソフトが開発され、瞬く間に普及しました。企業ごとにオーダーメイドでシステム開発するよりもはるかに安価に導入できたからです。では、日本に同じようなパッケージソフトがあるかというと無かった。このままだと日本企業は欧米企業より情報システムに対する投資に莫大な費用がかかって、国際的な競争力を落とすことは明白でした。これは日本の危機だと感じました。

―そこで、大手企業向け業務用パッケージソフトの開発を手がけようとしたんですね。

牧野:そうです。我々がやろうとしたことは当時、日本には全く存在しないビジネスでした。特定の企業用のオーダーメイドソフト開発は盛んに行われていました。でも、すべての大手企業に対応した、ノーカスタマイズで導入できるパッケージソフトの開発は、日本ではできないと言われていたんです。と言うのも、何百社何千社が使うソフトとなれば組み合わせだけでかなり複雑なソフトになる。この問題を解決するには、とても個人の手には負えない。そこで知人のエンジニアに声をかけ、94年にプロジェクトを発足させました。とりあえずソフトの雛型を作って大手SI企業に持ちこんで提案しました。しかし、どの企業も決まって「こんな製品があれば素晴らしい」とは言うものの、「ウチでやらせてほしい」とは絶対に言わない。もともと、欧米に比べてコストが高いから、パッケージソフトを作ってコストを削減しようというのがこのプロジェクトでしょ。
 でも、受託開発会社にとって、コストを削減することは売上の減少につながる。売上を減らすために開発をするSI企業なんてない。どんなに会社を回っても状況は好転せず苦しみました。そんなとき、プロジェクトに参加していたトップエンジニアの石川芳郎(現:CTO)が「誰もやらないなら、自分たちでやろう」と言い出したんです。でも、自分と石川の2人だけでは難しい巨大なプロジェクトでした。他にマーケティングや戦略立案を任せられる人間もいないといけない。そう思っていたとき、コンサルティング会社にいた阿部(現:COO)のことを思い出しました。当時、彼はヘッドハンティングを受けていて、受け入れれば東証一部上場企業の社長に就任するはずでした。それを僕が説得して引きずりこんだんです(笑)。「これは単にソフトをつくる事業じゃない。日本を代表する大手企業の情報投資効率を世界的レベルに上昇させて、結果的に日本企業の国際競争力を高めるという社会貢献事業なんだ」と。その言葉に阿部は賛同してくれ、96年7月に石川、阿部、僕でワークスアプリケーションズを設立しました。

―御社の開発したシステム「COMPANY」は、人事・給与のソフトでダントツのトップシェアを誇っていますが、成功の秘訣は?

牧野:経営方針が優れているからなど色々言われていますが、一番の理由は優秀な人材が多く集まっているからです。成功の秘訣は優秀な人材が燃え続けられるフィールドをつくったこと。そして、僕の仕事は、優秀な人たちが興奮し続けられるようなフィールドをつくり出すことです。うちで行っている学生対象の「問題解決能力発掘インターンシップ」もその一つです。インターンシップで試されるのは自らキャッチアップして未知の問題に取り組んで解決する能力。変化が早ければ早いほど誰かに教わっていたのではキャッチアップすらできなくなる。この業界は特に変化の激しい業界で、2、3年前の知識は役に立たなくなります。そうすると、その人のクリエイティブシンキング(発想転換力)と論理的思考力が非常に重要になってくるんです。インターンシップではうちのトップエンジニアやトップコンサルタントが講師をしています。学生は知識も時間もまったくない状況で、約1ヶ月間、次々と課題を与えられる。自ら学ぶことを取捨選択し、発想を転換して対応する。限られた時間で難易度の高い課題をいかにして突破していくかを試されるのです。 そして、A・B・Cの三段階で成績評価を行い、A評価の人には5年間有効の入社パス、B評価の人には3年間有効の入社パスを発行します。この入社パスというのは、有効期限内であれば、いつでも好きな時にうちの会社に入社できる権利です。なぜ、このような入社パスが発行できるかというと、会社にとってプラスになる人間にしかパスを発行しないから。うちは一般の企業みたいに「来年は 100人必要だから、120人に内定を出す」という論理で動いていない。うちの会社がパスを出した人なら、明日からでも全員に来て欲しいと思っています。うちの会社が採用に莫大なコストをかけられるのは、うちでは優秀な人材ほど辞めないからなんです。辞めないから次々と新しい価値を生み出してくれる。つまり、優秀であればあるほど興奮できるフィールドがうちには用意されているんです。一緒に働いている仲間が優秀なうえ、仕事内容は社会に大きな貢献をしている。こういう素晴らしい環境でこそ、彼ら彼女らの能力が最も活かされると理解しています。

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