INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

3年間で全国約300ヵ所にソーラー発電所をつくった業界の革命児
自然エネルギーを普及させ世界に「共感」を広げていく
株式会社Looop 代表取締役社長 中村 創一郎
Sponsored 株式会社Looop
手づくりできるソーラー発電所を開発し、大ヒットさせたLooop。代表の中村氏自ら全国を飛び回り、ソーラーパネルを取りつける。ときにはボランティアで、天災により停電した海外の地へも。「多くの人に喜ばれ、共感を集める。それがビジネスを生む」という理念がそんな行動の背景にある。理念をどう現実化しているのか、事業戦略や求める人材像などとあわせて同氏に聞いた。
※下記はベンチャー通信56号(2014年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―2013年11月、フィリピンを大型台風が襲い、6,000人以上が亡くなりました。中村さんは3ヵ月後、被災者を支援するために現地へ向かったそうですね。
中村:はい。たったひとつの火力発電所が壊れてしまったモロカボという離島に、僕らの商品であるソーラー発電所を寄付しました。現地の人たちと一緒に、僕自身が発電所の建設に携わったんですよ。きっかけは、フィリピン出身で日本に来ているSNS友だちがいたこと。その友人は駐日フィリピン大使館に勤めていた経験があり、フィリピン政府の関係者に知りあいがいる。そのつてで、「モロカボ島の人たちが、電気が使えず困っている」という情報が入ってきたんです。いちばん近い港から1時間。船に揺られて島に渡りました。現地の被災状況には心が痛みましたが、島民のみなさんに歓迎してもらえたことはとてもうれしかったです。県知事や国会議員から感謝されたり、現地のメディアから取材されたりもしましたが、なによりも、寄付したソーラー発電所が完成し、明かりがともったときの島民の方々の笑顔が忘れられません。
―トップがボランティア活動のために日本を離れると、ビジネスにさしつかえませんか。
中村:確かに短期的に見れば、ビジネスへの影響がないわけではありません。しかし、Looopは東日本大震災のときのボランティアをきっかけに始まった会社。そこでの笑顔が僕らの起業をあとおししてくれました。その想いを忘れないためにも、これからもボランティアには力を入れていきたい。それに、今はテクノロジーが進んでいますから、モロカボ島でもケータイがつながるんですよ。それで仕事ができるので、なんとかなります。また、今後は僕がいなくてもまったく問題ない会社にしていかなければならない。ボランティア活動に同行した社員が人間的にスケールアップしてくれて、人材育成にもなっているんです。また、モロカボでの活動を通し、フィリピンの行政機関からビジネスにつながりそうな案件のオファーが来ています。共感してくれる人がいればビジネスにも発展していく。「世の中って回りまわって戻ってくるんだな」と実感しています。
―起業のきっかけとなった東日本大震災の被災者支援の活動について聞かせてください。
中村:震災が起きた当時、僕は中国に住んでいて、現地でレアメタルを調達する仕事に携わっていた。そこでのビジネスパートナーのなかに、ソーラーパネルをつくっている人がいて「被災者の助けになりたい」と。無償でパネルを提供してくれるというんです。そこで震災から1ヵ月後に帰国。避難所などにソーラー発電所を設置してまわった。すると被災者から非常に喜んでもらえました。「こんなに多くの共感が集まるのか」。自然エネルギーのビジネスに可能性を感じ、起業に踏み切ったんです。
―業績は順調に伸びましたか。
中村:設立8ヵ月後の2011年12月に、「My発電所キット12」という新製品を発売。ヒットさせたことで業績が飛躍的に伸びました。これはソーラー発電システムをパッケージ化し、ユーザーが手づくりできるというもの。施工会社に依頼する必要がないぶん、低コストで発電所を設置できる。それまではソーラー発電について「クリーン」「再生可能」といった好印象をもっていても、自分とは縁遠いモノと思っていた人がほとんど。それを一気に身近な存在にできた。いまでは全国約300ヵ所にソーラー発電所を設置。業績も比例して伸び、2013年3月期の売上高は約17億円に達し、2014年3月期はその4倍以上の増収を見込んでいます。
―ソーラー発電ビジネスには競合も多いと思います。そのなかで高い業績をあげられる理由はなんですか。
中村:最大の理由は、圧倒的に低価格であることです。出力60kWの製品であれば約1,200万円と、同業他社に比べて7割程度。かといって、粗利益率は他社と変わらないはずです。低コストで高品質な製品を提供できるサプライチェーンを構築しているから。とくに、中国からそのような製品を調達するルートを築いたことが大きいですね。
―「中国製のモノは品質面で不安」という声をよく聞きます。
中村:確かに不安がつきまといます。でも、僕は学生時代も含めて13年間、中国でさまざまなビジネスに携わってきました。その経験を活かして、低価格でありながら高品質の製品を調達できる信頼関係を、現地のサプライヤーとの間に構築しているんです。たとえば、なるべく僕自身が現地に行き、先方と交渉するようにしています。彼らは"仲間"と認めた相手にはとても情に厚いからです。一方で、相手を信じ切ってしまうのは危険。相手を盲信してしまうと、先方はこちらを軽く見てしまう傾向があるからです。Looopは複数の調達ルートを持ち、相見積もりを取りながら交渉に臨むことで、調達におけるイニシアティブを握るようにしています。また、中国での生産工程の管理体制をチェックし、厳格な検品を行っています。ただ、厳しいだけだと状況が変われば敬遠されてしまう。そこで、工業製品の品質を検証する機関で合格判定を受けたときなどに、その資料を送って表彰しています。「Looopの仕事で、他社に勝った」という満足感を与え、「次も勝ちたい」と思ってもらうことで、競争原理をはたらかせているわけです。
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