累計経営者579人に取材、掲載社数320ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

販売・サービス業界の起業家インタビュー

有限会社マック・エンタープライズ・コーポレーション 代表取締役 山森 亮

販売・サービス中小企業でも顧客のインサイトに響くマーケティングができるのです

有限会社マック・エンタープライズ・コーポレーション 代表取締役 山森 亮

敵に塩を送る──。戦国の世に生まれた美談を現代のビジネス界に再現しようとしている起業家がいる。マック・エンタープライズ・コーポレーション代表の山森氏だ。同氏は5年前、飲食店を開業。動画を駆使した独自のマーケティング戦略により業績を伸ばし続けている。いま、蓄積したノウハウを、ほかの飲食店や他業種のスモールビジネスに展開。マーケティングを支援する新プロジェクトを立ち上げたのだ。「自社のライバルを育てることになろうとも、スモールビジネスを支援したい」という熱い想いと、さまざまな事業を運営した経験から生まれたマーケティング手法の詳細について、山森氏に聞いた。

飲食店が価格競争から脱出する唯一の道はWebマーケティング

―帝国データバンクの調査によれば、2017年に飲食店の倒産件数が過去最高を記録。中小飲食店は厳しい状況にあります。要因はなんでしょう。

 大手チェーン店との価格競争に巻き込まれていることです。原材料を大量に仕入れられる大手は、容易に低価格にできます。中小の飲食店が対抗しようとすれば、過剰な薄利多売ビジネスに落ち入り、仕事量が増える。労働時間が長くなり、休日は減少する。ブラックな職場になってしまい、人材の定着が厳しくなり、サービスの低下という負のスパイラルにつながる。とてもシンプルな構造です。

―八方ふさがりのように聞こえます…。そんな悪循環から抜け出す手だてはあるのでしょうか。

 ええ、あります。価格ではなく「質」での勝負にもちこむことです。大手チェーン店にはない独自の商品やサービスなどを訴求して、その価値を理解してくれる特別な顧客層をターゲットにして戦っていくべきです。これまでは、経営者が現状の商品やサービスを維持することにこだわるあまり、自ら価格競争に突入していったきらいがあります。

 その思考から抜け出し、想像のつばさを広げてみれば、特別な顧客層に受け入れてもらえるサービスは必ず見つかるはず。カギは「自社になにが提供できるか」ではなく、顧客の行動や心理、つまりインサイトの側からサービスを考えること。そしてそのインサイトに響くようにサービスを訴求できるのがマーケティングです。

―中小飲食店はマーケティングに注力するべきだと。しかし、宣伝や販促の分野こそ、大手が圧倒的に優位なのではありませんか。

 いいえ。身近なところでいえば、SNSや動画、ウェブサイト制作ツールが登場したことによって、費用対効果の高いマーケティングを展開できる時代が到来しています。いまや、マーケティングの優劣に企業規模の大小は関係ありません。中小飲食店であっても、大きな予算をかけずにマーケティングを展開し、集客を伸ばすことができるのです。

 これは机上の空論ではありません。私たち自身がさまざまな事業でマーケティング施策を行い、成果を出しているのです。

SNSの動画広告で宣伝した海鮮丼デリバリーが大ヒット

―どんな施策ですか。詳しく教えてください。

 私たちが運営する海鮮丼店で、送料別途1500円という、一見、安いとは感じられない価格帯の海鮮丼デリバリーサービスを開始し、それを動画でPRしました。この動画広告は、最後の10秒あたりでようやく「海鮮丼のデリバリーの宣伝だったのか」と気づいてもらう構成になっています。現代の人々は、広告を受動的に眺めることはしません。興味がなければ、広告を途中で消すことが可能になっているからです。冒頭から宣伝ポイントをうたう一般的な内容では、最後まで広告を見てもらえないのです。

 最初の5秒を見てもらえたら、次の5秒を見てもらえる、そんな感覚で制作しなければ、広告としての機能は果たさない。海鮮丼デリバリーサービスの広告動画では、まるで近未来が舞台の大作映画の予告編のような映像が流れ、最後まで顧客をあきさせないつくりになっています。顧客の行動・心理を読み取り、どこで商品やサービスのPRを行なうかを十分に検討したうえで制作しているのです。

 この動画広告は制作・配信コストは数万円程度。1万回以上再生され、10万インプレッションを獲得して、多くのコンバージョンを得られました。

―飲食業界のマーケティングといえば、『食べログ』や『ぐるなび』といったポータルサイトへの掲載が主流です。

 ええ。でも、月数万円のコストがかかるうえに、自分たちでコンテンツの内容をコントロールしにくい。一方、他社に頼らずWebサイトを自社で作成したり、自社制作のPR動画をSNSへ配信するといったマーケティング施策を自分たちで行えば費用対効果は高い。それに、ITリテラシーが身につき、さらに次の一手を打ち出すこともできるようになるでしょう。

―確かに、そうですね。ただ、まさに「ITリテラシーを身につけなければいけない」ことに、二の足を踏む飲食店経営者も多いと思います。

 はい。そこで私たちは、「IT初心者」といえるような経営者の方でも、マーケティング施策を実行できるようになる研修サービスを提供。中小飲食店のマーケティングを支援する「Re」事業を2018年に立ち上げました。

 これまでにも飲食店のマーケティングを支援するツールやサービスはたくさんありました。でも、それは「IT屋さん」の開発したツールであったり、「マーケティング屋さん」が提供するサービスであったり。リアルな手ごたえを重視する飲食店のあり方と、ズレてしまっていることが多かった。だから、これだけテクノロジーが進化し、低コストでマーケティングできるようになったにもかかわらず、中小飲食店には普及しなかったのだと思います。

―「Re」事業によるマーケティング支援は、飲食店を運営するなかで生まれたサービスであるところが、既存のツールやサービスと違うわけですね。

 その通りです。私たち自身が飲食店を運営し、多忙な現場のなかで施策を実行してきました。だから時間的にも予算的にも現実的なものになっています。

強みはないならつくるべきあるなら気づくべき

―どんな支援を提供しているのでしょう。

 「Re1DAY研修」といって、中小飲食店の経営者もしくはマーケティング担当者を対象に、1日かけて集合研修を実施しています。そこでは、まずは自分のお店の強みを見つめなおしてもらいます。そのうえで、強みをPRするためのウェブサイトディレクションとサイト制作の実習、プロカメラマンとともに料理を撮影する実習、そしてブランディングの考え方や顧客のインサイトに響くように心のツボを押す広告の考え方、最適な広告配信方法などを伝えています。

 研修前はご自身のお店の強みに気づいていない経営者の方の場合、私を含め当社のメンバーが務める研修講師とのディスカッションのなかで、強みに気づいてもらいます。万が一、「いくら見つめなおしてみても強みが見つからない」のであればイチからつくるべき。あるなら気づくべき。それぐらい「強み」は重要なものであり、そのお手伝いをさせていただいております。

―「Re」事業の支援を受けてマーケティング力を強化した飲食店が、手ごわい競合相手になり、自分の首を絞めることになりませんか。

 私たちはそんな競合店を、むしろ積極的に育てていきたいと考えています。マーケティングとは正しい価値を提供する手段であり、切磋琢磨して業界全体を発展させられるひとつの方法だからです。

 今後は、飲食だけではなく、ほかの業界の発展にもつなげていきたい。というのも、さまざまな業界の企業から、マーケティング支援の依頼を受けるようになっているからです。それに対応するため、「Reクリエティブマーケティング」という新たなサービスも開始しました。安売りではなく「正しい価値を生み出して、それを伝えていく」というのは業界を問わず、スモールビジネス全般に共通する「新しい必勝戦略」だと思います。「そんなことができる」ということを飲食業の方や他業種の中小企業の経営者の方に伝えていくのが、私たちのサービスの本質。そして、そのような「正しい価値」の提供がひとつのムーブメントになれば、世の中にセンセーショナルなインパクトを与えていけると確信しています。

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