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IT業界の起業家インタビュー

バルテス株式会社  代表取締役社長 田中 真史

IT技術革新が急激な時代にはわれわれの深化した力が必要になる

バルテス株式会社  代表取締役社長 田中 真史

日常生活にソフトウェアが広く浸透していくなか、ソフトウェアテストの重要性を強く感じ、2004年にテスト専門会社のバルテスを立ち上げたのが代表の田中氏だ。テスト業界では、「ITの進化はバグの発見を難しくする」といわれている。そんななか、「だからこそ、テスト技術の“深化”だけを追求し続けたパイオニアとしての強みが活かせる時代になった」と田中氏は語る。同氏に、テスト業界の魅力や今後の成長性などについて話を聞いた。

※下記はベンチャー通信70号(2018年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

設立後に独自研究を進めノウハウをつくり上げた

―テスト専門会社を立ち上げた経緯を教えてください。

 テスト業務は、ソフトウェアを開発するうえで重要な役割があるにもかかわらず、プロが育ちにくい状況だったからです。私も以前、ソフトウェアの開発会社を経営し、テスト業務は社内で行っていました。当時は専門会社がほぼなかったので、多くのソフトウェア会社がテスト業務は社内で実施していたのです。ただ、大抵のエンジニアは開発業務を第一に手がけたいと希望します。テストは地味な印象がありますからね。テスト業務が敬遠される環境で、いい人材が育つはずもない。それならいっそのこと、テスト業務の専門会社を立ち上げてプロをたくさん育てようと考えたのです。

―市場が未整備な状況での会社設立は、自分でイチから用意すべきこともあり、多くの苦労があったのではないですか。

 当時、テスト計画、設計、実施といった各パートの業務内容を説明するドキュメント類の標準仕様など、日本にありませんでした。テスト先進国であるアメリカにはそれがあるので、設立メンバーとともに研究を重ねて自社のフォーマットをつくり上げたのです。また、テスト技術やテスト設計についても、社内勉強会を何度も開催し独自のものを構築しました。人材集めにも苦労しましたが、「欠陥のあるソフトウェアが世に出ることを防ぐ『最後の砦』」といった業務の意義を語り続け、エンジニアを徐々に増やしていったのです。

ソフトウェアの高性能化がバグ発見を難しいものにする

―その後、事業は順調に立ち上がっていったのですか。

 ある程度の体制が整った2年目から、依頼が次々に舞い込んできました。2005年当時は、カーナビや携帯電話、パソコンなどさまざまな家電製品の新機種が続々と開発され、テレビはアナログからデジタルに移行する時期。ソフトウェア会社が社内ではこなせないほどのテスト業務が発生していたのです。まさしく時代の「大きな波」に乗った格好でしたね。そして、その後も年間数百件単位の増加基調となり、昨年は1200件のテスト業務に着手。ホームページからの見積もり依頼は、会社設立時の10倍以上になっています。

―テスト市場全体が拡大したのですね。

 ええ。またここにきて、単なる市場の拡大だけでなく、当社の専門性に魅力を感じてテストを依頼されるといったケースが増えています。これは、ITの革新によりソフトウェアの高性能化が進んでいる影響もあります。

―どういうことでしょうか

 高性能化により、昨今の金融システムのように、より複雑になっているだけでなく、IoT製品やオムニチャネルのように、従来別々に存在していたシステムがひとつのシステムとして動くようになり、テストをしなければならない範囲が爆発的に増えています。その結果、従来のやり方では品質を確保できなくなってきており、専門的にテストを行っている当社への依頼が増えているのです。

学校のテスト教育は未整備 社内で学べる環境をつくった

―専門家として活躍する舞台は、さらに広がりそうですか。

 そうですね。IT革新は今後も間違いなく進み、ソフトウェアもさらに高度化・複雑化するでしょう。当社は、テスト業務の社内勉強会と研修を長年にわたって繰り返し行い、蓄積してきた豊富なナレッジをさらに新たなテスト技術の開発に向けてきました。それぞれの業界に特化したテストノウハウも構築しています。最近では、メガバンククラスの金融システムのテスト業務を手がけました。この規模の開発になると、システム会社がテスト業務も一手に引き受けるのが普通ですが、「専門家に実施してほしい」と依頼されたのです。当社への信頼が高まっていると実感しました。

 じつは、テスト専門会社は日本で数十社程度しかありません。日本の大学や専門学校などでソフトウェアテストを専門に教える体制は未整備なので、体系的なテスト知識のあるITエンジニアを集めにくく、市場に参入しにくいからです。また、IT企業でもテストのスキルをもった人材不足は深刻化しています。そんななか、パイオニア的存在として市場に入った当社は、社内で人を育てる教育体制もしっかりと構築しています。くわえて、教育機関でも提供できないテストやソフトウェア品質の教育が提供できるテスト会社として、多くの企業から教育セミナーを依頼していただいています。いまこそ、当社のテスト業務に対する“深化”した力が発揮できる世の中になったと確信しています。

―今後のビジョンを聞かせてください。

 ソフトウェア品質の価値は、顧客満足度の価値と同一だと思っています。まずは、7年後の設立20周年に100億円の売上をめざすとともに、顧客ごとのソフトウェア品質を向上させたいと考えています。そして、将来的には海外市場も取り込みたいですね。3年前にオフショアでフィリピンに拠点を構えたのもその布石です。海外市場の広がりは、国内の比ではありません。英語圏ではテストを専門家にまかせることは常識なので、市場規模は数十兆円。来年ラスベガスで開かれるソフトウェアの見本市に出展し、当社の〝ジャパンクオリティ〟を世界に発信します。数十兆円市場を取り込み、当社だけの「グレートウェーブ」をおこし、全世界の顧客満足度を向上させる専門家集団になりたいですね。

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