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IT業界の起業家インタビュー

株式会社メイプルシステムズ 代表取締役社長 望月 祐介

IT「多重下請け構造」は業界にとって善か悪か

株式会社メイプルシステムズ 代表取締役社長 望月 祐介

「多重下請け構造」―。IoTをはじめ新たなテクノロジーの出現で今後も右肩上がりの成長が期待されるIT業界において、問題視されている取り引きの仕組みだ。ただ、この多重下請け構造を非難する業界関係者もいれば、必要悪だと目をつむる人もいる。果たして「多重下請け構造」は善か悪か。本編では、その内容を検証していく。

※下記はベンチャー通信72号(2018年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

さまざまな弊害を生む多重下請け構造

 そもそも「多重下請け構造」とは、ユーザー企業(※)から直接仕事を請け負った元請けが、その仕事を下請けに発注し、その後、二次請け、三次請け、四次請けに仕事が流れていくピラミッド構造をいう。

 これをシステム開発の工程に当てはめていくと、元請けは「要件定義」や「概要設計」などを行い、下請けは「開発」や「実装」を行うのが、よくみられるパターンだ。このとき下請けが、自社のリソースでまかなうことができなければ、二次請けに仕事は回され、そこでも対応できなければ、三次、四次請けへと仕事は回されていく。

 だが、システム開発に限らず、どのような業種においても専門業者に依頼したほうがスムーズであれば、外部に委託することはよくある話だ。では、なぜ問題視されるのか。その要因を探ってみる。

※ユーザー企業:消費者に対する事業をしている会社。自社や親会社のシステムの企画や構築などを行い、元請けに仕事を発注する立場

―【要因①】賃金の格差が生じてしまう

 IT業界では中間業者の数が多いため、下の層にいけばいくほど中間搾取が起こり、エンジニアの賃金は下がっていく。一段階階層が下がるだけでも、月間で数万円から数十万円のマージンが抜かれるといわれており、エンジニアによっては同様の仕事をしているにもかかわらず、どの階層にいるかによって、えられる賃金は異なってくる。

―【要因②】マージンだけをえる業者が介入する

 安い金額で請け負う会社があれば、仕事のみを流すだけでマージンがえられるようになり、これを専門的に行う仲介業者が出てくる。このようなモデルが横行しているため、エンジニアには適正な対価が支払われない。

 一部の仲介業者は、何兆円にものぼる金額をムダに消失させているといわれている。

―【要因③】エンジニアが育ちにくい環境ができてしまう

「多重下請け構造」は過度な分業化を招くため、エンジニアが入れ替わっても支障がないよう仕事は設計されている。

 そのため、自分がかかわっているパート以外の仕事内容を知らされることはほとんどない。よって「なにをつくっているのかわからない」と感じるエンジニアも多く、スキルを覚える機会を失い、作業をこなすだけの人が増えている。

―【要因④】責任の所在がわからない

 プロジェクトの規模が大きくなると、そのぶん多くの下請け企業が介在することになる。

 すると、大小さまざまなトラブルが生じた際には、「私はこの部分だけつくる契約だからほかのことはわからない」「このミスは私のせいではない」などと、責任の所在がどこにあるのかわからないといったことが頻繁に起こる。

多重下請け構造がなくならない理由とは

 賃金格差、中間搾取、人材が育ちにくい環境、責任の所在のあいまいさ―。

「多重下請け構造」が業界に与えたダメージはじつに大きく、とくに若い人材が定着しにくい環境をつくってしまった。

 では、なぜ、多重下請け構造はなくならないのか。それは、ピラミッド構造の上層側の会社と裾野側の会社の利害が少なからず一致しているところにある。

 システム開発の大型案件は、定期的に同じ量の仕事があるとは限らず、人員をつねにそろえておくことはコスト的にも難しい。そのため、上層側にあたる元請けや下請けの会社は、自社の人員を最小限に抑えて、外部の会社に業務を依頼することで案件を回している。

 一方、下請け構造の裾野にいる二次、三次請けの会社は、自前で大型案件を請けることは極力避けて、孫請けでも仕事があれば請け負うことで、この業界は成立している(下図参照)。

 これが「多重下請け構造は必要悪」だと考える業界関係者の見解だと考えられる。

 しかし、この考えに理解を示しながらも「多重過ぎる下請け構造はなくすべき」と声をあげる人物がいる。それがメイプルシステムズ代表の望月氏だ。

 同氏は、「多重下請け構造のレイヤーを減らすことで業界の風向きは変わる」と考え、IT業界にはびこる課題をITの力で解決しようと、プラットフォームの開発に取り組んだ。その詳細を、次ページで紹介していく。

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