高い成長率を持続しながら9月で5期目に入ったデパート。主力事業はWeb制作だが、たずさわる領域はそれにとどまらず、プランニングやコンサルティング、運用など、広範囲にわたる。高い提案力で顧客に寄り添う姿勢から信頼をえて、直接取り引きする大手企業も多い。支持される理由や徹底する想い、今後のビジョンなどについて、代表の見條氏に聞いた。
※下記はベンチャー通信73号(2018年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
大切なのは結局と人との関係
―デパートの強みはなんでしょう。
企業ビジョンの「誰かを想って創る」ことを徹底していることです。
ここでいう「誰か」とは、ときには顧客であり、ときにはその先のエンドユーザーです。さらには、制作側にいる、ディレクター、エンジニア、デザイナーといったチームの仲間であることも。Webサイトができ上がるまでには、このように多くの人がかかわってくるのです。
自分の視点だけでなく、さまざまな人の視点に立って制作に取り組むことで、結果的に顧客の要望以上の品質のWebサイトを提供できるようになる。それが、顧客からの評価を上げ、会社の成長につながっていくのです。
―誰かを「想う」とはどのようなことでしょうか。
たとえば、顧客からECサイトの制作依頼があったとします。そのとき、顧客の要望通りに機能や見た目を実装するだけでは十分ではありません。サイトを運用する顧客が商品を登録し、伝票を作成し、発送するといったところまで想像できることが大事なのです。
私は社内で、この「誰かを想って創る」ことを繰り返し言い続けています。直接顔を合わせるかどうかにかかわらず、ひとりよがりのモノをつくらないように、徹底してもらっているのです。そのためには、相手を思いやらないといけません。WebやITは先端技術がどんどんと投入される世界ですが、結局は、人と人のコミュニケーションや関係性がもっとも大切なのですから。
―そのように考えるようになった理由を聞かせてください。
当社の前身は、あるベンチャー企業のWeb制作事業部でした。私を含め、もともと営業職出身だったデパートの現経営陣3人が、ゼロから立ち上げ、成長させてきた部門でした。そして、経営判断によりこの事業部が切り離されることになり、「デパート」として独立したのです。
Web制作事業部は与信審査も通らないような新設会社としてスタートを切りました。しかし、それまでお付き合いしていた会社は、なんと、1社残らずわれわれとの契約を継続してくれたんです。その理由を顧客に聞くと、「裏切らないし、逃げないし、結果を出してくれているからですよ」と。このとき、「もっとも大切なことは人にかかわるところなのだな」と実感したのです。
「5つの軸」で新事業に挑戦する
―そうした信頼が企業成長につながっていったのですね。
はい。信頼をえてきたからこそ、仲介会社を通さずに顧客と直接取引をさせてもらったり、企画や戦略といった上流の工程からたずさわらせてもらうようになり、事業の幅も広げることができました。その一環で、このほど新しい事業も立ち上げました。
―どのような事業ですか。
新たに人材事業を立ち上げました。顧客との付き合いが長くなると、Webサイトの制作にとどまらず、その先の運用やグロースハックまでまかされるようになってきます。その過程で、「エンジニアに常駐してほしい」というニーズが出てきました。それがきっかけでした。Web制作に続く事業の2本目の柱という位置づけです。具体的には、人材派遣とSES、人材紹介を手がけていきます。
私はWeb制作からいったん離れ、この人材事業に集中していきます。Web制作事業はこれまで私と一緒にデパートを率いてきた役員の田中と今井のふたりに切り盛りしてもらいます。
―今後のビジョンを聞かせてください。
人材事業にかぎらず、今後も積極的に新しい事業を立ち上げていこうと考えています。
当社の企業理念は「イイ会社を創ることで、イイ社会を創り上げること」。ここでいう「イイ会社」というのが「誰かを想って創る企業」です。「イイ社会」とは、究極的には「資源が平等に分配されている社会」だととらえています。私たちは「イイ社会」を実現するために今後、教育、医療、雇用、環境、食料の5つの軸で新規事業に挑戦していきます。これらは一般的に「資源の分配が偏っている」とされる分野です。新しく立ち上げた人材事業には、「雇用を生み出し、人的資源を分配する」というミッションがあるのです。
当社はWeb制作やITに強みをもちますが、「イイ社会」を実現していくためにはITのみにこだわるつもりはありません。5つの軸のなかでできることを考え、デパートを次の成長ステージに引き上げていきたいですね。
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