「デジタルマーケティング領域の業務に携わったことで、さまざまな可能性が開けたのです」―。そう語るのは、競争激しいデジタルマーケティング業界に身を置き、前年比300%の成長を遂げるインフィニティエージェント代表の岡田氏だ。大手企業がこぞって参入するなかでも、設立4年目の中小ベンチャー企業は成長の一途をたどっている。その要因とともに、今後のビジョンなどを同氏に聞いた。
※下記はベンチャー通信75号(2019年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
企業成長に影響をもたらした前職で痛感した「想い」
―設立から右肩あがりの業績をあげていますね。会社の強みはどこにありますか。
ふたつ考えられます。まずひとつは、デジタルマーケティングに強い人材が当社に集まっていることです。
スマートフォンやタブレット端末など、電子デバイスが普及したいま、インターネット広告市場において、デジタルマーケティングの需要は非常に高まっています。一方で、進化するテクノロジーを駆使して、企画を提案し、運用できている広告代理店はじつは多くありません。なぜかというと、デジタルマーケティングを行っている会社、もしくは人が、市場の変化に追いついていないからです。それに対し当社は、対応できる人材をそろえている。だから大手広告代理店が参入する市場で顧客を開拓でき、成長を遂げているのです。
―もうひとつの強みはなんでしょう。
「セールス力」が備わってきた社員が増えたことです。ここでいうセールスとは、単にモノを売る力だけではなく、顧客の事業戦略まで踏み込んで分析・課題解決をし、「売れる仕組みづくり」を提案できる力です。
なぜ、当社がそこまで力を入れているかというと、「もし自分が広告主だったら」という想像力が、私にあるからです。顧客は投資した金額以上の利益を望んでいますから、どんなにいい広告をつくっても売上があがらなければ意味がありません。その想いを痛感したのは、前職での経験が影響しています。
―前職の経験とは、どのようなものだったのですか。
新卒で入社した会社でのことです。私は、インターネットメディア事業部に所属し、新規事業責任者として「一括見積サイト」の立ち上げに携わっていました。半年でサイトを完成させ、仕上がりも納得のいくものに。しかし、まったく集客があがらなかったのです。そこで広告によって集客効果をあげようと代理店に相談。戦略もないまま広告を流し続け、総額1000万円ほどを投入したのですが、効果はまったくあがらず。結果、サイトはクローズに。サイト制作1000万円、広告費1000万円以上の投資がすべて水の泡となったのです。このときに広告主が抱く理不尽さを痛感したんです。「単に広告を回すだけの担当者は必要ない。顧客の売上や事業の成長につなげないと、意味がない」と。
社員一丸となって会社の目標を達成したい
―社内で「セールス力」はどのようにして培われていくのでしょう。
大型コンペの資料、さまざまな過去の提案の事例などがファイリングされたマニュアルを読んでもらいます。しかし、これだけで当社が求める「セールス力」が身につくわけではありません。顧客の元へ行く前に、私やマネージャーにプレゼンするのです。内容を聞いて、ロジックが通らない箇所があればアドバイスして、質を高めていく。この作業を繰り返せば、「セールス力」は培われます。「セールス力」が備われば、どんな事業でも「売れる仕組み」を導き出すことができ、成功できます。そこで、力をつけた社員たちの成長を見込んで、昨年からフィンテック領域で挑戦を始めたのです。
―それはどのような事業ですか。
住宅ローンの借り換えアプリのシステム開発およびコンサルティング事業です。いまはマイナス金利の影響もあり、住宅ローンの見直しを行うだけで、利用者には数百万円ものメリットが生まれるといわれています。でも借り換えには、条件にあった銀行選びや、多くの書類を用意するなどの手間がかかるため、利用者に大きな負担がかかっているのが現状。そこで、当社がAIを搭載したシステムを開発し、銀行の絞り込み検索や情報提供など、借り換えの際のサポートをしています。ゆくゆくは最適な住宅ローンの提案と最終審査をワンストップで行えるようなシステムの開発も構想しています。フィンテック事業はまだスタートしたばかりですが、売上は初年度1億円以上を見込み、新たな主力事業になると期待しています。
―今後のビジョンを教えてください。
当面の目標としてわれわれが掲げているのは、5年以内に「社員100名、売上100億円を達成する」です。この目標を実現するため、いま新規事業の開発とともに、採用にも力を入れています。われわれが求めている人材は、「ともに会社をつくってくれる人」です。新たなことにチャレンジできるチャンスもありますし、当社には「0→1」をつくる楽しさがあります。仕事を通じて成長できる環境は十分整っているので、ぜひ、裸一貫で思いきり飛び込んできてもらいたいですね。
岡田 裕平(おかだ ゆうへい)プロフィール
1989年、東京都生まれ。大学卒業後、2013年に株式会社リアホールディングスに入社。新卒生ながらインターネットメディア立ち上げの責任者に抜擢される。その後、トランスコスモス株式会社に入社し、インターネット広告の集客についてノウハウを学ぶ。2015年に株式会社インフィニティエージェントを設立し、代表取締役に就任。
企業情報
設立 | 2015年5月 |
---|---|
資本金 | 1,000万円 |
売上高 | 11億4,739万円(2018年3月期) |
従業員数 | 25名 |
事業内容 | デジタルマーケティング事業、インターネットメディア事業、フィンテック事業など |
URL | https://infinity-agent.co.jp/ |
※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。
業界別起業家インタビュー記事
新着インタビュー記事
-
2021/01/20 更新
【Best Venture 100 カンファレンスレポート】成長できる企業の条件
freee株式会社 武地 健太 / 宝印刷株式会社 望月 良浩 / 株式会社オフィスバンク 新井 啓司 / ピー・シー・エー株式会社 伊藤 真一郎 / あいわ税理士法人 圡屋 憲 / 株式会社マネーフォワード 竹田 正信 / CRGホールディングス株式会社 古澤 孝
-
2021/01/20 更新
【Best Venture 100 カンファレンスレポート】「コロナ禍」でもピンチはチャンス、こうした変化に必ずニーズは眠っている
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー 高宮 慎一 / 株式会社トリドールホールディングス 代表取締役社長 粟田 貴也 / KLab株式会社 取締役会長 真田 哲弥
-
2021/01/20 更新
【Best Venture 100 カンファレンスレポート】ベンチャー企業を取り巻く経済環境は、どう変わるのか
マネックスグループ株式会社 松本 大
-
2020/12/15 更新
委託で実現させる経営資源の最適化「コロナ不況」にも負けない組織へ
株式会社J.Forceアウトソーシング 川西 康太
-
2020/10/12 更新
受け継がれてきた理念と品質、自信をもって世の中に示したい
株式会社セキムラ 新沼 直哉

ベンチャー情報雑誌
「ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを取材」をコンセプトに編集している、2000年創刊のベンチャー情報雑誌です。
ベンチャー通信への掲載・取材希望の方
ベンチャー企業の採用力強化、自社の成長性・知名度アップのため、ベンチャー通信に貴社の取材記事を掲載してみませんか?