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IT業界の起業家インタビュー

IFA株式会社 取締役CMO 大坂 亮平

IT大切な資産であるお金と個人情報は「次世代銀行」で管理する時代に

IFA株式会社 取締役CMO 大坂 亮平

めまぐるしく進化を遂げていく、インターネット業界。人々の生活を豊かにしていく一方で、情報の漏えいや不正アクセスなど事故や事件は後を絶たない。そんななか、インターネット関連業務を手がけているIFA・取締役CMOの大坂氏は「ブロックチェーンを活用し、ユーザー自身でお金や個人情報を管理することで、インターネットは健全に発展する」と話す。同社は、それを実現するサービス『AIre(アイレ)』を開発中だ。同氏に、サービスの詳細を聞いた。

※下記はベンチャー通信77号(2019年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

資産は「中央」に集約せず、個人で管理するのが健全

―『AIre』とはどのようなサービスなのですか。

 ひと言でいえば、「お金」や「個人情報」といった大切な資産をユーザー自身で管理するため、分散型台帳技術、そのなかでもブロックチェーンを活用した「次世代型銀行」と呼ぶべきサービスです。

 これまで、「お金」といえば銀行が管理しているものでした。しかし、各個人がもつ「お金」が一箇所に集約してしまうと不正な攻撃を受けやすくなってしまいます。さらに、管理側に利用者の個人情報の管理権も集中してしまい、恣意的な操作を受けないとも限らないのです。これは、銀行に限った話ではありません。

―どういうことでしょう。

 たとえば、情報を検索するにはGoogle、SNSならFacebookやInstagramといったサービスを利用しますよね。そうすると、個人の属性や「なにに興味があり、どんな検索を行ったか」などを管理側が把握できます。すると、管理側が利用者の同意なく、そうした個人情報を活用することが可能に。わかりやすくいうと、女子高生が利用するSNSに、購入してほしいアイスの画像を勝手に表示させたりもできるのです。

 これまでは、お金や情報にアクセスする場合は、いわば仲介業者を挟んでいた状態でした。われわれとしては、「そんなことはもうやめましょう」と。ブロックチェーンを活用した『AIre』なら、銀行やGoogleといった仲介を挟まず、セキュリティを担保しつつ個人同士でやりとりができるのです。

―そうした動きは世界的に広まっているのでしょうか。

 広まっていくと考えられます。すでに、GAFA(※)に代表される巨大プラットフォーマーによるインターネットサービスの寡占状態に対して、法規制する動きが起きています。また、EUのGDPR(※)では個人情報保護法ができ、Web上に個人情報やクッキー情報(サイト閲覧データ)を利用者の同意なしに残すのは、違法になっています。日本は遅れていますが、こうした動きは着実に進んでいるのです。

※GAFA: Google、Apple、Facebook、Amazonの4社のこと。頭文字を取って称される
※GDPR: General Data Protection Regulationの略。EUにおける一般データ保護規則

DLT(Distributed Ledger Technology)とも呼ばれ、この言葉を日本語訳したのが、分散型台帳技術です。その一方で「中央集権型台帳」があり、これが「銀行」にあたります。これまで多くの分野において中央集権型になっていた台帳を、ユーザー全員で管理、監視しあっていく技術が分散型台帳技術の特長。悪意ある行動の標的となる中央管理体(たとえば銀行)がなく、世界中にデータベースが広がっているため、攻撃することは困難なのです。また、かりにどこかのユーザーが攻撃されたとしても、残りのユーザーでシステムを維持することが可能。そのため、ハッキングに強いうえにシステムダウンも起こりにくく、サービスを維持できる強みがあります。

5つのサービスを備えた、ITプラットフォーム

―『AIre』の詳細を教えてください。

『AIre』は5つのサービスで構成された、プラットフォームです。まず、最初に紹介するのが『AIre BASE』、これは残り4つのサービスを有機的につなげるデータベースとしての機能をはたします。

 次に、『AIre VOICE』。これは、いわばブロックチェーン業界や暗号資産業界におけるオウンドメディアです。

 ブロックチェーンを使って、いちばん初めにつくられた通貨が『ビットコイン』でした。そのため、日本ではブロックチェーンと暗号資産は一緒に語られることが多く、約2年前に国内でバブルのような状態になった際、ガイドラインもろくにないまま詐欺まがいの取引が横行していた過去があります。『AIre VOICE』はそうした負のイメージを払拭するため、正しい情報をキチンと伝えていきます。国内の識者のほか、海外のブロックチェーン企業や暗号資産の取引所などに直接インタビューを行い、最新情報を提供していきます。

―3つ目はなんでしょう。

『AIre MINE』です。これは、名前や生年月日といったさまざまな個人情報を改ざんされないようにブロックチェーン上で保存し、ID管理を行うもの。将来的には、わざわざ運転免許証やパスポートを出さなくても、個人を証明することができるサービスになっていきます。

 そして、『AIre SHARE』。端的にいうと、ユーザー同士で自身の口座を共有するサービスです。これによって、ショップを介さず個人同士で出品されたモノを自由に売り買いするといったことが可能になります。

 最後に、『AIre BRIDGE』。これはいってみればサイフです。『AIre』内の通貨は、すべて暗号資産でやりとりされます。たとえば、『AIre SHARE』で発生した売買の送金は『AIre BRIDGE』で行われます。また、資産という観点で、スコアリングの管理もこちらで行われ、『AIre MINE』と連動することで、価値のある個人情報はスコアリングに加算されるという仕組みです。

分散型台帳技術における、代表的な技術のひとつです。繰り返される取引など一連の記録を、一回ごとに暗号化してブロックにし、鎖のように次々につけ足して、多くの人間の手元で分散型の台帳として保持する技術のことをいいます。従来はこうした連続した記録は、中央集権的に特定のサーバに保存されていましたが、これがインターネット上のコンピュータを使い、多くの人に分散して共有され、計算検証されることで、記録の信頼性が確保される点がブロックチェーンの特長。利便性が高く、高い信頼性と高度なセキュリティを有していることから、金融取引や重要なデータのやりとりへの応用が進められています。

いわゆる仮想通貨の別称です。ビットコインのようなインターネット上の財産的価値のことを当初海外では「Virtual Currency」と呼ばれていました。日本語に翻訳すると「仮想通貨」となり、日本ではその呼称が定着したのです。その後、海外で「Crypto Currency」(暗号通貨)と呼称が変わるものの、 2018年に開催された国際会議「G7」で、通貨としてはまだ脆弱性があり、「Crypto Asset」(暗号資産)と呼称すべきだという議論がでました。これを受け、日本では金融庁が中心となり呼称変更の動きが活発化。2019年3月の通常国会で「資金決済法等改正法」が成立。「仮想通貨」を「暗号資産」と呼称変更することが決まりました。

今後はスコアリングが、重要なキーワードになる

―特徴的なポイントはありますか。

 金銭的にわかりやすい観点でいうと、銀行を介さずに個人間でリアルタイム送金がすんでしまうため、国際送金の手数料がすごく安くなるといった点がありますね。

 なかでも、いちばんのポイントは、スコアリングだと考えています。銀行にお金を借りる際、現状は携帯利用料金をキチンと払っているかとか、給与がいくらかみたいな、といった側面でしか判断できない。ただ、たとえば、Twitterでのフォロワーが100万人いたとしたら、そういった情報も融資の際に評価されてしかるべきですよね。

 また、IQが高くて才能があるのに、まったく働かない両親がいるため、学校に行けない子どもがいたとします。そこに最低限スマホのデバイスがあれば、『AIre』を通じて、スコアリングと自身のメッセージを発信することで、共感したユーザーから出資を募ることも可能です。

―いろんな可能性が考えられますね。

 ええ。いわば個人同士による、スコアリングの信用取引ですね。そのほか、スタートアップの創業者やインスタグラマーの資金調達にも使えるでしょう。また、「スコアリングが1,000点を超えたらこんな優待が受けられます」といったサービスも展開していきたいと考えています。

日本語で「信用格付け」と訳されます。たとえば、クレジットカードや住宅ローンの申し込みなどをすると、「いくらまでなら貸せるか」が検討され、判断されます。具体的には「年齢」「年収」「持ち家の有無」「子どもの有無」「勤務先」「勤続年数」などじつにさまざま。こうした内容を点数に置き換えて審査が行われるわけですが、これをスコアリングと呼ぶのです。キャッシングをしてもまじめにコツコツと返済していればスコアリング点数は上がりますし、返済が滞ると下がります。それにつれて利用限度額も上下します。最初のスコアリングは低くても、まじめに過ごしていれば自然と高くなっていくもの。自分自身の行いで良くも悪くもなっていくというわけです。

使って当たり前の、サービスを展開したい

―今後のビジョンを教えてください。

『AIre VOICE』は、今年の3月にローンチしました。残りのサービスは年内のリリースをめざしています。最初は既存の暗号資産を利用する予定ですが、ゆくゆくは独自の暗号資産を開発し、オリジナルの経済圏をつくっていこうと考えています。

 ブロックチェーンは、新しいビジネス領域なので、さまざまな可能性が考えられます。その点、この領域において日本は、中国やアジアの新興国にかなり遅れをとってしまっている状態です。日本においてはまだ物珍しい状態ですが、使って当たり前と思われるようなサービスを国内で展開していきたいですね。

大坂 亮平(おおさか りょうへい)プロフィール

1982年、東京都生まれ。音楽やコンテンツなどの制作会社にてキャリアをスタート。その後、広告領域に転職し、Live配信プラットフォーム事業のスタートアップやSP事業を主とする上場企業にてナショナルクライアントなどへのデジタルマーケティング領域の企画や設計を担当。先進的なテクノロジーの事業に興味をもち、2018年、IFA株式会社に入社。現在にいたる。

企業情報

設立 2014年10月
資本金 5億4,350万8,080円(2019年7月現在)
従業員数 18名
事業内容 インターネット関連業務
URL https://ifa-aire.co.jp/

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