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ベンチャー通信編集部注目の起業家インタビュー

株式会社WACHAJACK 代表取締役 澤井 富士彦

注目誰もが理解できる絵のチカラで人々の「伝えたい」を叶える

株式会社WACHAJACK 代表取締役 澤井 富士彦

ゲームや映画の企画段階で、監督やプロデューサーが思い描く世界観を絵で表現する「コンセプトアート」。日本ではまだ比較的新しいこの領域を専門に手がけているのがWACHAJACKだ。「コンセプトアートを活用できる分野は今後ますます広がる」と語る同社代表の澤井氏に、他社との協業事例や今後のビジョンについて聞いた。

※下記はベンチャー通信77号(2019年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

漠然としたイメージを膨らませ、一枚の絵に表現する

―コンセプトアートは一般的にはまだあまり知られていない概念のようですね。

 ええ。しかしここ数年では、映画やゲームなど一部の業界で普及が進んでいます。その背景には、コンピュータグラフィックス(CG)技術の発達があります。CGを使った作品の制作には、デザインを立体データに起こす「モデラー」や、動きをつける「アニメーター」など、さまざまなスタッフが携わります。いまはCGによる表現の幅が広がり、スタッフの役割も細分化が進んでいます。しかし同時に、携わる人員が増えると、監督やプロデューサーが描きたい世界観と成果物が乖離するリスクも高まります。そのため、細部まで明確化された作品世界のイメージが全員に共有されなくてはいけません。そこで、誰が見ても理解できる絵でイメージを可視化する、コンセプトアートの需要が増えているのです。

―WACHAJACKが手がけたコンセプトアートの事例を教えてください。

 たとえば、男性用コスメブランド『GATSBY』のCM制作に携わりました。CMでは、巨大なロボットが暴れ回る雑然とした「まちの様子」が映し出されます。ここに登場する大通りや建物を、私たちがコンセプトアートとして描きました。当初、監督が言葉で表現していた世界観は「カオスな雰囲気」。私たちはそこからより明確なイメージを引き出し、最終的には、「インドのバラナシ」や「1980年代っぽさ」「近未来感」が混在するまちの絵に仕上げたのです。

 このほか、コンセプトアートの活用が珍しい分野では、メーカーが行った新工場の建築コンペに協力した実績もあります。

コンセプトアートのハブになる

―どのような提案内容だったのでしょう。

 昼と夜で異なる楽しみ方ができる、観光工場のコンセプトを提案しました。絵で表現したのは、来訪者がAR(拡張現実)端末を通して見る工場内の様子です。たとえば、子どもや家族連れをターゲットにした昼には、擬人化された機械が工場を案内してくれるコンテンツを表現。カップルの来場を想定した夜間は、施設を色鮮やかなグリッド(※)で映し出すといった、ロマンチックな演出を示しました。提案は残念ながら、予算の関係で採用にはいたりませんでしたが、「自分たちでは思い浮かばない面白い発想をえられた」と評価してもらいました。

 当社は、チームとして複数のアーティストを抱えているため、幅広い分野で挑戦と実績を重ねていくことができるのです。

※グリッド:格子状の線のこと

―コンセプトアートをチームで手がける会社は多いのですか。

 いいえ。むしろ少ないほうで、コンセプトアーティストはフリーランスとして働くケースが一般的です。しかし、ひとりの場合は、繁忙期にメンタル不調を来してしまうことも。チームで支えあい、一人ひとりが精神を健康に保つことは、制作物の質を担保することにつながります。

 チームで働く強みはそれだけでなく、各人の技術やノウハウを共有し、全体でスキル向上を図れることにもあります。当社ではさらに、制作物や各人が収集したリファレンス資料を共有することで、過去の反省点を今後の案件に活かし、制作物の質を高められるような仕組みづくりも推進。若い人材に成長機会を与えるため、セミナーや交流会も開いています。こうして人材が育つ環境を築くことで、日本におけるコンセプトアーティストのハブとしての役割を、当社が担っていきたいと考えているのです。

志望者に新たな道筋を、示せる存在になりたい

―ハブとしての役割とはどのようなものでしょう。

 日本中のコンセプトアーティストやその志望者を集めて育てることで、優秀なアーティストをどんどん生み出していくことです。この業界には、CG制作の出身者や、元イラストレーターなど、さまざまな経歴をもつ人がいますが、国内ではまだコンセプトアーティストになるための明確なキャリアパスというものが確立されていません。そこで、当社が志望者に新たな道筋を示せる存在になりたいのです。さらには、「日本にはこんなコンセプトアーティスト集団がいるのだ」ということを発信し、海外の案件にも積極的に携わっていきたいですね。

―今後のビジョンを聞かせてください。

 業界を問わず、コンセプトアートの概念を広めていきたいです。コンセプトアートを活用できる領域は、ARのような仮想技術を使う製品から都市設計、さらには企業理念や音楽まで、制限はありません。こうした、企業が伝えたいコンセプトやイメージを一枚の絵にすることで人々の共感をえられれば、世の中にワクワクや希望が増えていく。そんな好循環をコンセプトアートによって築いていきたいですね。

澤井 富士彦(さわい ふじひこ)プロフィール

1987年、静岡県生まれ。2011年、首都大学東京システムデザイン学部インダストリアルアートコースを卒業後、アニメ制作会社でのアルバイトを通じ、背景アセットのCG制作を学ぶ。同年にゲーム制作会社に入社し、キャラクターのCG制作に携わった後、フリーランスとしてコンセプトアートの制作を手がけ始める。2018年にコンセプトアートに特化した株式会社WACHAJACKを設立し、代表取締役に就任する。

企業情報

設立 2018年3月
資本金 300万円
売上高 8,000万円(2019年2月期)
従業員数 10名
事業内容 コンセプトアートを主としたデザイン・映像・CGの制作
URL https://wachajack.com/

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