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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社One’s Will 代表取締役 冨永 賢一

行き詰まりを経てたどり着いた“第二次創業”

顧客優先主義の先に見出した、社員をやる気にさせる経営スタイル

株式会社One’s Will 代表取締役 冨永 賢一

営業アウトソーシング業から創業し、現在は人材派遣・紹介事業を軸に展開するOne's Willは2020年度、創業10期目を迎える。ここまでを振り返り、「経営への行き詰まりを感じた時期もある」と同社代表の冨永氏は明かすが、この4年の成長ぶりはめざましい。2016年度にそれまでの売上の10倍となる「年商30億円を10年後に達成する」と宣言したことが発端となっている。なぜ、思い切った目標を掲げることができたのか。同氏に、その経緯や狙いを聞いた。
※下記はベンチャー通信79号(2020年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

創業4年目の危機を、1年の苦悶の末に克服

―起業のきっかけを聞かせてください。

 前職で派遣社員として、ケーブルテレビの契約をとる営業をしていました。つねに顧客目線を意識し、「顧客のニーズも満たして売る」。そこにやりがいを感じていました。営業ですから、もちろん数字は重要。ただ、とにかく「売ればいい」、というのは私の性分にあいません。ところが、そうした売り方が目につく業界だったのです。そこで、自分の想いをとことん追求するために、独立を決断しました。

―想いを創業でカタチにしたのですね。

 ええ。売り方については顧客優先を徹底したので、通信業界の年間営業アワードで表彰されたり、副商材の販売数で全国一になったりと、「やっていることに間違いはない」と思える結果が伴っていました。顧客からの信頼も積み上がり、リピートや相談も徐々に増えていきました。一方で、創業4年を過ぎたころ、「このまま営業だけをやっていても思ったような会社にはならない」と、経営の先行きに危機感を抱き始めていました。

―なにが問題だったのですか。

 顧客優先を貫くことで、信頼は積み上がっていきましたが、このころ、有望な社員が次々と退社していったのです。「やっていることは間違っていない」、そう確信する一方で、会社の将来を担う人材が離れていく。なにがよくないのか、どうすればついてきてくれるのか。私にはその原因がわからず、このときは会社の存続さえ危ぶまれる状況のなかで、会社の将来をまったく見通せなくなっていました。

―その現状をどう克服したのですか。

 残っている社員がいる以上、ここで停滞するわけにはいきません。私は覚悟を決め、打開につながりそうなことはなんでもやりました。離職する社員とコミュニケーションをとり、問題点を率直に話してもらう。残っている社員とも話をし、なにが不足しているのか、なにを望んでいるのかなど意見を聞きました。私自身は、だれよりも働くと決め、ほぼ休まずに仕事に没頭しました。気がつけば、1年が経っていましたね。

 結局、明確な答えがみつかったわけではありません。それでも職場のムードは徐々にそれまでとは変わっていきました。なにより、社員が仕事に対してより前のめりになってくれた。言葉でなく、行動でしたが、いままで以上に業績に深くコミットする姿勢を通じて、会社の未来に対してひとつの道筋を示せたことが、社員の気持ちを変えたのかもしれません。このときほど社員たちに全力で向きあったことはありませんでした。この経験を経て、私自身も成長できたと思っています。そこで私は、社員たちへの期待を言葉にして、伝えることにしました。それが、6期目となる2016年度の決算報告で発表した、「10年後にいまの10倍の売上を達成する」という宣言です。

―売上10倍はインパクトがあります。

 そうですね。明確に想いを伝えるために、あえてインパクトのある数字にしました。とはいえ、単に売上重視へのシフトという意味ではありません。引き続き、顧客重視は徹底する。同時に売上もしっかりと追求していく。それまでの5年で積み上げた会社としてのベースのうえに、さらに社員のポテンシャルを信じ、主体性を引き出すために新たに数字へのコミットをくわえたのです。One's Willがこれから先、一層躍動していくための、いわば新しい経営指針です。あれから3年が経ちますが、今期は目標を前倒しで達成できるほど、売上は順調に伸びています。ここまで強い数字へのコミットは初めてでしたが、社員に想いは伝わっていると確信しています。

6つの事業を独立させ、6人の経営者を輩出したい

―社員はどう変わりましたか。

 宣言をしてから、新たな事業を複数立ち上げ、多くの社員にチャンスを与えましたが、だれもが期待以上の活躍をしてくれています。独立を目指し、結果を出し続ける社員。未経験ながらコーチング業務に取り組み、組織強化に貢献してくれている社員。もともとポテンシャルの高い社員が揃っていましたが、会社の将来を見通せるほどの活躍ぶりで、頼もしいです。

―最後にベンチャー業界への就職を目指す求職者にメッセージをお願いします。

 当社では現在、工事関連、コールセンター、人材派遣・紹介、セールスサポートなどの部門を6チームで動かしています。ゆくゆくはそれら各事業を独立させ、6人の経営者を輩出したいと考えています。そうなれば、おのずとポストも増えていきます。社員にはつねに言っていますが、会社はチャンスを等しく与えます。挑戦意欲の強い人はぜひ、当社で活躍してみませんか。
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