企業が製品やサービスの魅力を潜在顧客に伝える手段として、動画配信に注目が集まるなか、YouTubeの活用に特化したマーケティング支援を手がける企業がある。「コンテンツマーケティング」の草創期にあたる2013年に創業したSuneightだ。事業の先進性を背景に、「当社のライバル企業はまだ少ない」と話す代表の竹内氏に、同社が誇る強みや、YouTubeに着眼して事業を起こした経緯などを聞いた。
※下記はベンチャー通信79号(2020年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
「5G時代」への移行で、動画が情報発信手段の主役に
―事業概要を教えてください。
企業向けにYouTubeを活用したマーケティング支援を手がけています。具体的には、YouTube向けに最適化された動画の制作と、動画ページ内の要素を改善する「内部対策」により、チャンネルの運用・管理をしながら「動画SEO」を通じた集客のお手伝いをしています。動画はテキストに比べ、視聴者に与えられる情報量が多く、視聴者の記憶や理解の度合いを高め、消費行動をより促せるという利点があります。通信規格が4Gから5Gへ移行し、動画をより手軽に視聴できる時代を迎えるなか、情報を発信したい企業にとって、動画の活用、特に「YouTubeの活用」は必須と言えるほど重要になります。
―それはなぜですか。
まず、YouTubeは月間アクティブユーザー数が国内で約8,200万人と、言うまでもなくSNSでトップレベルを誇るサービスであるからです。動画サービスにおけるシェアも約80%と圧倒的に高く、人が集まるところに情報発信をすることは、PR戦略において避けては通れない道になるでしょう。
YouTubeはさらに、ユーザーが過去に視聴した動画や検索ワードから「おすすめ動画」を表示する「レコメンド機能」も、企業がプロモーションに使う際に大きなメリットとなります。企業がユーザーを開拓しなくとも、潜在顧客のほうから動画を目にする機会をつくってくれるのですから。YouTubeはこの機能により、ほかのSNSと違い、古い動画でも新しい動画に埋もれることなく、おすすめ動画として表示してくれる。つまり、過去に制作した動画も「掛け捨て」ではなく、「資産」として、半永久的に集客に役立てることができるのです。
―YouTubeを活用する企業は実際に増えているのでしょうか。
ええ。「ユーチューバー」や「コンテンツマーケティング」という言葉の浸透に伴い、企業がYouTubeを使う例はここ2~3年で急速に増えています。しかし現時点では、制作した動画を公開するだけで、効果的に運用できている例はまだまだ少ないです。
動画を検索結果で上位に表示させたり、「おすすめ」として表示させたりするには、コンテンツ自体の質だけでなく、内部対策が不可欠です。しかし、それができていないケースが非常に多い。かりに、動画公開時に対策をしていても、その後も状況に応じて最適化を継続しなければ、インプレッション(※)が下がって集客力は落ちてしまうので、もったいないです。しかし、YouTubeは動画表示のアルゴリズムが変わりやすいうえにブラックボックス化されていて、内部対策のポイントを捉え続けるのは至難の業です。
※インプレッション:ネット広告がユーザーに表示された回数
実践にもとづく豊富な検証で、ブラックボックスを打ち破る
―そのようななかで、SuneightがYouTubeの運用で強みを発揮できるのはなぜですか。
年間7,000本以上の動画を運用している実績と、6年以上にわたり蓄積した知見があるからです。ブラックボックス化されているYouTubeのアルゴリズムを解明するには、実践にもとづいた「検証の数」がカギになります。当社のようなYouTubeに特化したマーケティング会社は昨年頃から新たに登場していますが、アルゴリズムの検証ひとつをとっても、我々が6年あまりかけて蓄積した実績にはとてもおよびません。
同時に、当社は内部対策とは異なる知見を要する動画制作でも実績を重ねてきました。撮影から編集、解析、運用まで専任の担当者を設け、動画活用を一貫支援してきたからこそ、YouTubeの総合コンサルティング会社としての力を培ってこれたのです。
―そもそも、業界に先駆けてYouTubeに着眼し、起業した経緯を聞かせてください。
映像が秘める価値を初めて意識したのは、私がかつてバンド活動を通じて音楽にかかわっていたのがきっかけです。業界でCDが次第に売れなくなるなかでも、ミュージックビデオつきCDが売れ続けていた事実に触れ、「これからは映像の時代が来るのだ」と直感したのです。そこから映像制作を手がけるようになったのですが、顧客から「動画をネットで公開したい」という要望を受けるようになって。さらには、「動画配信が増収につながった」という反響もありました。このとき、YouTubeがもつ可能性の大きさを実感し、今後は企業のニーズが必ず急増すると予想。YouTubeマーケティングに特化したSuneightを設立したのです。
当時のYouTubeは「娯楽的なサービス」という印象がまだ強かったのですが、企業からの引き合いは年を追うごとに増え、私の目算は当たったと確信しています。
すばらしいものがあっても、伝えられなければ意味がない
―より多くの企業を支援していくために、どのような施策を行っていきますか。
これからは、各企業が動画制作専門の部署を社内に設けるのが当たり前の時代になっていくと予見しています。こうした時代の到来を見すえ、当社は昨年、企業が動画活用のノウハウを学べるスクール事業を開始しました。今後は、フランチャイズ展開による東京以外の6大都市への進出も計画しています。これにあわせて、昨年は「動画マーケティング協会」という一般社団法人も設立。参画企業と一緒に日本全体における動画マーケティングを底上げしていきたいと考えています。こうした将来の事業拡大に向け、いまは2023年のIPOを目指し、準備を進めているところです。
―今後のビジョンを聞かせてください。
事業を通じ、企業もYouTubeユーザーも豊かになる世界を実現することが、我々のビジョンです。スティーブ・ジョブズ氏が残した、「いくらすばらしいものをつくっても、伝えなければ無いのと同じだ」という言葉は、まさに我々がビジョンの実現に向けて大切にする考えと一致します。我々は、動画を通して企業のすばらしい製品やサービスを必要なユーザーに伝えるお手伝いをしています。その結果として、企業は売上が増え、自社の成長につなげられる。そして、当社と企業の間でビジネスが成立するだけでなく、ユーザーも、YouTubeを介してさまざまな課題を解決する糸口を見つけられる。こうした「三方よし」のビジネスを展開することが、我々の存在意義なのです。当社にかかわるすべての人が笑顔になり、前向きになる。Suneightをそんな「パワースポット」のような存在にしていきたいですね。
竹内 亢一(たけうち こういち)プロフィール
1981年、三重県生まれ。中学校卒業後、16歳でミュージシャンを目指し、ギターと鞄ひとつで上京。バンド活動で海外を訪れるなか、日本ではまだ馴染みが薄かった「映像」が秘める可能性の大きさに着目し、2006年から映像制作を独学で始める。2013年、株式会社Suneightを設立し、代表取締役に就任。2019年、マーケティングに動画を活用するためのノウハウを最短4日で学べる映像塾『エッヘン』を開校。同年、一般社団法人動画マーケティング協会を設立。
企業情報
設立 | 2013年10月 |
---|---|
売上高 | 3億6,000万円(2019年8月期) |
従業員数 | 50名 |
事業内容 | YouTubeに特化した動画マーケティング支援、YouTubeにおける企業アカウントの企画・デザイン・制作・管理および運営 |
URL | https://suneight.co.jp/ |
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