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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社セルミュラー 代表取締役 吉田 宣仁

独自性の高いマーケティング支援を展開する業界の新星

自走できるマーケターを育成し、日本企業の経営力を底上げしたい

株式会社セルミュラー 代表取締役 吉田 宣仁

2020年に創業し、マーケティング支援事業を手がけるセルミュラー。その支援領域は、広告運用代行のほか、データ分析、採用支援など幅広いマーケティング施策に関するコンサルティングと、広範にわたる。施策の代行とインハウス化支援も行うというビジネスモデルは、競争の激しい市場で顧客から高い評価を得ている。そうした独自性の高いビジネスモデルで事業を展開する理由はなんなのか。同社代表の吉田氏に聞いた。
※下記はベンチャー通信84号(2022年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

相反する2つの事業を、同時並行で提供

―事業内容を教えてください。

 マーケティング支援を軸としておもに2つの事業を展開しています。1つ目はインハウス化支援事業で、200時間の教育カリキュラムを通じてお客さまがマーケティング活動を内製化できるようサポートします。2つ目は広告代理店事業で、デジタル広告の運用やデータ分析といったマーケティング活動を当社が代行するものです。

 どちらも独立した別事業というわけではなく、2つを同時並行で提供することで、いずれは我々がいなくても自走できるマーケティング組織をお客さまの社内に構築してもらうことをゴールに定めています。

 事業はお客さまから高い評価をいただいており、サービスの離脱率は10%を下回っています。設立初年度に数千万円だった当社の売上高は、2年目の2021年度は数億円に達する見込みです。

―顧客から高い評価を得られているのはなぜでしょう。

 実践的なマーケティングスキルが身につく点が評価されています。当社は、お客さまのもとにスタッフが常駐することで、現場の課題やニーズに即した育成カリキュラムを提供できます。同時に、現場のニーズに適した広告運用やデータ分析など一部のマーケティング活動も代行する。このサイクルを何度も回し続けることで、お客さまは足元の売上を伸ばしながら、自社内のマーケティングスキルも同時に高めることができるのです。

 ここ数年、広告運用をはじめとしたデジタルマーケティングをインハウス化したいと考える企業は増えています。しかし、そうしたなかで当社のようにインハウス化支援とマーケティングの代行を同時に行う企業は非常に珍しいと言えるでしょう。

―それはなぜですか。

 お客さまの自走を促すインハウス化支援事業と、お客さまのマーケティングを請け負う代理店事業は本来、互いにマーケットを奪い合う、相反する事業だからです。また、上場しているような大手広告代理店の場合、戦略的な観点からインハウス化支援を提供しにくいという事情もあります。広告運用ビジネスは、多ければ一度で数千万円規模の売上をつくることができます。一方で、コンサルティング業務であるインハウス化支援は、利益率は高いものの広告運用と比べて相対的に売上は低く抑えられてしまいます。そのため、売上規模の拡大を追求する大手代理店にとって、インハウス化支援はメリットが大きな事業とは言えないのです。

 実際に私も、前職はメガベンチャーで広告運用代行を行っていましたが、こうした事情から、会社として提供できる商材の幅に制約を感じ、十分にお客さまの要望に応えることができなかったという苦い経験がありました。その経験が、当社の立ち上げにつながったという経緯があります。

企業のマーケティング活動に、夜明けをもたらしたい

―具体的に、どういった制約を感じたのですか。

 広告代理店としての看板を掲げている以上、顧客の売上を増やすために提案できる手段が広告運用に限られてしまうことがありました。そうした状況に歯がゆさを感じていたのです。それに、広告予算が1,000万円の顧客と10万円の顧客があったら、上場企業としては1,000万円の顧客に注力せざるをえません。それにより、予算規模の小さい顧客は、広告運用のサポートを十分に受けられなくなってしまいます。

 本来ならば、企業が売上を増やすためには、広告運用だけでなく、デジタルデータの活用や人材の採用など、さまざまな手法と戦略があります。そこで私は、「予算の多寡にかかわらず、企業が自社を成長させるお手伝いをしたい」という想いを抱き、起業を決意しました。そしていま、「マーケティングに夜明けをもたらす」をビジョンに掲げ、インハウス化支援と広告代理店事業を同時に行うビジネスモデルで事業を展開しているのです。

―「マーケティングに夜明けをもたらす」というビジョンには、どういった意味が込められているのでしょう。

 いま、企業がマーケティング活動について考えるとき、その環境は暗闇のような状態にあると私は考えています。たとえば、「広告のプロモーション効果が悪くなってしまった」といった課題に直面したとき、企業がその原因を人に尋ねても、それぞれ異なる答えが返ってきて、途方に暮れてしまうのはよくあることです。そもそも「マーケティング」という言葉自体、人によって考え方がバラバラで、ともすれば、「広告運用」のイメージで語られることも多い。そうしたなかで我々は、企業にマーケティングの基礎的かつ本質的な知識を身につけてもらい、自信をもって経営を前進させられるよう、その道筋に明かりを灯したいと考えているのです。

 私が定義するマーケティングとは、商売の原理原則である「安く仕入れて高く売る」プロセスを最適化することです。つまり、マーケティング支援という事業を展開するには、こうした商売の原理原則を知ることが非常に重要だと考えています。そこで当社では現在、自社社員の「経営力」を高める育成にも力を入れています。

経営者視点に立った支援で、CMO育成事業も展開へ

―実際、どのように社員を育成しているのですか。

 研修の一環としてすべての社員を対象に自らの「部署づくり」に携わってもらい、損益計算書の管理を任せています。そこでは、単に部署における経営の現状を把握するだけでなく、部署の売上や利益を増やすための事業戦略や人材採用についても計画してもらいます。これによって社員は、「利益を最大化するためになにをすればよいのか」といった、経営者視点に立った思考力を実践的に身につけられるのです。

 実際、我々のお客さまは当初、広告運用といった施策中心の課題解決を当社に依頼することが多いのですが、当社が支援を続けていくにつれ、より広範な経営課題に対する支援ニーズが高まってきます。そのため、当社が社員の「経営力」を強化することは、お客さまに提供できるサービスの幅を広げることにもつながるのです。こうしたなかで当社は、インハウス化支援の一環となる新たな事業も計画しています。

―どのような事業なのでしょう。

 最高マーケティング責任者(CMO)の育成事業です。この事業では、当社の資本で子会社を設立し、その代表取締役にお客さまの育成対象となる人材を据えます。新会社の代表取締役となった人材は、実際にその会社の経営を通じて、広告運用やデータ分析といった個別施策だけでなく、商売の原理原則を身につけられるような本質的なマーケティングスキルを育むことができるのです。この事業は2022年度中にも提供を開始する予定です。

―今後、セルミュラーをどのような会社にしていきたいですか。

 当社のサービスによって、お客さまが組織としてのマーケティングスキルを高められるだけでなく、その社員が別の企業に転職しても、「あのときセルミュラーの育成を受けられたから、自分はマーケターとして活躍できている」と思ってくれる。そんな会社にしていきたいですね。テクノロジーが日々発達するいま、マーケティングを支援するさまざまなツールも生まれていますが、それでも企業成長にとってもっとも大切なのは、実際にマーケティングを行う「人」のチカラだと私は考えています。マーケターを世の中に数多く輩出し、日本企業の経営力を底上げてしていきたいです。
PROFILE プロフィール
吉田 宣仁(よしだ のりまさ)プロフィール
1994年生まれ。2017年に株式会社サイバーエージェントに入社。2020年に株式会社セルミュラーを設立し、代表取締役に就任。
株式会社セルミュラー 企業情報
設立 2020年4月
従業員数 20名
事業内容 インハウス化支援事業、広告代理店事業など
URL https://cellmuller.com/
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