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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社フィーリスト 代表取締役 吉野 俊文

ニアショア開発で躍進を続ける注目の北海道発ITベンチャー

理念で結ばれたエンジニアたちが、幸福を追求できる環境でありたい

株式会社フィーリスト 代表取締役 吉野 俊文

エンジニア不足が深刻化するITシステム開発の現場において、いまニアショア開発ニーズを背景に急成長を遂げている企業がある。札幌市(北海道)を本拠に置くフィーリストだ。「全国のエンジニアに活躍の場を」との方針から各地に拠点網を広げ、設立7年目にしてエンジニア数は100名を超えた。「ニアショア開発で日本を代表する企業になる」と語る同社代表の吉野氏に、成長の要因や将来ビジョンなどについて聞いた。
※下記はベンチャー通信84号(2022年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

全国のエンジニアに、活躍できる環境を提供したい

―事業内容を教えてください。

 Webシステム全般の受託開発のほか、人材派遣を通じて技術力を提供するSESのふたつを事業の柱に、一部でアプリ開発なども手がけています。当社のビジネスモデルは、おもに首都圏のIT企業からのシステム開発業務を、札幌を中心とする全国各地の拠点で受託する「ニアショア開発」です。大手IT企業の大規模な開発案件や、最先端の技術を駆使したプロジェクトに携われるため、当社ではエンジニアは地方に居ながらにして最新技術に触れ、成長環境を手にすることができます。こうした環境が魅力となり、当社には若くて優秀なエンジニアが集まってくれます。設立7年目の現在、在籍するエンジニア数は100名を超えるまでに拡大。平均年齢が約30歳と若いエンジニアたちが切磋琢磨し、技術力を高め合っています。

―フィーリストはなぜ優秀な人材を集められるのでしょう。

 じつは、地方にはまだ若くて優秀な人材が数多くおり、当社はそこに注目しているからです。彼ら彼女らにとって、「なにができるか」と同様、「どこで働くか」も仕事選びの大切な条件です。しかし、地方には活躍の場があまりに少ないのが実情です。当社がそうした人材の受け皿になれれば、東京で行うよりも品質やコストなどさまざまな面で競争力の高い開発成果をお客様に提供でき、エンジニア自身の幸せにもつながります。当社が各地に拠点を広げているのは、そのためです。「働く場所の制約を受けずに活躍できる環境をエンジニアに提供したい」との想いから、現在は東京、仙台にくわえ、京都にも新たに拠点を拡充しています。

―そうした優秀な人材層が、高水準の成長を続けている原動力ですか。

 そのとおりです。豊富な人材を抱えていれば、プロジェクトに合わせて柔軟にチームを組めますし、チーム間の人材の融通もききます。そのため、スピード感をもった意思決定でお客様の要求に応えることができ、大型案件や難度の高い案件も受注できます。その経験がエンジニアの成長にもつながる。そんな好循環が生まれているのが、現在のフィーリストです。

大切にしている経営理念は、「社員に対する約束」でもある

―事業を拡大していくなかで、吉野さんが大切にしていることはありますか。

 創業時に策定した「経営理念」は、つねに経営の指針として変わらず大切にしています。事業で迷いが生じた時などはここに立ち返り、決断の拠り所にしています。当社が経営理念として目指しているのは、「お客様の価値に応えられる企業」であり、そのために3つの方針を掲げています。それは、「お客様とお互いの価値観を理解し合い、共存共栄をはかります。」「最先端、最高の技術で、最高の価値を提供します。」「お客様と社員の幸福を追求します。」というもので、特に3つ目は「社員に対する約束」として大事にしています。

―実際にその方針は、経営の現場ではどのように実践されているのでしょう。

 たとえば先日も、当社としては大規模な受注案件が浮上し、それを受けるべきかどうか、経営陣で話し合いになりました。その際、アサインされそうなエンジニア一人ひとりの顔を思い浮かべながら、「彼ら彼女らにとって成長の機会となるか」「幸福につながるか」を最優先の判断基準に議論を深めました。会社の収益を考えれば、受けるべき案件だったかもしれませんが、結局議論の末、その案件の受注は諦めました。そうした例は、当社ではじつは珍しくありません。社員数が100名を超え、拠点も増えていくなかでも、この経営理念は今後も変わらず大切にしていく覚悟です。

―今後の成長戦略を聞かせてください。

 社員数も100名を超えたことから、昨年当社では新たな成長目標をつくりました。2030年に社員数500名、売上高100億円というものです。決して簡単な目標ではありませんが、いまの社員たちの活躍を見れば自信もわいてきます。ただし、そこでもこだわるのは、あくまでも「お客様の価値に応えられる企業」であること。この理念を共有する社員たちとともに、一人ひとりの幸福を追求していきたいですね。
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