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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

三優監査法人 常務理事パートナー 業務本部長 公認会計士 山本 公太

累計約130件のIPOを支援してきた監査法人の矜持とは

創業からの「DNA」であるIPO支援を強化していきます

三優監査法人 常務理事パートナー 業務本部長 公認会計士 山本 公太

1986年の創業以来、財務諸表の監査業務にとどまらず、IPOを目指すベンチャー企業の支援を数多く手がけてきた三優監査法人。そのIPO支援数は、累計で約130件にのぼる。そうしたなか、同法人の常務理事パートナーである山本氏は、「いま一度『IPO支援と言えば三優監査法人』というブランド復権のため、よりIPO支援を強化していく」と話す。同氏に、具体的な取り組みの詳細などを聞いた。
※下記はベンチャー通信88号(2023年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

「ブランド復権」のため、戦略が必要だった

―改めて、IPO支援を強化していく理由を教えてください。

 創業から続く、当法人のDNAを守り続けていくためです。当法人は、創業者である杉田純が「IPOでベンチャー企業を元気にする」というスタンスで設立した監査法人であり、IPO支援はまさに当法人のDNAと言えるものです。監査法人は、「証券市場の門番」として厳しい目で企業を監査するという役目がある一方、画期的なプロダクトやサービスを生み出すスタートアップなどの成長を管理面から指導することで、日本経済の発展に貢献するという役割があると私は考えています。

 ただ近年、当法人のIPO支援実績数が減少傾向にあり、一昨年は2社、昨年は1社の関与にとどまりました。決して数を争っているわけではありませんが、この実績に対しては、正直に危機感をもっています。

―減少した要因はなんでしょう。

 これは業界全体に言えることですが、企業をサポートする公認会計士の慢性的なリソース不足がおもな原因です。上場後のトラブルを防ぐためなど、現在求められている監査品質のレベルは非常に高く、ある程度の人員を確保しないと品質の担保はできませんから。ただ、先人たちが築いてきた「IPO支援と言えば三優監査法人」というブランド復権のためには、改めて戦略が必要だと考え、実行することにしたのです。

昨年に組織内で立ち上げた、IPOに関するプロジェクト

―どのような戦略ですか。

 昨年6月に、組織内にてIPO関連業務推進プロジェクトを立ち上げました。もともと当法人では「上場企業の監査業務」と「IPO支援」を両輪で経験できるため、全監査スタッフがIPO支援を行うことができます。ただ、人によって経験やノウハウが異なるという側面もありました。そこで定期的に研修やセミナーを開催することで、ナレッジを共有して全体の底上げを図ろうという取り組みです。そして、ゆくゆくは専門の人材を集めて育成し、IPO支援を積極的に行う部署の設立も進めています。また、プロジェクトそのものを立ち上げることで、「これまで以上に意識してIPO支援を行う」という方針を組織内外に発信する意図もあります。

 さらに、別のアプローチでもIPO支援の強化を進めていきます。

―具体的に教えてください。

 当法人では、世界5大会計事務所のひとつ、BDOと提携しており、この国内グループである「BDO Japanグループ」との連携を強化していきます。同グループには、税理士法人や社会保険労務士法人、司法書士法人など多彩な法人が所属しており、IPOに関するさまざまな支援を提供することが可能です。「より明確にIPO支援を行っていく」という考えのもと、連携を図っていきます。

 また、BDOにおける世界中のネットワークを活かし、「日本から海外の株式市場に上場したい」という企業や、逆に海外から「日本で上場したい」というクロスボーダー企業(※)の支援も行っていきます。
※クロスボーダー企業:外国に登記されている企業、過去において外国に登記されていた企業、外国人CEOを有する日本企業などを指す

10回受けて10回受かる体制を整える必要がある

―IPOを目指すベンチャー企業の経営者にメッセージをお願いします。

 IPOには、大変な労力がかかります。IPOの審査は、持続的な成長を遂げる企業になる試験だとも言われますが、10回受けてたまたま1回受かればいいという話ではありません。10回受けたら、10回とも受かる体制を整える必要があるのです。そうした難関をクリアするためには、適切なアドバイスを提供できる専門家の存在が必要不可欠だと言えるでしょう。当法人がその一翼を担えれば、と考えています。

 IPO関連業務推進プロジェクトは、若手主体で動いてもらっています。当法人も企業と同じく、持続的に成長する必要があるため、「IPO支援の継承」という意味でも若手にシフトしているのです。そうした若手を中心として、たとえば「Web3」といった新しい事業領域にも対応していきますし、今後も多くの企業を支援していきたいですね。
PROFILE プロフィール
山本 公太(やまもと こうた)プロフィール
1967年、岡山県生まれ。1991年に明治大学商学部を卒業。1996年に三優監査法人に入所。2000年に公認会計士登録、その後2003年の社員就任を経て、2009年に代表社員、2015年に常務代表社員(現:常務理事パートナー)に就任。これまでに、数多くのIPO支援業務に関与。
企業情報
設立 1986年10月
事業内容 監査・保証業務、IPO支援、財務デュー・デリジェンス、企業価値評価(バリュエーション)、内部監査支援、システム監査・内部統制評価
URL https://www.bdo.or.jp/
お問い合わせ電話番号 IPOに関するお問い合わせ・資料請求はこちら
03-5322-3531(受付時間 平日 9:30~17:30)
お問い合わせメールアドレス info@bdo.or.jp
BDOグローバル・ネットワーク(2022年9月末現在) 世界:164ヵ国
オフィス:約1,800拠点
スタッフ:約11万1,000名
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