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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

次世代監査法人IPOフォーラム 代表 / 史彩監査法人 代表社員 伊藤 肇

「監査難民問題」へ果敢に挑む「次世代監査法人IPOフォーラム」

IPO監査の新たな「受け皿」として、市場関係者からの注目度高まる

次世代監査法人IPOフォーラム 代表 / 史彩監査法人 代表社員 伊藤 肇

前ページでは、IPO監査に積極的に取り組む「次世代監査法人IPOフォーラム」の取り組みを紹介した。ここでは、同フォーラムの一員である史彩監査法人が手がけるIPO監査の内容を取材。同法人代表の伊藤氏は、IPO監査について、「『主治医』のようにIPO準備企業に寄り添いながら行っていく」と語る。そのために、大切にしている「ある理念」があるという。それはどういった理念なのか。同氏と同法人の本橋氏の2人に聞いた。
※下記はベンチャー通信90号(2024年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

約50名の全所員が持つ、IPO監査への強い熱意

―どのような事業を行っているのでしょうか。

伊藤:「上場企業とIPO準備企業の監査」に特化した事業を行っています。IPO監査には、監査の経験のない会社に対し、企業の会計処理や決算内容などが適切かどうかを判断する、いわゆる会計と監査の専門知識が必須です。加えて、多くのIPO準備企業は会計制度や内部統制で未整備な部分が多く、それらの整備に向けたコンサルティングに近い業務も行います。私はこれまで20社以上の株式上場に携わってきたなかで、IPO準備企業と一緒に数年かけて、「上場企業にふさわしい体制整備」をゼロベースから構築するこの支援に大きなやりがいを見出してきました。なかには上場後に日本を代表するような企業へ成長したケースもあり、そうした企業の「土台づくり」となるIPO監査に携われたことは、「会計士冥利に尽きる」と感じています。

本橋:私もかつて、大手監査法人においてIPO監査に携わり、IPOというゴールに向かって、会社に近い立場で会社の成長に寄与することができる、その業務内容に大きな魅力とやりがいを感じてきました。しかし、昨今大手監査法人のなかではIPO監査へ関与できる機会が減少してしまっていることもあり、「IPO監査の醍醐味をいつまでも味わいたい」という想いから史彩監査法人に入所しました。現在、当法人には約50名の所員が在籍していますが、全員が私と同じくIPO監査への強い熱意を持っています。そうした私たちがIPO監査を行う際にこだわっていることがあります。それは、「人に向き合う監査」というものです。

―詳しく教えてください。

本橋:IPO監査は、医師の仕事に似ていると思っています。医師は患者を「診断」し、その結果に基づき「治療」を行いますが、まさにIPO監査も同じです。IPOに向けて悩みを抱える経営者や企業に対して、経営管理体制や各種内部管理体制、会計処理などにおいて課題がないか「診断」を行い、改善に向けた「治療」を提案していきます。

伊藤:実際の「財務諸表の監査」以前に行うこれらの監査は、厳しいIPO審査を乗り越えるための基盤づくりの監査といえ、この善し悪しがIPOの成功を左右するといっても過言ではありません。ときには課題を掘り起こし、「病巣」をしっかり除去する改善プランを立てなければならないこともあります。だからこそ、このIPO監査に必要なことは、「人と向き合うこと」だと思っています。経営者や経理担当者はもちろん、ときには人事、営業、製造、開発担当者などからも話を聞き、この企業の問題点は洗い出せたか、その原因はどこにあるかなどを見抜く必要があるからです。改善に向けた助言の際も、改善提案の書類とともにしっかり面と向かって説明し、進ちょく状況まで確認していくことが、その企業にとって改善効果の着実な定着につながると考えています。

「私たちもその企業の事業リスクに向き合う」

―監査法人といえば「数字に向き合う」というイメージがあります。

伊藤:もちろん数字は大事ですが、それだけを見ていては、「通り一遍」の監査しかできなくなります。わかりやすくたとえると、「赤字企業に投資する」という経営判断に対しては、会計上の数字だけを見ると、減損リスクなどネガティブな要素が多くあり、監査のうえでも否定的な見解を伝えざるを得ません。一方で私たちの場合は、その経営判断にいたった経緯や投資事業にかける経営者の考え、事業における企業の成長戦略への寄与度合いなどもしっかり把握するため、たとえ会計上の数字はネガティブなケースでも、事業の成長の観点から監査上の見解を伝えられるのです。いわば、私たちもその企業の「事業リスク」に向き合っているのです。それくらい「企業に寄り添う」意識を持つ私たちだからこそ、IPOへ挑戦し続ける企業の監査を担えるのだと自負しています。

―IPOを目指す経営者にメッセージをお願いします。

伊藤:そもそも当法人は、「IPO監査難民問題」を解決すべく、2017年に設立しました。その経緯からもわかる通り、IPOへ向かって突き進むベンチャー企業をサポートすることが私たちの使命です。IPOまでの困難な道のりでも、前向きな姿勢で粘り強く、新たな挑戦もし続ける「ベンチャー精神」を持つ監査法人として、「主治医」のようにIPO準備企業に寄り添い、しっかりサポートしてまいります。

本橋:当法人には、大手監査法人でIPO監査の経験を豊富に積んだ会計士や、大手証券会社の引受審査部門に出向してIPOに関する各種知見やノウハウを積んだ会計士が多く在籍しています。そうしたプロ集団が、経営者をはじめとするクライアントのみなさまと一緒に「汗」をかきながら、IPOまでの道のりを伴走させていただきたいと思っております。
PROFILEプロフィール
伊藤 肇(いとう はじめ)プロフィール
1966年、東京都生まれ。1989年に中央大学商学部を卒業。1994年に公認会計士登録。中央青山監査法人、有限責任あずさ監査法人を経て、2017年に史彩監査法人を設立し、代表社員に就任。

本橋 義郎(もとはし よしろう)プロフィール
1984年、東京都生まれ。2007年に早稲田大学政治経済学部を卒業。2013年に公認会計士登録。監査法人トーマツトータルサービス1部(現:有限責任監査法人トーマツ)を経て、2022年に史彩監査法人へ入所。同年7月、社員に就任。

史彩監査法人 企業情報
設立2017年3月
従業員数代表社員3名、社員5名、職員42名(2023年12月現在)
事業内容会計監査、株式公開支援、IFRS導入支援、M&A支援、財務アドバイザリーサービス(財務調査、株価算定など)
URLhttps://www.431.or.jp/
メールアドレスIPO支援に関するお問い合わせ・資料請求はこちら
info@431.or.jp
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