累計経営者579人に取材、掲載社数300ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

飲食・食品業界の起業家インタビュー

株式会社きちり 代表取締役社長 平川 昌紀

飲食・食品日本の外食産業に新たなスタンダードを創造する

株式会社きちり 代表取締役社長 平川 昌紀

※下記はベンチャー通信46号(2012年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―学生時代から将来の大きな成長を見据えていたわけですね。1998年の会社設立から、着実な成長を続けている理由を教えてください。

平川:数多くありますが、まず「おもてなし」という基本的なコンセプトが挙げられます。私たちの考えるお客さまへのおもてなしは、3つの要素で構成されています。それは「ふるまい」、「よそおい」、「しつらえ」です。「ふるまい」とは、従業員の立ち居振る舞いや言動のこと。お客さまに対するホスピタリティの表れです。「よそおい」とは、身だしなみのこと。おしゃれは自分のためにするものですが、身だしなみは人のためにするものです。そして「しつらえ」とは、空間のあり方のこと。空間デザインだけでなく、心地良い空調や音楽も含まれます。これらの「おもてなし」に、私たちの理念である「大好きがいっぱい」という気持ちを乗せています。おもてなしは、カタチだけでは決して成立しません。カタチに想いを乗せることではじめて成り立つものなのです。

―接客だけではなく、顧客に対する総合的なコミュニケーションを「おもてなし」と表現しているわけですね。

平川:料理についても大きな特長があります。それは、いわゆる居酒屋的なメニューを可能な限り排除している点。たとえば、当店の人気ナンバーワンメニューはローストビーフです。ほかにもフォンダショコラなどの豊富なデザートをはじめ、 一 般的な居酒屋では置いていないメニューが人気を博しています。これらはお客さまからの支持が集まることで定番メニューとなった逸品です。つまり、私たちが売りたいメニューをオススメするのではなく、お客さまに気に入っていただいたものを定番メニュー化してきたのです。その結果、お客さまの声がきちんと反映されたメニュー構成となっています。例えるならば、デパ地下の惣菜屋さんのマーケティング手法に似ています。そこでは、顧客のニーズや嗜好の変化を細かくキャッチアップしながら、商品開発につなげています。メニューの改変はフレキシブルで進化も早い。当社の方針に近いと思いますね。

―御社は2008年から関東への店舗展開を本格化させています。今後の出店戦略について教えてください。

平川:現在、私たちは関西に45店舗、関東に16店舗を展開しています。関東には関西の3倍以上のマーケットがありますので、今後は関東での出店を拡大し、まずは全国100店舗を目指しています。また、出店戦略のポイントとしては駅前の一等地への出店を重視しています。この戦略は書店業界を例にとると、わかりやすいと思います。書店業界でネット通販のアマゾンが成功した理由はロングテール戦略にあるといわれます。販売機会の少ない本でも、アイテム数をそろえて少しずつ売ることで、総体として大きな売上につなげていくという手法でした。一方、アマゾンの出現によって街の本屋さんがダメになっているわけではありません。駅前の 一 等地にある大型店舗は、むしろ店舗数を伸ばしているのです。われわれの店舗展開のポイントは、ここにあります。

―どういうことですか?

平川:最初から読みたい本が決まっていれば、インターネットで探すほうが合理的でしょう。しかし、ちょっとした時間ができて、本や雑誌を読みたいと思ったら、立ち寄るのは大型書店。その軽い動機での来店が、マーケットでの最も大きなボリュームゾーンとなるのです。このマーケット構造は外食も同様です。「KICHIRI」が駅前の好立地で、なおかつお客さまの選択肢として 一 番に出てくるような店づくりをしていけば、価格競争をしなくても勝機が十分に見込める。私たちは、そうした顧客の母数が多いマーケットのなかで、高価格帯の店舗を展開しています。

―御社の売上高は2011年6月期に50億円を突破しました。今後の事業展開を聞かせてください。

平川:まず既存事業については、関東圏への出店を加速させます。業態によっては駅前だけではなく、ショッピングセンターなどの商業施設への出店も積極的に展開していきます。さらに海外からのオファーも多数いただいていますので、今後は日本の「おもてなし」精神をひろげるべく、出店を前向きに考えていきます。そして新規事業については、「プラットフォームを活用したBtoBのブランドコンテンツビジネス」を推進していきます。海外まで含めればBtoCマーケットは大きいのですが、事業の幅は限定的です。一方、当社は法人向け「BtoB」ビジネスを同時に手がけており、ダイナミックな事業展開が可能です。コンサルティングや業務請負のモデルではありませんので、売上規模も拡大させやすいと考えています。

―もう少し具体的に教えてもらえますか。

平川:3つのパターンに特化して、他業種との業務提携を進めていく予定です。まず1つは、健康に関する分野。2つめは、エンターテイメントに関する分野。3つめが、生産者を含めた 一 次産業。畜産業や農業、水産業です。この3つの分野の中で、強いブランドやコンテンツをもっている提携先と組むことで、そのブランドやコンテンツを冠したオーダーメイドの業態を創っていきます。決してイチから作るわけではありません。私たちのプラットフォームの上に、提携先のブランドを乗せることによって生まれます。ですから、1店舗目からすぐに競合優位性がはかれるビジネスモデルなのです。

―タニタとの業務提携は、そのさきがけということですね。

平川:その通りです。幸運なことに、最初にやりたかった健康の分野で、リーディングカンパニーであるタニタさんとの業務提携を実現できました。今後は「タニタ食堂」ブランドを、学校・企業・駅を中心に増やしていく計画です。中国をはじめとしたアジア各国でも健康志向が年々高まっていますので、海外へ出店する可能性もあります。いま、当社のプラットフォーム戦略は確かな手応えとともに動き出しています。こうしたプラットフォームを構築・強化するために、どうしても外食分野で店舗をチェーン化する必要がありました。フランチャイズ店舗の集合体では意味をなさず、直営店をチェーン展開しなければプラットフォームは創れないからです。他の外食産業との提携も可能と考えています。今のシステムの構築もフランチャイズチェーンに転用できるものを念頭に置いてきました。このプラットフォームならもっと自由度の高い仕組みができるはずです。同業種でも異業種でも自由で大胆なビジネスが展開できると思います。

―今後の展望を教えてください。

平川:当社は2007年にIPO(新規株式公開)を実施して上場しました。当時、この事業戦略を最初に社内でアナウンスした時は、誰も信用してくれませんでした(笑)。でも会社の成長ステージが上がっていき、次第に現実味を帯びてくると、みんなその気になって目標に向かって邁進し始めました。このプラットフォームは自由度が高いので、ダイナミックな展開ができる。このプラットフォームを社員が自由に活用し、社内から経営者をどんどん輩出していきたいと思っています。私たちは今後も「外食産業の新スタンダードの創造」という、既存の枠に留まらないイノベーションを追い求めていきます。社員にはぜひ、スケールの大きな思考を生むキャパシティをもってほしい。自分で何かを仕掛けよう、世の中に新たな価値を創造しようと思っている人と、ぜひ 一 緒に仕事をしたいですね。

平川 昌紀(ひらかわ まさのり)プロフィール

1969年、大阪府生まれ。1993年に甲南大学を卒業後、リゾート開発会社に入社。1年目でトップセールスを獲得。1997年、個人にて大手ハンバーガーチェーンのFC店舗を経営。外食事業のノウハウを身につけ、翌1998年に有限会社吉利を設立。代表取締役に就任。2000年に株式会社きちりに社名変更し、関西を中心に積極的な店舗展開を実施。2007年に大証ヘラクレス(現:JASDAQ)に上場。現在はカジュアルダイニングKICHIRIを中心に、関東と併せて61店舗・10業態超を展開している。

企業情報

設立 1998年7月
資本金 368,358,772円
売上高 52億8,500万円(2011年6月実績)
従業員数 1,156名(2011年6月末現在)※パート・アルバイト含む
事業内容 レストラン経営による飲食事業、食を中心に生まれるHospitalityの提案・提供事業
URL http://www.kichiri.co.jp/

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