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著名起業家インタビュー

株式会社スタジオジブリ 代表取締役プロデューサー 鈴木 敏夫

著名起業家仕事は公私混同でやったほうがいい

株式会社スタジオジブリ 代表取締役プロデューサー 鈴木 敏夫

※下記はベンチャー通信8号(2003年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―週刊誌の記者から、アニメ専門誌「アニメージュ」の創刊に関わるきっかけは何だったんですか。

鈴木:ある日、先輩の名物編集長に呼び出されたんです。普段はお茶もおごらないその先輩が、いきなり頭を下げた。アニメーション雑誌の創刊を手伝ってほしいと。なんでも半年くらい一緒に準備していた編集プロダクションの人間を、意見が合わないから全員クビにしたって言う。それで僕に話を持ってきた。でも僕はアニメのアの字も知らない。冗談じゃないって思いましたよ(笑)。でも結局、三時間の押し問答の末、アニメージュの創刊を手伝うことにしたんです。翌日からは戦場です。創刊号の発売日は5月28日。頼まれたのが5月の連休明けです。配本などの作業を考えたら、雑誌作りに使えるのはわずか二週間しかなかった。初日はアニメファンの女子高生を三人つかまえて、夜半までアニメに関して聞きまくった。そこで分かったのは、アニメファンが興味あるのは、作品自体というよりキャラクタ-だということ。じゃあ、キャラクター中心の雑誌にしようと閃いた。それで三日目に雑誌の内容を決めて、四日目に編集会議をスタートさせた。実際の取材や編集は一週間くらいしかなく、残りの一週間でそれをまとめて創刊したんです。本当に早かったですね。当時は僕も29歳でしたから、体力があったんですね。

―ほとんど不眠不休だったんですか。

鈴木:ちょうどその頃は『アニメージュ』の創刊だけでなく、他にも仕事が重なっていて、2ヶ月間くらい布団の上で寝れなかった。会社の机の上で少し寝る程度。でもある日、仕事が全部終わったんですよ。そして今日はお風呂に入って、布団の上でゆっくり寝よう。そう思って、家に帰ってお風呂に入ったんです。そしたら体がおかしい。どんどん体が硬まっていく。肌を触ると硬いんです。魚のウロコみたいになっちゃった。それで病院に行くと、医者に疲労の限界だって言われた。極度の過労だと人間の体はこうなるんだって。それから二週間、毎日点滴を打って過ごしました。おかげさまで今はもう治りましたけど、一時はウロコ人間になって大変でしたよ(笑)。

―宮崎監督や高畑監督とは、どうやって出会ったんですか。

鈴木:その『アニメージュ』創刊の時に取材した女子高生が教えてくれたんですよ。「太陽の王子ホルスの冒険、これがすごいんだ!」と。そんなに言うんなら、じゃあ取り上げようと思って、二人に取材を申し込んだんです。
 でも高畑さんは取材は受けないという。高畑さんは非常に理屈っぽい人で、電話口で一時間、なぜ自分がコメントしたくないかを延々に話すわけ。それで最後に、「僕はコメントできないが、隣に宮崎駿という男がいる。彼は同じスタッフとしてやっていたんだが、彼は別の意見を持っているかもしれない。だから電話を換わりますか」と。それで宮崎さんに電話を換わってもらった。

 そうすると今度もまた一時間。しかし今度は、「僕は話したいことがいっぱいあるから、ページを16ページは下さい。そのくらいないと自分の思いは伝えられない」って。いったい、この男たちは何なんだと思いましたよ(笑)。

―それで宮崎監督に会いに行って、鈴木さんのジブリ人生が始まるわけですね。

鈴木:いや、そんなに簡単にはいきません(笑)。ちょうど『ルパン三世・カリオストロの城』の製作に入っていた宮崎監督に会いに行ったんです。「あの時、電話した鈴木です」、なんて言っても取り合ってくれない。「アニメージュっていうのは不埒なファン雑誌だろう。そんなものに協力する気はない」とか散々言われた。そりゃ頭に来ましたよ(笑)。それでも僕は宮さんが好きだったんで、毎日出かけて行ったんです。「何やっているんですか。話すことなんかないんだから、帰って下さいよ」なんて言われながらね。それで気が付いたら映画が完成するまで毎日宮さんの横にいたんです(笑)。

―なんでそこまで宮崎監督や高畑監督を好きになったんですか。

鈴木:相性が良かったんでしょう。それがいちばん大きいと思います。電話でも面白かったけど、会うともっと面白かった。それ以来25年間、誇張して言うと、二人とはほとんど毎日会っていますね。それと僕は二人の作品が好きだった。他の人の作品は好きになれない。僕は円満じゃないというか、やっぱりダメなものはダメ、イイものはイイと言いたくなる。

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