累計経営者579人に取材、掲載社数278ニッポンを創るビジョナリーベンチャーを紹介

業界の起業家インタビュー

IPOは目的ではない。成長を加速させるために必須の手段です

GMOインターネット株式会社 代表取締役会長 兼 社長/グループ代表 熊谷 正寿

グループ企業のうち、じつに9社を上場に導いたプロ経営者がGMOインターネット代表の熊谷氏だ。いまやグループ87社を擁する総合インターネットグループを率いる同氏は「グループ発展のプロセスで、いちばんの成長へのエンジンとなったのがIPOだった」という。安易にIPOを目的化してしまう風潮へ警鐘を鳴らしてもらうとともに、成長を加速させる手段としてのIPOを実現するための要諦を熊谷氏に聞いた。

※下記はベンチャー通信63号(2016年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

100年続く企業をめざし いまも経営の研究を重ねる

―グループの連結売上高は2014年12月期に1000億円を突破。2015年12月期は1263億3700万円に達しました。とくに踊り場を迎えることもなく継続成長できている理由はなんでしょうか。

 ひとことで表現すれば、「自走式」の組織をつくりあげてきたことです。もはや一つひとつの事業に直接、私が口を出すことはありません。個々の事業は、責任者がそれぞれの権限のもとで最適な方法を自分で考えて、自らすすんで行動し、最大の成果をあげることができています。

 グループ各社は、展開している事業も業績もさまざま。投資を回収する期間にも差があります。各社がそれぞれに成長することで、グループ全体として業績の波が分散されています。その結果、近年は順調に成長できているといえます。

 私のいちばん重要な仕事は、人が自ら考え、うまく動ける仕組みをつくること。それこそが「プロ経営者」の仕事です。

―今後も拡大基調は続きそうですね。

 それはわかりません。私は、「事業とは本来、うまくいくはずのないもの」という前提で考えています。たとえいっときはうまく成長軌道に乗ったとしても、努力を怠ったり、判断を誤れば、とたんに業績は悪化します。

 一説ではありますが、ある統計によれば、スタートアップ企業のうち、5年後には7割が、10年後にはじつに97%が消えてしまうといいます。20年存続する企業となると、1%を下回るとも。そのような厳しい世界にあって、私は子どものころから経営者を志してきました。

 そして20歳から32年間、「自分が立ち上げた会社を100年存続させるためにはどうすればいいか」を考え続けてきました。それでも思うことは「経営に正解はない」。いまも多くの会社を見て、毎日研究を重ねています。

“商い”とは“飽きない”これこそビジネスの真髄

―グループ9社を上場に導いています。IPOできる会社の共通点を教えてください。

 経営者があきらめないこと。そして、ブレないこと。いちど「やる」と決めたことは、徹底的にやりぬくこと。GMOインターネットグループで上場を実現した会社のトップたちは、みんなそれができている人たちです。

 たとえば、ポイントサイトや若い女性向けソーシャルメディアなどを運営しているGMOメディアの森社長。同社は昨年10月にIPOを果たし、グループで9番目に上場企業となりました。

 じつは森さんは、グループ企業のトップのなかでも、いちばん古くから私と一緒に仕事をしてきた仲間のひとり。グループ企業同士で上場するスピードを競っているわけではありませんが、森さんは8人の「後輩」に次々と抜かれたかっこうになります。たいていの人はそこであせってしまい、短期的に業績をあげようと経営方針をころころ変えてしまう。あるいは自信を失い、上場をあきらめてしまう人もいるでしょう。

 でも、森さんは違いました。彼のビジネスに対する熱量、姿勢はまったく変わらなかった。そうしたブレない姿勢が周囲の人間をひきつけ、組織力が高まり、ひいては事業に対する強い推進力を生み出すのです。結果、IPOを果たすことができたのです。

―グループ企業のトップたちに、熊谷さんはどんなアドバイスをしているのですか。

 アドバイスといったものはとくにしていませんが、「あきらめない姿勢」を背中で見せ続けてきたと思います。私自身が高校中退で縁もなければ金もない状況でも夢をあきらめず起業し、ここまで成長させてきました。そのことが、グループ全社のトップに対し一定の説得力を与えていたかもしれませんね。
「“商い”とは“飽きない”」。ダジャレみたいですが、これは父が私に教えてくれた言葉で、まさにビジネスの真髄をいいあてています。

IPOを“出口”と思う。そんな経営者はやめていい

―改めて、グループにとってのIPOの意義を教えてください。

 私の経験を振り返っていえることは、IPOとは「成長加速のための欠かせない手段」だということです。IPOがなければ、いまのグループの姿はありません。

 資金調達面はもちろん、IPOによって得られる顧客や取引先からの信頼、求人面での有利さ、かかわる人たちが誇りをもちモチベーションの向上につながるなど、メリットをあげればきりがないほどです。

―IPOをイグジットという経営者もいます。

 それに対しては、私には異論があります。IPOをイグジットだと思っている経営者は必ず失敗します。その会社に出資しているベンチャーキャピタルがイグジットだとみなすのはわかります。でも、経営者はそう考えてはいけない。

 というのも、IPOによって新たに株を購入してくれる人が出てきます。経営者が考えるべきことは、そうした新規株主の期待にいかにこたえるかです。イグジットだとみなすと「いかに自分の持ち株を新規株主に高く売るか」という発想になってしまう。これでは経営者として問題です。

 それに、ベンチャー企業のIPOで調達できる資金は、たかだか数十億円から数百億円程度です。そんな段階で、「創業者利益を確保したい」など、器の小さなことをいっている経営者がいるならば、「やめてしまえ」と強くいいたいですね。

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