EVENT REPORT イベントレポート
【Best Venture 100 カンファレンスレポート】ベンチャー企業を取り巻く経済環境は、どう変わるのか
マネックスグループ株式会社 取締役会長兼代表執行役社長CEO 松本 大
今年のカンファレンスでは、マネックスグループ取締役会長兼代表執行役社長CEOの松本氏が、基調講演を務めた。講演のテーマは、「これからのベンチャー企業を取り巻く経済環境はどう変わるのか」。新型コロナウイルス感染症の影響で、世界経済が第二次世界大戦以来の落ち込みを見せているなか、松本氏は「ルールが変わる混乱期はベンチャー企業にとって大きなチャンス」と指摘。同時に、成長ベンチャーの経営者に求められる資質などについても語った。
※下記はベンチャー通信82号(2021年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
「アフターコロナ」と「テクノロジーの時代」
講演の冒頭、松本氏は現下の経済状況を第二次世界大戦の混乱期になぞらえ、世界の経済状況に言及した。先進各国でGDPが20~60%も下落するなか、各国政府が大規模な金融緩和と財政出動を通じて経済を下支えした結果、「経済低迷下での株価や資産価値の上昇・高止まり」という戦時期特有のいびつな経済環境を分析。「銃声を聞いたら株を買え」という金融界の格言通りの状況になっている現状を説明した。
「こうした混乱期こそ、ベンチャー企業には大きなチャンス」と松本氏は指摘する。「コロナ前とコロナ後では、社会のルールが大幅に変わります。法律も常識も変わる。それが意味することは、既成の勢力よりも新興勢力にチャンスが回ってくるということです。現在の大企業の多くも戦後に生まれ、育っています。くわえて、現在はテクノロジーの時代です。テクノロジーは音楽やスポーツと一緒で、長年の蓄積や信用よりも、若さや才能がものを言う世界。新しい企業や若い人材にこそチャンスがある。『アフターコロナ』と『テクノロジーの時代』という2つの視点から、いまはベンチャー企業にとってものすごいチャンスです」。
さらに松本氏は、ベンチャー企業を取り巻く現在の資金環境についても、「経営者個人が連帯保証をしなければ、資金を借りられなかったかつての状況からみれば、いまはずっと簡単になっている」と指摘。ベンチャーキャピタルをはじめ、さまざまな仕組みや制度が整った現在を「天国のような状況」とたとえ、ベンチャー企業のさらなる台頭を呼び掛けた。
「こうした混乱期こそ、ベンチャー企業には大きなチャンス」と松本氏は指摘する。「コロナ前とコロナ後では、社会のルールが大幅に変わります。法律も常識も変わる。それが意味することは、既成の勢力よりも新興勢力にチャンスが回ってくるということです。現在の大企業の多くも戦後に生まれ、育っています。くわえて、現在はテクノロジーの時代です。テクノロジーは音楽やスポーツと一緒で、長年の蓄積や信用よりも、若さや才能がものを言う世界。新しい企業や若い人材にこそチャンスがある。『アフターコロナ』と『テクノロジーの時代』という2つの視点から、いまはベンチャー企業にとってものすごいチャンスです」。
さらに松本氏は、ベンチャー企業を取り巻く現在の資金環境についても、「経営者個人が連帯保証をしなければ、資金を借りられなかったかつての状況からみれば、いまはずっと簡単になっている」と指摘。ベンチャーキャピタルをはじめ、さまざまな仕組みや制度が整った現在を「天国のような状況」とたとえ、ベンチャー企業のさらなる台頭を呼び掛けた。
危機を生き延びる力の源泉は、すべて「人とのつながり」
松本氏は講演の後半、ベンチャー企業が成長するために必要な経営者の資質についても言及した。そのなかで特に松本氏が重視したのが、「環境変化への対応力」だった。「これまでマネックス証券として多くのベンチャー企業の主幹事を務め、800社ほどのシンジケート団に入ってきた経験から感じるのは、『経営環境は変わる』ということ。景気動向も、顧客の嗜好も、競争環境も。それらに対応しなければならない経営者には、会社から出て、いろいろな人と会い、情報や意見を取り入れながら、自ら変わっていくことが求められます。変化の源泉は、人とのつながりです。ベンチャー企業である以上、当たり前のように危機は来ますが、助けてくれるのは結局、人。危機を弾力的に生き延びる力の源泉は、すべて『人とのつながり』だと思います」と語った。
さらに松本氏は、「つねにコンペティターの存在を意識することが重要」とも指摘。「自分よりも優秀な人が自分よりも早く、ベターなアイデアを考えているものと捉えるのが妥当です。ビジネスで勝つためには、アイデアの斬新さよりも、そのアイデアを修正する回転数を上げ続けること。人間の能力に大きな差はありませんが、回転数なら差はつけられます。回転数の源泉はパッションです」と指摘。経営者がもつビジネスへの情熱や想いの大切さにも触れていた。
さらに松本氏は、「つねにコンペティターの存在を意識することが重要」とも指摘。「自分よりも優秀な人が自分よりも早く、ベターなアイデアを考えているものと捉えるのが妥当です。ビジネスで勝つためには、アイデアの斬新さよりも、そのアイデアを修正する回転数を上げ続けること。人間の能力に大きな差はありませんが、回転数なら差はつけられます。回転数の源泉はパッションです」と指摘。経営者がもつビジネスへの情熱や想いの大切さにも触れていた。
―抜擢人事をする際は、どのような観点で判断していますか。
人事は、適材適所で判断する以外にありませんが、そのうえで抜擢人事をする場合は、与えた権限をその人材が使い切れるかどうかという観点が大切です。それを使い切らずに、私に判断を聞きにくるようでは、抜擢人事の意味がなくなりますから。特に上層の人事になるほど、その観点を大事にしています。
―ミッションやビジョンを浸透させるには、どうすればいいでしょう。
言葉以外に伝える手段はありません。目つきや態度だけで、うまく伝わることなんてなくて、言葉でしか人を動かすことはできません。ですから、言語化はとても大事です。子育てと一緒で、なるべく時間をかけること。10倍話せば、10倍届く。コミュニケーションに近道はなく、言語化して何度も何度も語りかける。これ以外に道はありません。
PROFILE
プロフィール
松本 大(まつもと おおき)プロフィール
1963年、埼玉県生まれ。1987年に東京大学法学部を卒業後、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券株式会社(現:シティグループ証券株式会社)に入社。1990年にゴールドマン・サックス証券株式会社に転職し、1994年には同社史上の最年少でゼネラル・パートナーに就任する。1999年に株式会社マネックスを設立。オンライン証券サービスの草分けとして支持を集め、設立からわずか1年の2000年8月に東証マザーズに上場。2005年に東証一部上場。2008年にマネックスグループ株式会社に社名変更。MONEYのYをアルファベット順で1文字前のXに置き換えた社名には、「未来の金融サービスをつくる」という意思が込められている。
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