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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社エンミッシュ 代表取締役社長 河原 義平

マーケティングの専門家が築き上げた独自の企業成長支援策の優位性

徹底した「事業主視点」の姿勢を貫き、顧客を成長へ導く醍醐味を味わえる

株式会社エンミッシュ 代表取締役社長 河原 義平

急速に発展するデジタル技術の活用は、企業に対する成長支援においても不可欠な要素となっている。そうしたなか、「デジタル&セールスの民主化」をミッションに掲げ、規模の大小を問わず企業への成長支援を展開しているのがエンミッシュだ。そこには、企業成長に直結する支援をモットーに、同ミッションを落とし込んだ独自のビジネスモデルがあるという。そのビジネスモデルとはどういったものか。また、同社で働く人材は、企業支援を通じてどのような醍醐味を味わえるのか。代表の河原氏に詳しく聞いた。
※下記はベンチャー通信89号(2023年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

デジタルとセールスの両軸で、企業間の「情報格差」を解消

―事業内容を教えてください。

 当社は、高い専門性と技術力を駆使し、デジタルとセールスの両軸で、規模の大小を問わず次世代を担うすべての企業の成長を支援しています。この役割を果たすために、当社では大きく3つの領域で事業を展開しています。1つ目は、『Salesforce』をはじめとしたSaaSシステム、SFA(営業支援システム)、CRM(顧客管理システム)といった業務システムの導入・運用支援、2つ目が法人営業領域のコンサルティングサービスや実務代行、そして3つ目がインターネット広告の代理事業を通じたマーケティング・集客施策の代行です。ここでは、企業が継続的に利益を上げるためのLTV(顧客生涯価値)の向上を重視した施策を提案しています。

 2022年1月の設立から約1年半がたった現在、IPOを目指す急成長企業をはじめ約45社と取引実績があり、売上高は今期3億円の突破を見込んでいます。

―エンミッシュのサービスが選ばれる理由はなんですか。

 顧客の企業成長に直結する支援ができているからだと思います。世の中には、優れたシステムや便利なソリューションがたくさんありますが、それらを導入しても本当の意味では使いこなせておらず、自社の成長に結びつけることができていない企業が特に中小企業に多いと感じています。そこには人材不足の問題が大きく作用しており、結果として大手と中小の間、都市と地方の間に大きな「情報格差」をつくり出しているのです。システムやソリューションは本来、それぞれの企業に「最適化」された形で導入・運用されて初めて効果を発揮し、企業成長に向けて自走する組織体制の構築をサポートできると考えています。我々が企業成長支援において、「デジタル&セールスの民主化」というミッションを掲げているのには、そうした背景があります。

3領域で専門性を発揮しながら、一気通貫で手がける独自の支援

―その考えは、どう実践されていますか。

 システムとセールス、マーケティングというビジネスの根幹を成す機能を一気通貫で手がけているのは、その表れです。システムとは本来、ビジネスの裏側でマーケティングとセールスを紐づけ、両者が一体となった事業戦略を形づくるためのツールでなければなりません。採るべきマーケティング施策やセールス施策は、導入システムに対して最適化され整合性がとれているべきです。ですから、マーケティング施策を想定しないシステム構築・運用などは本来ありえませんし、システムの特性を理解していないマーケティング施策も同様にありえません。両者を最適化すべく、システム、マーケティング、セールス各領域の専門家が、高度な専門性を発揮しながら一気通貫で支援するのが当社のサービスの特徴です。そこを評価していただき、3領域のいずれか単一のソリューションから支援を始めた顧客が、最終的には3領域の支援を求め、追加投資していただくケースがとても多いです。

独自のビジネスモデルを築いた、過去の知見と教訓

―そうした独自のビジネスモデルは、どのように生み出されたのでしょう。

 これまで私が歩んできたキャリアで得た知見・ノウハウや教訓をベースにして、つくりあげたものです。20代の私は、セールスフォース・ジャパンとサイバーエージェントに勤務した経験があります。セールスフォース・ジャパンでは、優れたCRMをシステムとして提供してきましたが、同社のビジネスモデル上、個々の導入企業に合わせた構築や運用を会社が自ら支援することはありません。どこまでも、抽象化した概念をお伝えするだけで終わらざるを得ないのです。道具は道具として優れていても、「その道具をいかに使いこなすか」にこそ事業成長のカギは隠されており、そこには事業戦略やセールス・マーケティング施策を見据えた構築、運用が必要になります。単にシステム構築だけの知識では足りません。そうした事業成長に直結する支援をしたいという想いが、起業の背景にありました。

 一方のサイバーエージェントでの経験も、現在の事業を形づくるきっかけのひとつになっています。

―詳しく聞かせてください。

 サイバーエージェント時代には、Web広告の代理店として、フィー制で業務報酬を受け取るというビジネスモデルの制約から、大口顧客にリソースを振り向ける傾向がありました。そのため、本当に支援が必要な「情報格差」を抱えた中小企業やスタートアップへの支援が十分にできなかったという想いがありました。同様に、広告運用の目的が新規顧客の獲得に大きく寄っていたのですが、代理店として顧客に提案すべきは、獲得した顧客にどれだけサービスを利用してもらうか、つまりLTVの向上であるべきだったのではないかという気づきもありました。この発想は、CRMなどのシステム構築に携わった経験がない限り、従来の広告代理店にはなかなか理解しがたいものです。我々が展開するインターネット広告の代理事業では、システム構築の専門性をもって顧客が保有する各種経営データを把握し、マーケティング・セールス施策に活かす提案を心がけています。

―それが、システム構築とマーケティング施策を一気通貫で支援する意味だと。

 そのとおりです。それは本来、事業主の頭の中では当然のように行われていることですが、広告代理店やシステムベンダーという立場であれば、発想が個別最適にとどまり、全体最適を追求できていないのです。この両方を同時に考えられるのが当社の強みであり、マーケットにおいても稀有な存在だと自負している所以です。そして、その強みを支える競争力の源泉こそが、各分野での高い技術とノウハウを共有する当社の専門家人材にほかなりません。

事業主視点で顧客にかかわる。それこそが働く醍醐味

―エンミッシュでは、人材をどのように「専門家人材」へと育成していくのですか。

 3つの事業領域それぞれに共通して言えることは、クライアントの事業に対する当事者意識を徹底的に醸成すること、そこを人材育成における優先順位の第一に置いています。ですから、顧客の事業理解には徹底して時間をかけますし、顧客のビジネスモデルを分解しながら、ヒト・モノ・カネの動きを解析し、課題を抽出していきます。この一連のプロセスを、支援案件の現場に従事しながら、実践の場で学んでもらうようにしています。

 当社はまだ規模の小さな会社ですから、我々経営陣も現場で直接業務に携わります。その際は、顧客からの問いかけに対し、我々経営陣がどのように考え、どのような選択肢を思い描き、最終的になぜその提案を行ったのか。提案に際し、なぜあのような言葉を選んだのか。顧客折衝における我々の思考の推移を詳細に伝授できるように心がけています。事業主視点で顧客にかかわれること、そして企業成長支援のノウハウを間近で吸収できることは、当社で働く醍醐味といえます。

―市場価値の高い人材が育っていきそうですね。

 ええ。当社の環境に身を置き、顧客企業を成長へと導ければ、どのような環境に行っても通用する実力が身につくはずです。顧客の事業を深く理解し、課題を抽出して、最適なソリューションを提案するというプロセスは、どのような業界、業種においても共通する「ビジネスの本質」ですから。当社はそれをシステム構築とセールス施策の両面で実践するわけです。しかも、顧客に対して「確かな価値が提供できているか」を真摯に振り返りながら。そうした毎日を積み重ねれば、変化の激しいビジネスの世界を生き抜く「サバイブ能力」は、これ以上ないほど高まっていくと思います。

 同時に、仕事には世の中を変える力をもっていることが、実感としてわかってくるでしょう。仕事の意義や会社の価値を実感する人々が増えていけば、ビジネスを楽しむ社会ができる。そのとき、当社が掲げる「情報格差をなくし、ビジネスを楽しむ社会を創る」というビジョンをともに実現してくれる人材が育っているはずです。

日本の競争力向上に貢献し、社員が誇りをもてる会社に

―今後のビジョンを聞かせてください。

 「企業成長にどこまでもコミットする会社」という立ち位置を確固たるものにしていきたいです。まずは、来期の売上目標を今期見込みの2倍となる6億円に据えています。その先には、当社の知見やノウハウを広く世の中に公開していくことを考えています。人材紹介や人材派遣といった形で顧客企業へノウハウを注入する事業、さらには実際の成功事例とそこでの具体的なシステムアーキテクチャなどを公開していくメディアを立ち上げるといった構想も温めているのです。それによって、企業間の情報格差をなくし、将来にわたって日本全体の国際競争力を高められると考えるのです。そうした社会の実現にどこよりも貢献できる存在として、社員が自ら誇れる会社へと成長していくことが今の目標ですね。
PROFILE プロフィール
河原 義平(かわはら ぎんぺい)プロフィール
1991年、茨城県生まれ。2013年、新卒で製薬会社に入社。その後、株式会社セールスフォース・ジャパン、株式会社サイバーエージェントにおいて営業職として従事。それぞれの企業でトップの営業成績を残す。2022年、「Salesforce認定コンサルティングパートナー」として株式会社エンミッシュを創業し、代表取締役社長に就任。
企業情報
設立 創業:2022年1月
資本金 1,000万円
従業員数 52名(業務委託、アルバイト含む)
事業内容 Salesforceコンサルティング事業、BtoBセールスコンサルティング事業、インターネット広告事業
URL https://enmish.co.jp/
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