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INTERVIEW 業界別起業家インタビュー

株式会社イルマティッククルー 代表取締役 市川 和磨

事業成果にコミットする広告運用で、かかわる人々を幸せに導く

株式会社イルマティッククルー 代表取締役 市川 和磨

Web広告運用を軸にマーケティング支援を展開するイルマティッククルー。2024年の設立以来、順調に業績を伸ばし、3期目となる現在の広告取扱高は70億円に迫る規模となる見通しという。同社代表の市川氏は、自社の強みについて「顧客の成長にコミットする独自のスタイルを確立できたから」と語る。競合の激しいこの業界において、いかにして現在の支援スタイルを確立したのか。その経緯や、事業にかける思いなどを同氏に詳しく聞いた。
※下記はベンチャー通信95号(2026年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

まずは自分たちで赤字を掘り、顧客を稼がせる

―事業内容を教えてください。

 おもにWeb広告の代理店事業を展開しています。私たちの事業の特徴は、単なるWeb広告の配信にとどまらず、獲得したリードや反響をいかにして売上の最大化につなげるかという、顧客ビジネスの成長にコミットするための踏み込んだ領域までサポートしている点です。成長にコミットするための最低限の考慮として、私たちは、お客さまの手元に利益がいくら残ったのかという損益分岐を考えながら運用を行うことを心がけています。通常、広告運用では広告費に対してどれだけのリードが取れたかというCPA(※)を重視しがちですが、たとえば、100万円の広告費に対して200万円の売上が立っても、原価が大きくかかって損益分岐が200万円であれば採算は合いません。そのため、300万円を売り上げなければならないという計算をしっかりと行い、確実にお客さまに利益が残るベースをつくったうえで、さらに踏み込んだビジネスの成長支援を行っています。
※CPA : 「Cost Per Acquisition」の略。顧客獲得単価

―「踏み込んだ支援」とは具体的にどのようなことですか。

 たとえば美容クリニックの場合、私たちが広告を打ち、それを見た利用者が予約をします。その後、コールセンターから確認の連絡がいき、来院後のカウンセリングが行われ、施術にいたって初めて売上が生まれます。そこを私たちは、広告を配信するだけでなく、お金が生まれるまでの一連の工程すべてにおいて最適解を提案するのです。コールセンターはどの時間帯に、どのような温度感で電話したほうがいいのかを過去のデータから検証します。さらに、来院後のカウンセリングに関しても、各カウンセラーによって売上に違いがあるため、どのようなコミュニケーションを取れば契約してくれやすいのかという共通項をひたすら洗い出していきます。ときには録音をしてもらい、広告と連動させた営業のポジションを提案し、結果がどうなったかまで効果を検証します。

 こうした支援は、広告運用だけを行うよりもクリエイティブの制作費や人件費などのリソースが多くかかるため、案件の最初は毎回、赤字を掘る覚悟で取り組んでいます。私たちがまず最初にリスクを負ってパフォーマンスを発揮し、お客さまが儲かることで、結果として広告予算が増え、私たちへの発注額も増えていくという関係を築いています。

―実際に、事業の手応えをどのように感じていますか。

 現在、創業時から90%以上のお客さまに継続発注をいただいており、非常に強い手応えを感じています。私たちが早い段階から広告運用をお手伝いしてきたお客さまが大きく成長し、店舗数を増やしたという成功事例まで生まれています。こうした結果もあり、当社は現在、外部からの資金調達を行わない無借金経営で事業を続けています。創業から2年と少しが経ちましたが、3期目となる今期の広告取扱高は70億円規模を目指せるまでにいたっています。後発組でありながら、広告運用だけでなく事業全体にコミットするという珍しいスタイルを確立しつつ、同業のなかでも高い成長を遂げていると振り返っています。

―現在の事業のスタイルを確立できたのはなぜでしょう。

 私が新卒で入社した1社目での苦い経験がきっかけです。当時、SNS広告の「勝ちパターン」が定まっていないなか、同期は運用額の大きい案件にアサインされましたが、私は育つ見込みの小さな案件を任されました。自分の売上を伸ばすためには、いまある案件でお客さまを儲けさせ、予算を増やしてもらうしか道がありませんでした。そこで、どうすればお客さまの営業担当者が喜ぶリードを獲得できるのか、単価や契約率の高い決裁者のアポイントを取るためにはどうすればいいのかと、広告運用の枠を越えて自分なりの勝ち筋を探りました。その努力は次第に数字に表れ、部署で最下位に近かった案件がトップクラスに成長し、予算も大幅に増えました。そのとき、努力が結果に直結する仕事の面白さに気づいたのです。それでも会社からは十分な評価を得られなかったこともあり、退職を決意しましたが、その際にお客さまから高い評価を得られていたことを聞いて、自分のやってきたことは正解だったと確信しました。それが、現在の会社のスタンスとして定着しています。

―そこから、どのような経緯で起業にいたったのですか。

 1社目を退職した後、経営者としてのスキルも身につけたいと考え、2社目は同業のメガベンチャーに入社しました。私は運用担当でしたが、自分の数字を伸ばすために自ら営業も手伝い、案件を獲得していく必要がありました。非常に厳しい環境でしたが、そこで営業的な力や経営的な視点、ビジネスパーソンとしてのスキルを徹底的に鍛えられました。独立に必要なすべてのピースが集まったというタイミングで、個人事業主として起業する決断をしました。

周りからリスペクトされる「イルマティック」な会社へ

―はじめから法人を立ち上げたのではないのですね。

 最初は個人事業主としてスタートしましたが、その期間はとても短いものでした。もともと独立には、会社員として働くよりもお金を稼げるというイメージがあり、目先の収入を求めてフリーランスになった部分もありました。実際に、独立してそれまで通りすぐに十分な実績をあげることができました。しかし、2ヵ月目くらいには、「自分が満足するのはお金ではない」と気づいたのです。過去を振り返ると、私がもっとも喜びを感じていたのは、学生時代にダンス仲間と目標達成を目指してひたすら走っていたときでした。そこで、学生時代のダンス仲間である神戸を誘い、イルマティッククルーを立ち上げたのです。

 そのときから、私は本当に仲間に恵まれていると実感しています。優秀であるだけではなく、仲の良さ、会話のしやすさ、そして目標に向かう馬力がある仲間たちに支えられながら、会社を継続することができています。また、そうした仲間と一緒に仕事に取り組むからこそ、必然的にお客さまへのパフォーマンスにもつながり、ウィンウィンの関係をつくってこられました。仲間も、お客さまも、かかわってくれた人たちには感謝とリスペクトしかありません。そんな想いが、いまの会社の成長につながっていると思っています。

―今後のビジョンを聞かせてください。

 社名にも用いている言葉ですが、良い意味でヤバい「イルマティック」な、周囲からリスペクトされるような会社になりたいと思っています。そのために今後はたとえば、店舗運営など事業会社としてのビジネスも展開していきたいと考えています。マーケターたるもの、第三者の立場で支援するだけでなく、自らが最前線でリスクを背負い、事業を立ち上げて成功させてこそ本物だと思うからです。

 これから会社は一気に大きくなるタイミングを迎えます。私は先頭を走りながらも、後ろを振り返り、メンバーの意見を聞いていきたいタイプですので、「違う」と思うことに対して正直に意見を言える人も大歓迎です。野望を持ち、目標を成し遂げるために一緒に走れる方々には、ぜひ私たちの仲間に加わってほしいですね。
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