INTERVIEW 業界別起業家インタビュー
わずか半年でV字回復を実現した建設業界発のベンチャー
創業以来かつてない経営の危機が会社を、組織を、僕を強くしてくれた
株式会社TRUST 代表取締役 山口 一
Sponsored 株式会社TRUST
挑戦を続けるベンチャー企業にとって、リスクは当然ついてまわるもの。測量業務や内装の設計・施工などを手がけるTRUSTも、設立5年目にしてかつてない経営の危機を迎えていた。しかし、社員一丸となって危機を乗り越え、わずか半年でV字回復を成し遂げたという。代表の山口氏に、危機をいかにして乗り越えたのか、またその経験からなにを得たのかを聞いた。
※下記はベンチャー通信60号(2014年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
攻めるべきか退くべきか 迫られた難しい経営判断
―なぜ経営の危機に陥ったのでしょう。
新しく始めた事業が思うように黒字化せず、会社の資金がショートしかけたのです。
当社は、建築現場にて建物の位置出しから内装仕上げまでに必要な測量・墨出しを行う測量業務で創業。その後、店舗やオフィスの内装設計・施工を手がけるようになり、順調に取引先数と業績を伸ばしてきました。
そして、さらなる成長のため、建設業とシナジー効果が生まれそうな事業に先行投資をしました。そのなかの人材派遣業と飲食業がふるわず、会社の業績全体がひっ迫したのです。
当社は、建築現場にて建物の位置出しから内装仕上げまでに必要な測量・墨出しを行う測量業務で創業。その後、店舗やオフィスの内装設計・施工を手がけるようになり、順調に取引先数と業績を伸ばしてきました。
そして、さらなる成長のため、建設業とシナジー効果が生まれそうな事業に先行投資をしました。そのなかの人材派遣業と飲食業がふるわず、会社の業績全体がひっ迫したのです。
―それでどうしたのですか。
人材派遣業からは完全に撤退。最大3店舗あった飲食業は1店舗に縮小しました。事業から手を引くかどうかの判断は、すごく迷いました。そもそもベンチャー企業はリスクを負わなければ飛躍は望めませんし、あと少しがんばれば業績が上向く可能性もありました。
しかし、もともと事業の多角化を図ったのは、社内のメンバーがやりたいことに挑戦し、成長できる環境をつくりたかったから。それが、結果的に会社の成長につながればいいと。それなのに、リスクをとり続けて会社がなくなれば本末転倒。メンバーのために始めた事業が、逆にメンバーを路頭に迷わせてしまうかもしれない。「なんとか成功させたい」という経営者としての意地やプライドはありましたが、「社員を守る」ほうがはるかに大事だったんです。
しかし、もともと事業の多角化を図ったのは、社内のメンバーがやりたいことに挑戦し、成長できる環境をつくりたかったから。それが、結果的に会社の成長につながればいいと。それなのに、リスクをとり続けて会社がなくなれば本末転倒。メンバーのために始めた事業が、逆にメンバーを路頭に迷わせてしまうかもしれない。「なんとか成功させたい」という経営者としての意地やプライドはありましたが、「社員を守る」ほうがはるかに大事だったんです。
一人ひとりに危機感が生まれ 大型受注につながった
―それからどのようにしてV字回復を果たしたのでしょう。
不採算事業から撤退したとはいえ、会社が危険な状態であることに変わりはありません。そこで、まずは社内のメンバー全員に、会社の状況を包み隠さず話しました。そのうえで「いまこそみんなの力を貸してほしい」と。
情報をすべてオープンにするのは、正直賭けでした。事実を伝えれば、会社を見限って全員が辞めるかもしれませんから。ただ、いざフタを開けてみると、誰ひとり辞めることなく奮起してくれました。
それから事業を再編し、店舗・オフィスの内装工事や住宅のリノベーションなどの工事をトータルに手がける「空間デザイン事業」に社内のリソースを集中しました。その結果、過去最大の大型案件を受注。その後も順調に売上を伸ばし、半年でV字回復できたのです。
情報をすべてオープンにするのは、正直賭けでした。事実を伝えれば、会社を見限って全員が辞めるかもしれませんから。ただ、いざフタを開けてみると、誰ひとり辞めることなく奮起してくれました。
それから事業を再編し、店舗・オフィスの内装工事や住宅のリノベーションなどの工事をトータルに手がける「空間デザイン事業」に社内のリソースを集中しました。その結果、過去最大の大型案件を受注。その後も順調に売上を伸ばし、半年でV字回復できたのです。
―再び業績を伸ばした要因はなんですか。
やはり、メンバーに会社の実情を正直に伝えたことですね。だから一人ひとりに危機意識が生まれた。「自分ががんばらないと会社はつぶれてしまう」と。大型受注ができたのは、取引先の推薦もありましたが、みんなが必死になって受注しようと努力したから。中途半端に情報を隠していたら、金額の大きさにひるみ、受注できなかったかもしれません。
危機を乗り越えることで社員との結びつきが強固に
―経営の危機を乗り越えて、変わったことがあれば教えてください。
失敗のリスクを想像するチカラが身につきました。以前もリスクを考えてはいましたが、実際に体験したことで本当の怖さを知った。そのため、「ここは攻めるべきか、退くべきか」の経営判断の精度がより高められました。
また、メンバーとの結びつきがより強固になりましたね。危機をともに乗り越えることで、家族のような存在になっています。信じてついてきてくれたことに感謝しつつ、みんなを幸せにしたいと強く思っています。
また、メンバーとの結びつきがより強固になりましたね。危機をともに乗り越えることで、家族のような存在になっています。信じてついてきてくれたことに感謝しつつ、みんなを幸せにしたいと強く思っています。
―危機を経験したからこそ、会社が強くなったのですね。
ええ。思い返せば半年間でいろいろ経験しました。金融関係者や企業再建の専門家に相談すると「会社をたたんだほうがいい」とクチをそろえていわれました。でも、社員を守るためには本丸である会社を絶対に守らなくてはならない。最終的には「絶対に立て直すんだ」という気持ちしか残りませんでした。
ただ、否定的な話を聞くうちに気持ちがグラつきそうにもなりました。なかには、事業部の売却やサギまがいの話も舞い込んでくる。通常なら相手にしない話にも、思わずのりそうになる自分がいる。いよいよ窮地に立ったときは「自分の生命保険がおりればスタッフの生活費が払えるかな…」と思いつめたことも。
そんななか、打ちひしがれて会社に帰ると、メンバーのがんばっている姿がある。そのひたむきな顔を見るたび「ああ、絶対に負けちゃダメだ」と思えた。それを乗り越えたいま、少々のことには動じません。今後はリスクマネジメントを行いつつ、受け身にならずに新たなことに挑戦し続けていきます。
ただ、否定的な話を聞くうちに気持ちがグラつきそうにもなりました。なかには、事業部の売却やサギまがいの話も舞い込んでくる。通常なら相手にしない話にも、思わずのりそうになる自分がいる。いよいよ窮地に立ったときは「自分の生命保険がおりればスタッフの生活費が払えるかな…」と思いつめたことも。
そんななか、打ちひしがれて会社に帰ると、メンバーのがんばっている姿がある。そのひたむきな顔を見るたび「ああ、絶対に負けちゃダメだ」と思えた。それを乗り越えたいま、少々のことには動じません。今後はリスクマネジメントを行いつつ、受け身にならずに新たなことに挑戦し続けていきます。
PROFILE
プロフィール
山口 一(やまぐち はじめ)プロフィール
1980年、千葉県生まれ。1999年、都内の中堅建築測量会社に入社。職人としての仕事ぶりが社内外で高い評価を受け、社長に独立を勧められる。2004年に独立し、個人事業主として建築測量業務を行う。2010年、株式会社TRUSTを設立し代表取締役に就任。不採算事業からの撤退など、経営の危機を乗り越えることでより強固な組織体制づくりを実現している。
企業情報
設立 | 2010年3月 |
---|---|
資本金 | 1,000万円 |
売上高 | 5億2,000万円(2015年2月期) |
従業員数 | 36名 |
事業内容 | 新築・改修工事における測量および墨出し、店舗デザイン・設計・施工、オフィスデザイン・設計・施工、住宅リノベーションおよび不動産販売、 商業・公共施設の修繕・解体工事、カフェ・ベーグル専門店の運営および通信販売、不動産における資産の管理、Webブランディング |
URL | http://trust-line.co.jp/ |
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