EVENT REPORT イベントレポート
ライドシェア業界で革命を起こす風雲児
「所有」から「共有」への 転換が持続可能な未来を創出する
Lyft Inc. 共同創業者兼社長 ジョン・ジマー
「当社のサービスによって、2025年までに全米の都市部でマイカーを所有する人は、ほぼいなくなるだろう」―。そう公言するのは、注目のライドシェア業界で、最大手・Uberを猛追するLyft代表のジョン・ジマー氏だ。同社は2012年の起業以降、20四半期連続黒字を達成し、2017年第4四半期の売上成長率はUberの2.75倍を記録。そんな同氏がこのたび、新経済連盟主催のカンファレンスで登壇し、起業のきっかけや今後のビジョンについて語った。
※下記はベンチャー通信72号(2018年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
不要なクルマを減らすことが人々の生活を豊かにしていく
―利用者増加率130%、利用者数3億7500万人、そして売上は10億ドル。昨年の業績を見る限り、Lyftは革新的な成長を遂げています。この驚くべき成功の秘訣はいったいなんでしょう。
つねにホスピタリティ精神をもって、人々に接してきたことです。
当社は、アプリを使用した配車サービスをしています。これは乗客がスマートフォンのアプリ上で行きたい場所を入力すれば、近くを走行している当社登録のドライバーが迎えに行き、乗客を目的の場所に連れて行くといったもの。このサービスを世間に定着させるためには、ホスピタリティの精神は欠かせません。事業開始以来、この気持ちを企業内で共有できたことが、いまの成長につながっていると考えています。
もうひとつは人々に焦点を当てて物事を考えてきたこと。事業のきっかけも、そこが出発地点でした。私と共同創業者のローガン・グリーンは、交通システムにおいて、人々を豊かにする手段をずっと模索してきたのです。
当社は、アプリを使用した配車サービスをしています。これは乗客がスマートフォンのアプリ上で行きたい場所を入力すれば、近くを走行している当社登録のドライバーが迎えに行き、乗客を目的の場所に連れて行くといったもの。このサービスを世間に定着させるためには、ホスピタリティの精神は欠かせません。事業開始以来、この気持ちを企業内で共有できたことが、いまの成長につながっていると考えています。
もうひとつは人々に焦点を当てて物事を考えてきたこと。事業のきっかけも、そこが出発地点でした。私と共同創業者のローガン・グリーンは、交通システムにおいて、人々を豊かにする手段をずっと模索してきたのです。
―なぜ、人々を豊かにする手段として交通システムに着目したのですか。
アメリカの交通社会に、絶望的な気持ちを抱いていたからです。
ご存じのとおり、アメリカは世界でも最大規模のクルマ社会。いままでクルマは人々を目的地まで運ぶ運輸手段として、重要な役割を果たしてきました。しかし、20世紀半ばになると町はクルマであふれ、それに合わせて道路は拡幅され、人々は狭い路地に追いやられていった。高速道路や駐車場が次々と建設されたことで、人々の憩いの場である公園はどんどん消えていきました。いつしか町は、クルマを中心とした社会に変貌していったのです。それにともない、大気汚染などの弊害も深刻化。昔のように人々を中心とした町づくりをするためには、どうすればいいか。考えたあげく、「クルマの数を減らすことが最善だ」という考えにたどりつきました。
ご存じのとおり、アメリカは世界でも最大規模のクルマ社会。いままでクルマは人々を目的地まで運ぶ運輸手段として、重要な役割を果たしてきました。しかし、20世紀半ばになると町はクルマであふれ、それに合わせて道路は拡幅され、人々は狭い路地に追いやられていった。高速道路や駐車場が次々と建設されたことで、人々の憩いの場である公園はどんどん消えていきました。いつしか町は、クルマを中心とした社会に変貌していったのです。それにともない、大気汚染などの弊害も深刻化。昔のように人々を中心とした町づくりをするためには、どうすればいいか。考えたあげく、「クルマの数を減らすことが最善だ」という考えにたどりつきました。
自動運転の配車サービスが渋滞と交通事故を減少させる
―詳しく教えてください。
アメリカには2億5000万台ものクルマがあるといわれていました。しかし、ある調査で、一日に稼働しているクルマの割合を時間換算したところ、わずか4%程度ということがわかったのです。そこで私たちは、稼働していない96%のクルマを排除していくことを考えました。それが可能になれば、駐車場は不要となり、公園をつくり、緑を増やすこともできます。その手段となったのが、稼働しているクルマの有効活用であり、私たちのビジネスの元となった「シェアリング」という概念だったのです。
―Lyftのサービスが浸透していることは周知の事実です。しかし、クルマの数を減らすことは実現できたのでしょうか。
はい。昨年、25万人が自家用車を廃棄したという報告を受けています。実際に、クルマを維持するだけで年間9000ドルもの費用がかかるといわれています。しかし、当社のサービスを利用することで、費用を4000ドルまで抑えることができます。人々は5000ドルものお金を節約できるのです。このことを経験した人々がクルマを手放したといわれており、サービスの普及率を考えれば、今後もその数は増えていくはずです。
―今後のビジョンを教えてください。
自動運転車の開発と運用を実現することです。いま、Google傘下で自動運転車の技術をもつ『ウェイモ』と連携をして、開発を進めています。めざすゴールは、自動運転車による配車サービス。これが実現すれば、渋滞回避と年間数万件にものぼる交通事故を減らすことができるはず。いま、私たちはあらゆる点において、社会を変えることができる時代に生きています。交通サービスの観点から、アメリカのみならず、世界の人々の暮らしを安全で豊かなものにしたいと考えています。
ライドシェアとは、もともとは乗用車の相乗りの需要をマッチングさせるソーシャルサービスの総称。2009年にアメリカのUberが、世界に先駆けてモバイル端末を活用した配車サービスの事業を立ち上げて、シェアを拡大していく。その利便性は、瞬く間に世界へと広まり、Lyft(アメリカ)、Ola(インド)、Grab(シンガポール)、滴滴出行(中国)など各社が市場に参入。世界のライドシェア市場は急速に伸び続けており、その市場規模は2020年までに倍増するといわれている。
PROFILE
プロフィール
ジョン・ジマー(じょん・じまー)プロフィール
1984年生まれ。コーネル大学スクール・オブ・ホテル・アドミニストレーションを首席で卒業し、2年間リーマン・ブラザーズ・ホールディングスに勤務。その後、ニューヨークからサンフランシスコまで相乗りの車で旅し、ローガン・グリーン氏と共にZimride Inc.を設立。のちにLyft Inc.を創業した。
企業情報
設立 | 2012年6月 |
---|---|
売上高 | 10億ドル(2017年12月期) |
事業内容 | 自動車運輸モバイルアプリケーションの開発、マーケティング、運営 |
URL | https://www.lyft.com/ |
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